106 / 126
光の国に転生した闇属性の俺!?
105)別れと始まり
ーーー
「ナハト!!ナハト!早く起きるんだぞ!!」
「んん~…あと5分…」
「僕っちに今日だけは早く起こせって言ったのはお前だぞ!!ナハトは1年前から朝が弱いのは変わらないんだぞーー!!」
モゾモゾと布団の中で寝返りを打つ。今日は何かあった気がするが、どうしても眠たくて仕方がない。ゆさゆさとシェイドに体を揺さぶられながらぼやけた頭で考える。
(うーん。今日何かあったっけ…?)
「はー、もう僕っちは知らないんだぞ。あとで僕っちを責めるなよ!」
まだ、布団でうとうとしていると、ガチャと部屋のドアが開く。俺の断りもなく入ってくる人物といえば一人しかいない。
「酷いじゃないかナハト。今日は僕のことを見送ってくれるって約束しただろう?」
「お兄様…?」
(あれ…?今日は確か…)
「……あ!!!!」
そうだ。今日は義兄の入学式だった。前日の夜に見送りには起きると約束していたのだ。朝が弱い俺はすっかり忘れてしまっていた。
シェイドがうちに来てから1年たった。あれから、俺は5歳、義兄は12歳になった。あんなに悩んでいた魅了魔法もシェイドが来たことで安定してきた。魅了魔法は結局俺の魔力過多が原因だったのだ。あれほど悩んでいたのがばかみたいにコントロールできるようになった。
「ナハトは本当に魔法が上手になったよね」
パジャマで見送りに行くわけにはいかないので、基礎魔法を使って着替える。この世界の魔法は思っていたよりも便利で、うまく使えばQOLを上げてくれる優れものだ。
「こんなふうに、魔法をうまく使えるようになったのはお兄様のおかげですよ」
「僕がずっとナハトのそばにいられたら覚える必要もない魔法だけど、今日からは離れ離れになってしまうからね。でも、僕もここまで上手くなるとは思わなかったよ。きっと、ナハトには魔法の才能があるんだろうね」
「ほ、褒めすぎですよ」
ふっとつい顔を背けてしまう。いつからだろうか、義兄の顔を正面から見ることができなくなったのは。きっと、義兄には人を引きつける力がある。その完璧な顔面はもちろん。彼からは目を離せなくなるようなオーラがあるようで、さすが主人公だと思ってしまう。
ーーー
「じゃあ、行ってきます。お父様、お母様、そしてナハト」
「エドちゃん。身体にだけは気をつけてね」
「君を馬鹿にするやつがいたら実力でねじ伏せればいい。主席として胸を張っておいで」
「はい。お父様、お母様」
ニコッと笑って父と母と言葉を交わした義兄は俺の方をくるりと向いた。
「お兄様、頑張ってください」
「ああ、頑張ってくるよ。なぜ家から通うことができなかったのか理解できないけど、今夜から映像魔法で連絡を取ろうね」
そう、学園の中等部は寮に入るか入らないか決めることができたらしい。俺はそんな事実を知らなかった。裏で義兄は自宅から通えるように結構粘ったそうだが、陛下に却下されたらしい。光属性でしかも主席。国は彼を手に入れたいのだろう。
(やっぱり主人公なんだろうな)
俺は義兄が学園に行ってる間に公爵家から離れるつもりだ。どれだけ義兄が俺に好意的だとしてもそれがいつまで続くかなんてわからない。それにきっと俺は魔力の量とかも考えてこの世界の悪役だ。一応悪魔とも契約しているしな。
「ナハト、この家でいい子にしてるんだよ」
「はい。お兄様の弟として胸を張れるようになります。なので安心してくださいね」
義兄と抱き合い。遂に別れの時が訪れる。義兄が小さくまとめた荷物を持って魔導車に入っていく。
(俺はあんたのためにもこの家から出ないといけないんだ)
俺は誰にも言い明かすことのできない思いをこっそり胸に秘めながら、義兄の乗った魔導車を見えなくなるまで見送った。義兄のいない6年の間に家を出ても生きていけるような力をつけていかなければいけない。
きっと義兄から離れることができれば、義兄を見るたびに出る胸のモヤモヤも消えるはず。そうに違いない。
(これは義兄との”別れ”であり、新しい生活に向けての”始まり”だ)
「ナハト!!ナハト!早く起きるんだぞ!!」
「んん~…あと5分…」
「僕っちに今日だけは早く起こせって言ったのはお前だぞ!!ナハトは1年前から朝が弱いのは変わらないんだぞーー!!」
モゾモゾと布団の中で寝返りを打つ。今日は何かあった気がするが、どうしても眠たくて仕方がない。ゆさゆさとシェイドに体を揺さぶられながらぼやけた頭で考える。
(うーん。今日何かあったっけ…?)
「はー、もう僕っちは知らないんだぞ。あとで僕っちを責めるなよ!」
まだ、布団でうとうとしていると、ガチャと部屋のドアが開く。俺の断りもなく入ってくる人物といえば一人しかいない。
「酷いじゃないかナハト。今日は僕のことを見送ってくれるって約束しただろう?」
「お兄様…?」
(あれ…?今日は確か…)
「……あ!!!!」
そうだ。今日は義兄の入学式だった。前日の夜に見送りには起きると約束していたのだ。朝が弱い俺はすっかり忘れてしまっていた。
シェイドがうちに来てから1年たった。あれから、俺は5歳、義兄は12歳になった。あんなに悩んでいた魅了魔法もシェイドが来たことで安定してきた。魅了魔法は結局俺の魔力過多が原因だったのだ。あれほど悩んでいたのがばかみたいにコントロールできるようになった。
「ナハトは本当に魔法が上手になったよね」
パジャマで見送りに行くわけにはいかないので、基礎魔法を使って着替える。この世界の魔法は思っていたよりも便利で、うまく使えばQOLを上げてくれる優れものだ。
「こんなふうに、魔法をうまく使えるようになったのはお兄様のおかげですよ」
「僕がずっとナハトのそばにいられたら覚える必要もない魔法だけど、今日からは離れ離れになってしまうからね。でも、僕もここまで上手くなるとは思わなかったよ。きっと、ナハトには魔法の才能があるんだろうね」
「ほ、褒めすぎですよ」
ふっとつい顔を背けてしまう。いつからだろうか、義兄の顔を正面から見ることができなくなったのは。きっと、義兄には人を引きつける力がある。その完璧な顔面はもちろん。彼からは目を離せなくなるようなオーラがあるようで、さすが主人公だと思ってしまう。
ーーー
「じゃあ、行ってきます。お父様、お母様、そしてナハト」
「エドちゃん。身体にだけは気をつけてね」
「君を馬鹿にするやつがいたら実力でねじ伏せればいい。主席として胸を張っておいで」
「はい。お父様、お母様」
ニコッと笑って父と母と言葉を交わした義兄は俺の方をくるりと向いた。
「お兄様、頑張ってください」
「ああ、頑張ってくるよ。なぜ家から通うことができなかったのか理解できないけど、今夜から映像魔法で連絡を取ろうね」
そう、学園の中等部は寮に入るか入らないか決めることができたらしい。俺はそんな事実を知らなかった。裏で義兄は自宅から通えるように結構粘ったそうだが、陛下に却下されたらしい。光属性でしかも主席。国は彼を手に入れたいのだろう。
(やっぱり主人公なんだろうな)
俺は義兄が学園に行ってる間に公爵家から離れるつもりだ。どれだけ義兄が俺に好意的だとしてもそれがいつまで続くかなんてわからない。それにきっと俺は魔力の量とかも考えてこの世界の悪役だ。一応悪魔とも契約しているしな。
「ナハト、この家でいい子にしてるんだよ」
「はい。お兄様の弟として胸を張れるようになります。なので安心してくださいね」
義兄と抱き合い。遂に別れの時が訪れる。義兄が小さくまとめた荷物を持って魔導車に入っていく。
(俺はあんたのためにもこの家から出ないといけないんだ)
俺は誰にも言い明かすことのできない思いをこっそり胸に秘めながら、義兄の乗った魔導車を見えなくなるまで見送った。義兄のいない6年の間に家を出ても生きていけるような力をつけていかなければいけない。
きっと義兄から離れることができれば、義兄を見るたびに出る胸のモヤモヤも消えるはず。そうに違いない。
(これは義兄との”別れ”であり、新しい生活に向けての”始まり”だ)
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます
クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。
『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。
何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。
BLでヤンデレものです。
第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします!
週一 更新予定
ときどきプラスで更新します!
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。
はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。
2023.04.03
閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m
お待たせしています。
お待ちくださると幸いです。
2023.04.15
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
更新頻度が遅く、申し訳ないです。
今月中には完結できたらと思っています。
2023.04.17
完結しました。
閲覧、栞、お気に入りありがとうございます!
すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)