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ラクロス編
第8話 アパート会議
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その日の夜、沙織のアパート――
部屋の照明は落とされ、リビングには間接灯のやわらかな光だけが残っていた。
窓の外では、車の走る音がときおり遠くに流れていく。
テーブルの上には、飲みかけの缶と簡単なつまみ。
ソファには沙織と西川が並んで腰を下ろしていた。
「彩音に言ったことはほんと?」
沙織が横目で西川を見る。
「うん。梶原相手だとね。」
「あ、そこじゃない。シュートの話。」
頭を掻きながら西川が視線を逸らす。
「そっちね。」
少し間を置いて、言葉を選ぶように続けた。
「レギュラーは無理だけど戦略的交代は可能となる。」
沙織は小さくうなずく。
「宮司ちゃんはもともとシュートの精度は高いからね。」
「そうなんだ。」
西川はテーブルの縁を指でなぞりながら考え込む。
「それに梶原とはシュートの高さが違う。」
「梶原って何センチ?」
「うーん…正確にはわからないけど私と同じぐらいだから162、3じゃない?」
「ちなみに彩音は155。」
数字を口にした瞬間、部屋の空気が少しだけ引き締まった。
「その差が武器になる。極端な話上からシュートと下からシュート。」
西川は経験を思い返すように、苦笑する。
「俺も経験あるけど守りづらいんだよね。」
「そういうもんなの?」
「そういうもん!」
即答だった。
少しの沈黙。
沙織はソファの背にもたれ、天井を見上げる。
「まぁ宮司ちゃんはレギュラーになりたいみたいだけど、これが一番現実かな…」
「そっか…」
その一言は、納得とも諦めともつかない静かな響きで、夜の部屋に落ちていった。
しばらくして――
「さすがにシュートの打ち方とかは専門外だからなぁ…」
西川は腕を組み、ふぅっと一息ついた。
張り詰めていた思考が、ようやくほどけたような仕草だった。
「十分だよ。今日はありがとね。」
沙織はそう言って、西川を見て微笑む。
無理に明るく振る舞うわけでもなく、ただ自然な感謝だった。
「宮司ちゃんのためならば…ってね。」
西川もつられて笑う。
そして、夜は静かに更けていき、
二人の会話も自然と終わりを迎えた。
けれど――
この夜に交わされた言葉は、確かに彩音の未来へと繋がっていた。
部屋の照明は落とされ、リビングには間接灯のやわらかな光だけが残っていた。
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テーブルの上には、飲みかけの缶と簡単なつまみ。
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「彩音に言ったことはほんと?」
沙織が横目で西川を見る。
「うん。梶原相手だとね。」
「あ、そこじゃない。シュートの話。」
頭を掻きながら西川が視線を逸らす。
「そっちね。」
少し間を置いて、言葉を選ぶように続けた。
「レギュラーは無理だけど戦略的交代は可能となる。」
沙織は小さくうなずく。
「宮司ちゃんはもともとシュートの精度は高いからね。」
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「梶原って何センチ?」
「うーん…正確にはわからないけど私と同じぐらいだから162、3じゃない?」
「ちなみに彩音は155。」
数字を口にした瞬間、部屋の空気が少しだけ引き締まった。
「その差が武器になる。極端な話上からシュートと下からシュート。」
西川は経験を思い返すように、苦笑する。
「俺も経験あるけど守りづらいんだよね。」
「そういうもんなの?」
「そういうもん!」
即答だった。
少しの沈黙。
沙織はソファの背にもたれ、天井を見上げる。
「まぁ宮司ちゃんはレギュラーになりたいみたいだけど、これが一番現実かな…」
「そっか…」
その一言は、納得とも諦めともつかない静かな響きで、夜の部屋に落ちていった。
しばらくして――
「さすがにシュートの打ち方とかは専門外だからなぁ…」
西川は腕を組み、ふぅっと一息ついた。
張り詰めていた思考が、ようやくほどけたような仕草だった。
「十分だよ。今日はありがとね。」
沙織はそう言って、西川を見て微笑む。
無理に明るく振る舞うわけでもなく、ただ自然な感謝だった。
「宮司ちゃんのためならば…ってね。」
西川もつられて笑う。
そして、夜は静かに更けていき、
二人の会話も自然と終わりを迎えた。
けれど――
この夜に交わされた言葉は、確かに彩音の未来へと繋がっていた。
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