18 / 46
018 髪飾り
しおりを挟む
使節団の歓迎の宴も無事終わり、ルシェルは一息ついていた。
(あとは1週間後の光華祭に向けて最終調整と、使節団のもてなし、それから…)
皇后として、やるべきことは山積みだ。
(昨夜のことを思い返している暇は、ないはずなのに)
けれど――気づけば、記憶の底に浮かび上がるのは、ゼノンの眼差しだった。
(……困ったものね。心は、思うようにならない)
ルシェルは机の上の書類に視線を落とす。
けれど文字の意味は、どうにも頭に入ってこなかった。
そこへ、エミリアが声をかけてきた。
「皇后陛下、アンダルシアの王子殿下より、朝のご挨拶にお見えとのことでございます」
「…ゼノン様が?この時間に?」
(なんだか、ゼノン様が庭園散策に初めて誘いにきた日を思い出すわね)
ルシェルは少し戸惑いながらも、頷いた。
「お通してちょうだい」
「かしこまりました」
ゼノンが現れると、部屋の空気がひときわ澄んだように感じられる。
銀色の衣の上に淡い藍の外套を羽織り、まるで風そのもののような佇まい。
「ご機嫌いかがですか、ルシェル様」
「…ええ。ゼノン様、こんな朝早くにどうなさったのですか?」
ゼノンは「早くに申し訳ありません」と軽く微笑み、持っていた小さな箱を取り出した。
それは薄い漆黒の木箱に、アンダルシア特有の銀の細工が施されたとても美しいものだった。
「これを、ルシェル様にお渡ししたくて、気が急いてしまいました。……些細な贈り物です。以前いただいた贈り物のお礼と言ってはなんですが……どうか受け取ってください」
ルシェルが箱を開けると、そこには蝶の翅を模した繊細な髪飾りが入っていた。
銀糸で織られたそれは、夜の光にも負けない微かな輝きを放っている。
「…これは」
「アンダルシアで“暁蝶”と呼ばれる意匠です。“夜の終わりに飛び立つ蝶は、誰よりも先に新しい朝を知る”――そんな意味が込められています」
「…とても美しいですね」
ルシェルは、翅の繊細な光を見つめながら呟いた。
「貴方によく似合うと思ったのです。ルシェル様の美しい髪に、ぴったりだと…」
ゼノンの瞳には、飾り気のない光が宿っていた。
それは時に、ノアですら見せたことのない、揺るぎない誠実さを纏っていた。
「……ありがとうございます。……ですがこれは……とても受け取れません」
ルシェルはそう告げて、蝶の髪飾りをそっと箱に戻した。
触れるのが惜しいほど繊細で、美しいその意匠は、まるでゼノンの想いそのもののようだった。
「……身につけてくれなくていいのです。ただ、これをみて私を思い出していただけたらと……ルシェル様の心の支えになればと……なので、どうかもっていてください。お願いです」
何も言えなかった。
ゼノンは、その沈黙を責めることもなく、ただ柔らかく微笑んだ。
(彼の優しさには本当に容赦がない。ここまでしてくれる彼に、私は一体何を返せるのだろう…)
「……では、そろそろ失礼します。どうか、今日も良き一日となりますように」
「……本当に、素敵な贈り物をありがとうございました。ゼノン様も、良き一日をお過ごしくださいね」
軽く頭を下げ、ゼノンは静かに部屋を後にした。
その背中が見えなくなるまで、ルシェルは立ち上がれなかった。
机の上の小箱が再び目に入る。
ヴェルディアでは明確な意味を持たないその意味も、他国から来た使節たちの目には、“個人的な誓い”として映るだろう。特に、アンダルシアや璃州の貴族たちは、装飾の意味を敏感に読み取る。
ルシェルもこの贈り物の意味を知らないわけではない。
アンダルシアで蝶の髪飾りを渡すというのは――“心を捧げる”意志の表れ。
とりわけ、“暁蝶”は、契りに近い意味を持つと言われている。
(ゼノン様はどうしてこれを私に……)
ルシェルは戸惑っていた。
ヴェルディアでは貴族同士の結婚と違い、皇族の結婚は皇帝が絶他的な立場の契約だ。
皇帝は皇后である妻の他に側室を迎えられても、皇后である妻が他の男性を迎えることは許されないし、離婚の申し出も皇帝の方からしか許されていない。
昔は、ノアとの離婚なんて考えたこともないし、自分たちの間ではあり得ない話だと思っていた。
それに、離婚は何よりも不幸なことだと思っていた。
だが、今の自分には離婚することが最善であるような気さえしている。
(こんなことを考えていると…4年前の私が知ったら…信じられないでしょうね)
***
一方その頃、別の一室では、イザベルが静かに紅茶を口にしていた。
「…蝶の髪飾り、ですって?」
イザベルのそばには、密偵として密かに使っている使用人がいた。
その使用人がイザベルに耳打ちする。
「はい。今朝方、アンダルシアの王子殿下より、皇后陛下へ献上されたそうです。珍しい銀細工で、蝶を模したものだとか」
「ふうん…蝶、ね」
イザベルはカップを置き、窓の外へ目をやる。
外では、光華祭に向けた装飾が始まり、宮廷全体が華やぎの気配に包まれ始めていた。
「それは何か特別な意味があるものなの?」
「はい。確か、アンダルシアでは蝶の髪飾りを渡すというのは“心を捧げる”という意志の表れなのだそうです」
「ふ~ん。使節団の中に、そうした贈り物の“意味”を知る者がどれだけいるかしら…」
イザベルは何か企むように微笑んだ。
***
ゼノンがルシェルの私室を後にし、回廊を静かに歩いていたとき、その背後から柔らかな足音が追いついてきた。
「…殿下、お戻りでしたか。随分と早くから、皇后陛下の部屋に行かれたのですね…」
振り返れば、筆頭補佐官であるレイセルが、いつもの落ち着いた様子でそこに立っていた。
レイセルは、ゼノンが幼い頃から彼に支えている、忠誠心と慎重さを持ち合わせた青年だ。
「レイセルか。なんだ、そんな不機嫌そうな顔をして…何かあったのか?」
「いいえ。むしろ、“何かありましたか?”とお尋ねしたいのは私の方です」
ゼノンはふっと笑う。
「ただ、贈り物を渡してきただけだ」
「“蝶の髪飾り”ですね」
ゼノンの足が一瞬止まる。
「なんだ。やはり、知っていたのか」
「いつから貴方に支えているとお思いですか」
レイセルはゼノンの隣に並ぶと、真剣な目で彼を見つめた。
「…お言葉ですが殿下、あの髪飾りをヴェルディアの皇后に渡すのは、単なる贈り物では済まされません。蝶の髪飾りを渡すというのは――“心を捧げる”意志の表れ。とりわけ、“暁蝶”は、契りに近い意味を持つのですよ?お分かりですか?」
「もちろん、わかっている」
「ならば、なぜ…」
その問いに、ゼノンはしばし沈黙した。
そして、低く、しかし確かな声音で答えた。
「以前、庭園で彼女が言ってくれたんだ…私に『惹かれている』と。だから、私も想いを伝えた。だが、それでもやはり彼女の心には皇帝がいる。ならば、せめて彼女に私の想いの誠実さだけはわかっていて欲しいと思ってな」
レイセルは目を伏せ、静かにため息をついた。
「…殿下。わかっておられるとは思いますが、これは“アンダルシアの王子”としての行動として見られます。いくら公にはされていなくとも、他国の皇后を――それも、いまだ現皇帝の正妻である方に想いを向けることは…」
「間違っている、と?」
「いえ…。ただ、貴方様のお気持ちは、国の問題にまで発展しかねません。今後の使節団の関係においても、国交問題の火種になりかねないのですよ?」
「それに…」
レイセルが急に口籠る。
そして、意を結したようにそっと口を開いた。
「彼女が、たとえ殿下をお選びになったとしても…彼女は、自らの意志で“皇后の地位”を捨てることはできません……殿下を、選ぶことなどできないのですよ?」
ゼノンは足を止めた。
「知っている。ヴェルディアでは、皇后から離縁を申し出ることは許されていない。皇帝が望まなければ離婚はできない」
「そうです。形式上は皇后であっても、その実、この国の制度の中では“所有物”とさえ見なされかねない」
「…酷い話だな。本当に馬鹿馬鹿しい」
「だからこそ、殿下。あの贈り物は、彼女にとってはあまりにも残酷です。選ぶことは許されないのに、選択肢を与えられているのですから…」
ゼノンは静かに目を伏せた。
「もし彼女が私を選んでくれるのであれば、それは願ってもないことだな……。それに、私には彼女を今のままにしておくことの方がよほど残酷に思える」
ゼノンは少し挑発気味に言う。
「…殿下」
「それに、離婚する方法なら他にあるだろう?お前も知っているはずだが?」
「……」
「今はどうすることもできない。けれど…今はただ彼女の傍に在りたい。そして、いつか……」
そう言ってゼノンは歩き出す。その背に、レイセルは小さく頭を下げた。
「…もうよくわかりました。殿下のお心のままに。私は変わらず貴方を傍で支えましょう」
ゼノンは微かに振り返り、笑んだ。
「ありがとう、レイセル。頼りにしているぞ」
(あとは1週間後の光華祭に向けて最終調整と、使節団のもてなし、それから…)
皇后として、やるべきことは山積みだ。
(昨夜のことを思い返している暇は、ないはずなのに)
けれど――気づけば、記憶の底に浮かび上がるのは、ゼノンの眼差しだった。
(……困ったものね。心は、思うようにならない)
ルシェルは机の上の書類に視線を落とす。
けれど文字の意味は、どうにも頭に入ってこなかった。
そこへ、エミリアが声をかけてきた。
「皇后陛下、アンダルシアの王子殿下より、朝のご挨拶にお見えとのことでございます」
「…ゼノン様が?この時間に?」
(なんだか、ゼノン様が庭園散策に初めて誘いにきた日を思い出すわね)
ルシェルは少し戸惑いながらも、頷いた。
「お通してちょうだい」
「かしこまりました」
ゼノンが現れると、部屋の空気がひときわ澄んだように感じられる。
銀色の衣の上に淡い藍の外套を羽織り、まるで風そのもののような佇まい。
「ご機嫌いかがですか、ルシェル様」
「…ええ。ゼノン様、こんな朝早くにどうなさったのですか?」
ゼノンは「早くに申し訳ありません」と軽く微笑み、持っていた小さな箱を取り出した。
それは薄い漆黒の木箱に、アンダルシア特有の銀の細工が施されたとても美しいものだった。
「これを、ルシェル様にお渡ししたくて、気が急いてしまいました。……些細な贈り物です。以前いただいた贈り物のお礼と言ってはなんですが……どうか受け取ってください」
ルシェルが箱を開けると、そこには蝶の翅を模した繊細な髪飾りが入っていた。
銀糸で織られたそれは、夜の光にも負けない微かな輝きを放っている。
「…これは」
「アンダルシアで“暁蝶”と呼ばれる意匠です。“夜の終わりに飛び立つ蝶は、誰よりも先に新しい朝を知る”――そんな意味が込められています」
「…とても美しいですね」
ルシェルは、翅の繊細な光を見つめながら呟いた。
「貴方によく似合うと思ったのです。ルシェル様の美しい髪に、ぴったりだと…」
ゼノンの瞳には、飾り気のない光が宿っていた。
それは時に、ノアですら見せたことのない、揺るぎない誠実さを纏っていた。
「……ありがとうございます。……ですがこれは……とても受け取れません」
ルシェルはそう告げて、蝶の髪飾りをそっと箱に戻した。
触れるのが惜しいほど繊細で、美しいその意匠は、まるでゼノンの想いそのもののようだった。
「……身につけてくれなくていいのです。ただ、これをみて私を思い出していただけたらと……ルシェル様の心の支えになればと……なので、どうかもっていてください。お願いです」
何も言えなかった。
ゼノンは、その沈黙を責めることもなく、ただ柔らかく微笑んだ。
(彼の優しさには本当に容赦がない。ここまでしてくれる彼に、私は一体何を返せるのだろう…)
「……では、そろそろ失礼します。どうか、今日も良き一日となりますように」
「……本当に、素敵な贈り物をありがとうございました。ゼノン様も、良き一日をお過ごしくださいね」
軽く頭を下げ、ゼノンは静かに部屋を後にした。
その背中が見えなくなるまで、ルシェルは立ち上がれなかった。
机の上の小箱が再び目に入る。
ヴェルディアでは明確な意味を持たないその意味も、他国から来た使節たちの目には、“個人的な誓い”として映るだろう。特に、アンダルシアや璃州の貴族たちは、装飾の意味を敏感に読み取る。
ルシェルもこの贈り物の意味を知らないわけではない。
アンダルシアで蝶の髪飾りを渡すというのは――“心を捧げる”意志の表れ。
とりわけ、“暁蝶”は、契りに近い意味を持つと言われている。
(ゼノン様はどうしてこれを私に……)
ルシェルは戸惑っていた。
ヴェルディアでは貴族同士の結婚と違い、皇族の結婚は皇帝が絶他的な立場の契約だ。
皇帝は皇后である妻の他に側室を迎えられても、皇后である妻が他の男性を迎えることは許されないし、離婚の申し出も皇帝の方からしか許されていない。
昔は、ノアとの離婚なんて考えたこともないし、自分たちの間ではあり得ない話だと思っていた。
それに、離婚は何よりも不幸なことだと思っていた。
だが、今の自分には離婚することが最善であるような気さえしている。
(こんなことを考えていると…4年前の私が知ったら…信じられないでしょうね)
***
一方その頃、別の一室では、イザベルが静かに紅茶を口にしていた。
「…蝶の髪飾り、ですって?」
イザベルのそばには、密偵として密かに使っている使用人がいた。
その使用人がイザベルに耳打ちする。
「はい。今朝方、アンダルシアの王子殿下より、皇后陛下へ献上されたそうです。珍しい銀細工で、蝶を模したものだとか」
「ふうん…蝶、ね」
イザベルはカップを置き、窓の外へ目をやる。
外では、光華祭に向けた装飾が始まり、宮廷全体が華やぎの気配に包まれ始めていた。
「それは何か特別な意味があるものなの?」
「はい。確か、アンダルシアでは蝶の髪飾りを渡すというのは“心を捧げる”という意志の表れなのだそうです」
「ふ~ん。使節団の中に、そうした贈り物の“意味”を知る者がどれだけいるかしら…」
イザベルは何か企むように微笑んだ。
***
ゼノンがルシェルの私室を後にし、回廊を静かに歩いていたとき、その背後から柔らかな足音が追いついてきた。
「…殿下、お戻りでしたか。随分と早くから、皇后陛下の部屋に行かれたのですね…」
振り返れば、筆頭補佐官であるレイセルが、いつもの落ち着いた様子でそこに立っていた。
レイセルは、ゼノンが幼い頃から彼に支えている、忠誠心と慎重さを持ち合わせた青年だ。
「レイセルか。なんだ、そんな不機嫌そうな顔をして…何かあったのか?」
「いいえ。むしろ、“何かありましたか?”とお尋ねしたいのは私の方です」
ゼノンはふっと笑う。
「ただ、贈り物を渡してきただけだ」
「“蝶の髪飾り”ですね」
ゼノンの足が一瞬止まる。
「なんだ。やはり、知っていたのか」
「いつから貴方に支えているとお思いですか」
レイセルはゼノンの隣に並ぶと、真剣な目で彼を見つめた。
「…お言葉ですが殿下、あの髪飾りをヴェルディアの皇后に渡すのは、単なる贈り物では済まされません。蝶の髪飾りを渡すというのは――“心を捧げる”意志の表れ。とりわけ、“暁蝶”は、契りに近い意味を持つのですよ?お分かりですか?」
「もちろん、わかっている」
「ならば、なぜ…」
その問いに、ゼノンはしばし沈黙した。
そして、低く、しかし確かな声音で答えた。
「以前、庭園で彼女が言ってくれたんだ…私に『惹かれている』と。だから、私も想いを伝えた。だが、それでもやはり彼女の心には皇帝がいる。ならば、せめて彼女に私の想いの誠実さだけはわかっていて欲しいと思ってな」
レイセルは目を伏せ、静かにため息をついた。
「…殿下。わかっておられるとは思いますが、これは“アンダルシアの王子”としての行動として見られます。いくら公にはされていなくとも、他国の皇后を――それも、いまだ現皇帝の正妻である方に想いを向けることは…」
「間違っている、と?」
「いえ…。ただ、貴方様のお気持ちは、国の問題にまで発展しかねません。今後の使節団の関係においても、国交問題の火種になりかねないのですよ?」
「それに…」
レイセルが急に口籠る。
そして、意を結したようにそっと口を開いた。
「彼女が、たとえ殿下をお選びになったとしても…彼女は、自らの意志で“皇后の地位”を捨てることはできません……殿下を、選ぶことなどできないのですよ?」
ゼノンは足を止めた。
「知っている。ヴェルディアでは、皇后から離縁を申し出ることは許されていない。皇帝が望まなければ離婚はできない」
「そうです。形式上は皇后であっても、その実、この国の制度の中では“所有物”とさえ見なされかねない」
「…酷い話だな。本当に馬鹿馬鹿しい」
「だからこそ、殿下。あの贈り物は、彼女にとってはあまりにも残酷です。選ぶことは許されないのに、選択肢を与えられているのですから…」
ゼノンは静かに目を伏せた。
「もし彼女が私を選んでくれるのであれば、それは願ってもないことだな……。それに、私には彼女を今のままにしておくことの方がよほど残酷に思える」
ゼノンは少し挑発気味に言う。
「…殿下」
「それに、離婚する方法なら他にあるだろう?お前も知っているはずだが?」
「……」
「今はどうすることもできない。けれど…今はただ彼女の傍に在りたい。そして、いつか……」
そう言ってゼノンは歩き出す。その背に、レイセルは小さく頭を下げた。
「…もうよくわかりました。殿下のお心のままに。私は変わらず貴方を傍で支えましょう」
ゼノンは微かに振り返り、笑んだ。
「ありがとう、レイセル。頼りにしているぞ」
103
あなたにおすすめの小説
もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません~死に戻った嫌われ令嬢は幸せになりたい~
桜百合
恋愛
旧題:もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません〜死に戻りの人生は別の誰かと〜
★第18回恋愛小説大賞で大賞を受賞しました。応援・投票してくださり、本当にありがとうございました!
10/24にレジーナブックス様より書籍が発売されました。
現在コミカライズも進行中です。
「もしも人生をやり直せるのなら……もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません」
コルドー公爵夫妻であるフローラとエドガーは、大恋愛の末に結ばれた相思相愛の二人であった。
しかしナターシャという子爵令嬢が現れた途端にエドガーは彼女を愛人として迎え、フローラの方には見向きもしなくなってしまう。
愛を失った人生を悲観したフローラは、ナターシャに毒を飲ませようとするが、逆に自分が毒を盛られて命を落とすことに。
だが死んだはずのフローラが目を覚ますとそこは実家の侯爵家。
どうやらエドガーと知り合う前に死に戻ったらしい。
もう二度とあのような辛い思いはしたくないフローラは、一度目の人生の失敗を生かしてエドガーとの結婚を避けようとする。
※完結したので感想欄を開けてます(お返事はゆっくりになるかもです…!)
独自の世界観ですので、設定など大目に見ていただけると助かります。
※誤字脱字報告もありがとうございます!
こちらでまとめてのお礼とさせていただきます。
旦那様、離婚してくださいませ!
ましろ
恋愛
ローズが結婚して3年目の結婚記念日、旦那様が事故に遭い5年間の記憶を失ってしまったらしい。
まぁ、大変ですわね。でも利き手が無事でよかったわ!こちらにサインを。
離婚届?なぜ?!大慌てする旦那様。
今更何をいっているのかしら。そうね、記憶がないんだったわ。
夫婦関係は冷めきっていた。3歳年上のキリアンは婚約時代から無口で冷たかったが、結婚したら変わるはずと期待した。しかし、初夜に言われたのは「お前を抱くのは無理だ」の一言。理由を聞いても黙って部屋を出ていってしまった。
それでもいつかは打ち解けられると期待し、様々な努力をし続けたがまったく実を結ばなかった。
お義母様には跡継ぎはまだか、石女かと嫌味を言われ、社交会でも旦那様に冷たくされる可哀想な妻と面白可笑しく噂され蔑まれる日々。なぜ私はこんな扱いを受けなくてはいけないの?耐えに耐えて3年。やっと白い結婚が成立して離婚できる!と喜んでいたのに……
なんでもいいから旦那様、離婚してくださいませ!
捨てたものに用なんかないでしょう?
風見ゆうみ
恋愛
血の繋がらない姉の代わりに嫁がされたリミアリアは、伯爵の爵位を持つ夫とは一度しか顔を合わせたことがない。
戦地に赴いている彼に代わって仕事をし、使用人や領民から信頼を得た頃、夫のエマオが愛人を連れて帰ってきた。
愛人はリミアリアの姉のフラワ。
フラワは昔から妹のリミアリアに嫌がらせをして楽しんでいた。
「俺にはフラワがいる。お前などいらん」
フラワに騙されたエマオは、リミアリアの話など一切聞かず、彼女を捨てフラワとの生活を始める。
捨てられる形となったリミアリアだが、こうなることは予想しており――。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
私を忘れた貴方と、貴方を忘れた私の顛末
コツメカワウソ
恋愛
ローウェン王国西方騎士団で治癒師として働くソフィアには、魔導騎士の恋人アルフォンスがいる。
平民のソフィアと子爵家三男のアルフォンスは身分差があり、周囲には交際を気に入らない人間もいるが、それでも二人は幸せな生活をしていた。
そんな中、先見の家門魔法により今年が23年ぶりの厄災の年であると告げられる。
厄災に備えて準備を進めるが、そんな中アルフォンスは魔獣の呪いを受けてソフィアの事を忘れ、魔力を奪われてしまう。
アルフォンスの魔力を取り戻すために禁術である魔力回路の治癒を行うが、その代償としてソフィア自身も恋人であるアルフォンスの記憶を奪われてしまった。
お互いを忘れながらも対外的には恋人同士として過ごす事になるが…。
完結まで予約投稿済み
世界観は緩めです。
ご都合主義な所があります。
誤字脱字は随時修正していきます。
ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
「出来損ないの妖精姫」と侮辱され続けた私。〜「一生お護りします」と誓った専属護衛騎士は、後悔する〜
高瀬船
恋愛
「出来損ないの妖精姫と、どうして俺は……」そんな悲痛な声が、部屋の中から聞こえた。
「愚かな過去の自分を呪いたい」そう呟くのは、自分の専属護衛騎士で、最も信頼し、最も愛していた人。
かつては愛おしげに細められていた目は、今は私を蔑むように細められ、かつては甘やかな声で私の名前を呼んでいてくれた声は、今は侮辱を込めて私の事を「妖精姫」と呼ぶ。
でも、かつては信頼し合い、契約を結んだ人だから。
私は、自分の専属護衛騎士を最後まで信じたい。
だけど、四年に一度開催される祭典の日。
その日、私は専属護衛騎士のフォスターに完全に見限られてしまう。
18歳にもなって、成長しない子供のような見た目、衰えていく魔力と魔法の腕。
もう、うんざりだ、と言われてフォスターは私の義妹、エルローディアの専属護衛騎士になりたい、と口にした。
絶望の淵に立たされた私に、幼馴染の彼が救いの手を伸ばしてくれた。
「ウェンディ・ホプリエル嬢。俺と専属護衛騎士の契約を結んで欲しい」
かつては、私を信頼し、私を愛してくれていた前専属護衛騎士。
その彼、フォスターは幼馴染と契約を結び直した私が起こす数々の奇跡に、深く後悔をしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる