107 / 115
義兄にドキドキするなんておかしい!!
1)目標
しおりを挟む
今日の朝、義兄が学園に旅立った。俺は今、5歳。義兄は12歳だ。
(俺は、義兄が学園を出る6年の間にこの公爵家を出て旅に出る)
6年も経てば俺は11歳。今よりももっと魔法やこの世界の知識がついてくるはずだ。元々この世界は俺がこの世界に来る前にプレイしていた『リュミエール王国と光の騎士~愛と魔法で世界を救え~』通称『リュミ騎士』というゲームの中だ。この作品のファンである俺は公爵家の中だけではなくもっと広い世界を見てみたい。
(まあ、理由はそれだけじゃないんだけど…)
手のひらに浮かばせた闇の炎を見つめる。シェイドが来てから闇魔法を操るのがぐんと楽になった。俺の中から溢れていた魔力をシェイドが食べてくれているからだろう。この魔力こそが俺が公爵家に居るべきではない大きな理由の一つだ。
『リュミ騎士』の主人公は光属性。しかも、このリュミエール王国では闇属性は昔から畏怖され続けている存在だ。光属性の主人公の側にいる闇属性の義弟。わかりやすい物語の悪役そのものだ。それでもこの家族は俺を除け者にするどころか充分すぎるほどに俺に愛を注いでくれる。だからこそ、自分の魔力のせいで家族が傷つくのは許せない。
こんこん
部屋の扉が誰かにノックされる。
「はい」
「ナハトちゃん。まだ、お昼ご飯食べていないでしょう?エドちゃんが学園に行って寂しいのはわかるけど、しっかり食べないとダメよ。よければ一緒に食べない?」
どうやらもう昼を過ぎていたらしい。時計をみるととうに正午は過ぎていた。義兄とこの5年間いつも一緒にいたせいか気づかないうちに「寂しい」と思ってしまったらしい。俺の心情はどちらかというと母の方がよく分かっているらしい。
「今まで離れたことがないから、違和感があるんです。心配させてしまってすみません」
母が俺に近寄ってギュッと抱きしめる。母はいろんな花の香りがして落ち着く。きっと庭園へ行って帰ってきたばかりなのだろう。
「大丈夫よ。ママも初めてパパが戦争に行った時、同じ気持ちになったの。きっとエドちゃんも同じ気持ちよ」
「あっ…」
「ナハトちゃんが元気じゃないとエドちゃん心配して学園を飛び出してきちゃうかも!」
「ははっ、それは困りますね」
本当に義兄ならやりそうで笑ってしまった。もしそうなったら、公爵家から出て行くなんて夢のまた夢の話だろう。なら、義兄が不安にならないくらい元気な姿を見せないといけないな。
(俺の目標は義兄が帰ってくる前に旅にでる力をつけること)
(俺は、義兄が学園を出る6年の間にこの公爵家を出て旅に出る)
6年も経てば俺は11歳。今よりももっと魔法やこの世界の知識がついてくるはずだ。元々この世界は俺がこの世界に来る前にプレイしていた『リュミエール王国と光の騎士~愛と魔法で世界を救え~』通称『リュミ騎士』というゲームの中だ。この作品のファンである俺は公爵家の中だけではなくもっと広い世界を見てみたい。
(まあ、理由はそれだけじゃないんだけど…)
手のひらに浮かばせた闇の炎を見つめる。シェイドが来てから闇魔法を操るのがぐんと楽になった。俺の中から溢れていた魔力をシェイドが食べてくれているからだろう。この魔力こそが俺が公爵家に居るべきではない大きな理由の一つだ。
『リュミ騎士』の主人公は光属性。しかも、このリュミエール王国では闇属性は昔から畏怖され続けている存在だ。光属性の主人公の側にいる闇属性の義弟。わかりやすい物語の悪役そのものだ。それでもこの家族は俺を除け者にするどころか充分すぎるほどに俺に愛を注いでくれる。だからこそ、自分の魔力のせいで家族が傷つくのは許せない。
こんこん
部屋の扉が誰かにノックされる。
「はい」
「ナハトちゃん。まだ、お昼ご飯食べていないでしょう?エドちゃんが学園に行って寂しいのはわかるけど、しっかり食べないとダメよ。よければ一緒に食べない?」
どうやらもう昼を過ぎていたらしい。時計をみるととうに正午は過ぎていた。義兄とこの5年間いつも一緒にいたせいか気づかないうちに「寂しい」と思ってしまったらしい。俺の心情はどちらかというと母の方がよく分かっているらしい。
「今まで離れたことがないから、違和感があるんです。心配させてしまってすみません」
母が俺に近寄ってギュッと抱きしめる。母はいろんな花の香りがして落ち着く。きっと庭園へ行って帰ってきたばかりなのだろう。
「大丈夫よ。ママも初めてパパが戦争に行った時、同じ気持ちになったの。きっとエドちゃんも同じ気持ちよ」
「あっ…」
「ナハトちゃんが元気じゃないとエドちゃん心配して学園を飛び出してきちゃうかも!」
「ははっ、それは困りますね」
本当に義兄ならやりそうで笑ってしまった。もしそうなったら、公爵家から出て行くなんて夢のまた夢の話だろう。なら、義兄が不安にならないくらい元気な姿を見せないといけないな。
(俺の目標は義兄が帰ってくる前に旅にでる力をつけること)
243
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます
クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。
『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。
何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。
BLでヤンデレものです。
第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします!
週一 更新予定
ときどきプラスで更新します!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
【本編完結】死に戻りに疲れた美貌の傾国王子、生存ルートを模索する
とうこ
BL
その美しさで知られた母に似て美貌の第三王子ツェーレンは、王弟に嫁いだ隣国で不貞を疑われ哀れ極刑に……と思ったら逆行!? しかもまだ夫選びの前。訳が分からないが、同じ道は絶対に御免だ。
「隣国以外でお願いします!」
死を回避する為に選んだ先々でもバラエティ豊かにkillされ続け、巻き戻り続けるツェーレン。これが最後と十二回目の夫となったのは、有名特殊な一族の三男、天才魔術師アレスター。
彼は婚姻を拒絶するが、ツェーレンが呪いを受けていると言い解呪を約束する。
いじられ体質の情けない末っ子天才魔術師×素直前向きな呪われ美形王子。
転移日本人を祖に持つグレイシア三兄弟、三男アレスターの物語。
小説家になろう様にも掲載しております。
※本編完結。ぼちぼち番外編を投稿していきます。
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**
婚約破棄されてヤケになって戦に乱入したら、英雄にされた上に美人で可愛い嫁ができました。
零壱
BL
自己肯定感ゼロ×圧倒的王太子───美形スパダリ同士の成長と恋のファンタジーBL。
鎖国国家クルシュの第三王子アースィムは、結婚式目前にして長年の婚約を一方的に破棄される。
ヤケになり、賑やかな幼馴染み達を引き連れ無関係の戦場に乗り込んだ結果───何故か英雄に祭り上げられ、なぜか嫁(男)まで手に入れてしまう。
「自分なんかがこんなどちゃくそ美人(男)を……」と悩むアースィム(攻)と、
「この私に不満があるのか」と詰め寄る王太子セオドア(受)。
互いを想い合う二人が紡ぐ、恋と成長の物語。
他にも幼馴染み達の一抹の寂寥を切り取った短篇や、
両想いなのに攻めの鈍感さで拗れる二人の恋を含む全四篇。
フッと笑えて、ギュッと胸が詰まる。
丁寧に読みたい、大人のためのファンタジーBL。
他サイトでも公開しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる