主人公の義弟兼当て馬の俺は原作に巻き込まれないためにも旅にでたい

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光の国に転生した闇属性の俺!?

92)寝るだけだよね?

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なんでそんなに顔を真っ赤にしてそんなことを言うのだ。なんか下心の一つや二つあるのかもしれないと疑ってしまうだろう。王宮帰りの俺はこの世界が男同士でも結婚できると言う事実を知っているのだ。義兄弟だからそんなことありえないと言いたいところだが、同性婚で子供もできる世界線だなんでも疑ってしまうのは仕様がないことだろう。

「ナハト…ダメかな?僕ナハトがそばにいないと不安で不安で…」

少し体を離した義兄は俺の顔をじっと見つめて両手を握ってくる。痛くはないが振り解けないくらいの力加減だ。俺は握られている手を見つめることしかできなかった。義兄の顔を見てしまえばそのまま流されることはわかっているからだ。言葉だけでも心が揺らぎかけているんだ。この男、危険すぎる。

「なんで黙っているの?もしかして、僕と寝るのが嫌なのかい?」

「そっ、そう言うわけでは…今まで一人で寝ていたので少し恥ずかしくて…」

「ああ、なんだそんなこと」

正直恥ずかしいと言うのは本当だ。この歳にもなって(成人済み)”家族と一緒に寝る”という事実が恥ずかしいのだ。できれば違うもので手を打ちたい。

「もしかして、恥ずかしいのかい?」

(なんでバレた)

「今時兄弟で寝るのなんて普通のことだよ?なんで今まで一緒に寝なかったのか不思議なくらいだ」

「うっ」

「ねえ、お願い。もしダメだと言うなら僕、ナハトのこと監禁しちゃうかも」

「一緒に寝ましょう」

即決だった。家から一切出られなくなるのと、一緒に夜寝る羞恥心なんて天秤にかけるまでもない。こんな軽く”監禁”なんて言っているが、義兄がすると言ったらとことんする。きっと両親をうまく丸め込んで何がなんでも俺をこの家から出させないだろう。

「嬉しいよ。もう夜も遅いし横になろうか」

「…はい」

義兄が先に布団の中に入る。俺を布団の中に誘い込むように甘い声を出す。俺はゆっくりと布団の中に入り義兄の隣に寝転がる。今日はたくさんの魔力を使ったからすぐ寝てしまいそうだ。

「僕ね、今でもナハトのくれたペンダントがないと眠れないんだ。元から僕が不眠だってことはナハトも知っているよね」

「はい。でもなんであのペンダントがあると眠れるんでしょう」

「なんでだろうね。なんかナハトの闇の中にいるといつの間にか心地よくなってしまうんだ。眠れなくなった原因もなんとなくわかってはいたんだけど、僕って器用だから寝なくても大丈夫だと思っていたんだよね」

「本当になんで…」

義兄は少し目を細めて微笑んだ。少し暗いからだろうか、その裏には何か薄暗いものがあるような気がしてならない。

「…知りたい?」



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