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第二章 平穏な日々ばかりではないようです。
お年寄りはわがまま?
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強い瞳で、ダンケルはディアナとリオールを見る。
なのに――――
「お断りじゃ」
「断ります」
間髪入れず否定の返事が二つ重なって響いた。
「なっ!? ここは、頷いてくれる流れだろう!」
「そんなわけがあるか。寝言は寝て言え」
ディアナは、取り付く島もないほど素っ気なくダンケルをいなす。
「まったくです。勝手にこの村に忍び込み、あまつさえウララに世話をされて……そんな羨ましいことをしたお前の話を、なんで私たちが聞かなければならないんです」
リオールは氷つきそうなほど冷たい目でダンケルを見た。
それでも、ダンケルは諦めない。――――否、諦めることはできなかった。
「俺が、なんでこの村に来たのかとか、そもそもの今回の戦いの理由とか、知りたくはないのか?」
「そんなもん、関係ない」
「まったく興味はありませんね」
食い下がるダンケルに、再び重ねて即答するディアナとリオール。
「俺の話を聞いて協力してくれれば、戦いは終わるんだぞ!」
ついに、ダンケルはそう叫んだ。
「戦いなんぞ永遠に終わらなくとも私にはまったく影響ありません。むしろあの腐れ王子が帰って来なくて清々しますね」
そう返すリオールの言葉には、彼の本気が滲み出ていた。
どうにもできずに、ダンケルはうなだれる。
ところが、先ほどまでリオールと意見を一致させていたディアナが考え込んでいた。
「……戦争が終わらずに、ウルフィアが帰って来ないのは、困るのぉ」
老婆は、寂しそうにポツンと呟いた。
「そうだろ!」
パッと顔を上げたダンケルが、勢いづいて叫ぶ。
「……うむ。戦いなどどうなっても良いが、そのために、わしが茶飲み友達をなくすなど、我慢できんことじゃ」
魔女の発言は、人間としてちょっとどうかと思うようなものだった。
しかし今のダンケルにはありがたいばかり。
喜んでいれば――――
「我慢できずに癇癪など起こしたら、わしは今度こそ世界を滅ぼすやもしれんの。年寄りはわがままじゃと言われるからのぉ。……これが本当の”三度めの正直”じゃな」
物騒極まりない発言をしながらニヤリとディアナは笑った。
世の中には、わがままではなく穏やかで優しいご老人だって多いはずだとダンケルは思う。
しかし、彼がディアナに反論できるはずもなかった。
同じく話を聞いていたリオールは、嫌そうに顔をしかめる。
「そうと決まれば、善は急げじゃ! 動くぞ! 全員集合じゃ!」
しわがれたディアナの大声が、長閑な村に響き渡った。
◇◇◇
「――――という事で、これから、わしの『生き生き老後のための茶飲み友達奪回作戦』第一回会議を行う!」
数時間後、ギオルの住む広場に暖たちは集められる。
「……ハ?」
暖は目をパチクリさせた。マッサージをしていたディアナが、突然姿を消したかと思っていたらのこの事態。
一体全体、何がどうしてこうなったのか? 暖にはさっぱりわからない。
「ナンデ、急ニ、ソンナ話?」
「聞かない方が、いいですよ」
暖が疑問をこぼせば、疲れたようにリオールが話しかけてきた。
暖以外の者たちは、ディアナのこんな暴走に慣れているのだろうか。あまり驚いた風はない。
「さあ、とっとと話せ!」
当のディアナは、彼女の後ろにいたダンケルをドン! と前につき出した。
魔女に押された魔族は、何故かヨレヨレになっている。
「エ? ダンケル、ドウシタノ?」
「聞かない方が、いいですよ」
またまたリオールが、疲れたように答えてくれた。
暖は、ポカンとしてしまう。
ダンケルが疲れきった顔を上げた。覚悟を決めたように話しはじめる。
「――――そもそも今回、魔族が動いたきっかけは人間世界に治癒魔法の使い手が現れたという情報が入ったからだ」
彼の言葉に暖は驚く。
「スゴイ! ソンナ人、イタンデスネ!」
スゴイスゴイと感心した。
そんな暖を見ながら、周囲の者たちは皆微妙な顔をする。
ダンケルも顔をひきつらせたが……コホンと咳払いして言葉を続けた。
「魔族は、ここ数十年、原因不明の病に苦しんでいる」
苦しそうな声で、告白した。
なのに――――
「お断りじゃ」
「断ります」
間髪入れず否定の返事が二つ重なって響いた。
「なっ!? ここは、頷いてくれる流れだろう!」
「そんなわけがあるか。寝言は寝て言え」
ディアナは、取り付く島もないほど素っ気なくダンケルをいなす。
「まったくです。勝手にこの村に忍び込み、あまつさえウララに世話をされて……そんな羨ましいことをしたお前の話を、なんで私たちが聞かなければならないんです」
リオールは氷つきそうなほど冷たい目でダンケルを見た。
それでも、ダンケルは諦めない。――――否、諦めることはできなかった。
「俺が、なんでこの村に来たのかとか、そもそもの今回の戦いの理由とか、知りたくはないのか?」
「そんなもん、関係ない」
「まったく興味はありませんね」
食い下がるダンケルに、再び重ねて即答するディアナとリオール。
「俺の話を聞いて協力してくれれば、戦いは終わるんだぞ!」
ついに、ダンケルはそう叫んだ。
「戦いなんぞ永遠に終わらなくとも私にはまったく影響ありません。むしろあの腐れ王子が帰って来なくて清々しますね」
そう返すリオールの言葉には、彼の本気が滲み出ていた。
どうにもできずに、ダンケルはうなだれる。
ところが、先ほどまでリオールと意見を一致させていたディアナが考え込んでいた。
「……戦争が終わらずに、ウルフィアが帰って来ないのは、困るのぉ」
老婆は、寂しそうにポツンと呟いた。
「そうだろ!」
パッと顔を上げたダンケルが、勢いづいて叫ぶ。
「……うむ。戦いなどどうなっても良いが、そのために、わしが茶飲み友達をなくすなど、我慢できんことじゃ」
魔女の発言は、人間としてちょっとどうかと思うようなものだった。
しかし今のダンケルにはありがたいばかり。
喜んでいれば――――
「我慢できずに癇癪など起こしたら、わしは今度こそ世界を滅ぼすやもしれんの。年寄りはわがままじゃと言われるからのぉ。……これが本当の”三度めの正直”じゃな」
物騒極まりない発言をしながらニヤリとディアナは笑った。
世の中には、わがままではなく穏やかで優しいご老人だって多いはずだとダンケルは思う。
しかし、彼がディアナに反論できるはずもなかった。
同じく話を聞いていたリオールは、嫌そうに顔をしかめる。
「そうと決まれば、善は急げじゃ! 動くぞ! 全員集合じゃ!」
しわがれたディアナの大声が、長閑な村に響き渡った。
◇◇◇
「――――という事で、これから、わしの『生き生き老後のための茶飲み友達奪回作戦』第一回会議を行う!」
数時間後、ギオルの住む広場に暖たちは集められる。
「……ハ?」
暖は目をパチクリさせた。マッサージをしていたディアナが、突然姿を消したかと思っていたらのこの事態。
一体全体、何がどうしてこうなったのか? 暖にはさっぱりわからない。
「ナンデ、急ニ、ソンナ話?」
「聞かない方が、いいですよ」
暖が疑問をこぼせば、疲れたようにリオールが話しかけてきた。
暖以外の者たちは、ディアナのこんな暴走に慣れているのだろうか。あまり驚いた風はない。
「さあ、とっとと話せ!」
当のディアナは、彼女の後ろにいたダンケルをドン! と前につき出した。
魔女に押された魔族は、何故かヨレヨレになっている。
「エ? ダンケル、ドウシタノ?」
「聞かない方が、いいですよ」
またまたリオールが、疲れたように答えてくれた。
暖は、ポカンとしてしまう。
ダンケルが疲れきった顔を上げた。覚悟を決めたように話しはじめる。
「――――そもそも今回、魔族が動いたきっかけは人間世界に治癒魔法の使い手が現れたという情報が入ったからだ」
彼の言葉に暖は驚く。
「スゴイ! ソンナ人、イタンデスネ!」
スゴイスゴイと感心した。
そんな暖を見ながら、周囲の者たちは皆微妙な顔をする。
ダンケルも顔をひきつらせたが……コホンと咳払いして言葉を続けた。
「魔族は、ここ数十年、原因不明の病に苦しんでいる」
苦しそうな声で、告白した。
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