溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~

紅葉山参

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お忍び散策と、王子の素顔

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 夫ビヨンド様は、私リーシャとの二人きりの時間を大切にしてくれる。今日は、平民の服に着替えて、王都の市場にお忍びで出かけることになった。

「リーシャ、きみは本当に何を着ても可愛いな」

 彼は、私が選んだシンプルなワンピース姿を見て、目を細めて褒めてくれる。

「ビヨンド様こそ、その格好だと、ただの素敵な男性に見えます。誰も王子だとは気づかないでしょうね」

 彼のカジュアルな服装は、いつも見ている威厳ある王子とは違い、親しみやすく、とても魅力的だ。

 私たちは手を繋いで、人混みの中を歩いた。市場は活気に満ちていて、様々な匂いや声が飛び交っている。

「愛しい人、何か欲しいものはないか?何でも買ってあげよう」

 彼は、私に何か買ってあげたくて仕方ない様子だ。

「ありがとうございます、ビヨンド様。でも、こうして二人で歩いているだけで、十分幸せです」

 私がそう言うと、彼は少し拗ねたような顔をした。

「そうか。だが、私はきみに何かを捧げたいのだ。きみの喜ぶ顔が見たい」

 私たちは、焼き菓子を売っている露店に立ち寄った。彼は、私リーシャの好きな味を覚えていて、それを買ってくれた。

「ほら、一口食べさせてくれ、リーシャ」

 彼は、私が口に運んだ焼き菓子を、私の唇から直接分けて食べようとする。私は周囲の目が気になり、慌てて彼に焼き菓子の塊を渡した。

「もう、ビヨンド様!人前ですよ」

「別に構わないだろう。私たちは夫婦だ。それに、きみがあまりにも可愛すぎるから、つい…」

 彼は、焼き菓子を食べながら、満面の笑みを浮かべている。この時の彼は、王位継承者という重責を背負った王子ではなく、ただ私を愛する一人の男性だ。

 散策中、彼は私リーシャのために、突然、路地裏に咲いていた小さな花を摘んで、私の髪に挿してくれた。

「きみの美しい髪に、この花がよく似合う。私の妻は、どんな宝石よりも、自然の美しさが似合う女性だ」

 彼の何気ない行動一つ一つが、私の心を温かくしてくれる。

 市場を出て、私たちは静かな公園で休憩した。

「リーシャ、きみとこうして過ごす時間が、私にとってどれほど大切か、きみにはわかるだろうか」

 彼は私の手を握り、真剣な眼差しで私を見つめた。

「はい。私も、あなたが隣にいてくださることが、一番の幸せです」

「ああ、ありがとう。きみがいなかったら、私はきっと、感情のない人形のような人間になっていただろう。きみが、私の人生に彩りを与えてくれた」

 彼は、王子の仮面を脱いだ、彼の素直な気持ちを私に打ち明けてくれる。その信頼が、私をさらに彼に惹きつける。

 夜になり、私たちは王宮に戻った。部屋に戻ると、彼はすぐに私を抱きしめる。

「今日一日の、きみの可愛い笑顔を、私は何度も思い出すだろう。きみは、私にとって、最高の宝物だ」

 彼は、お忍びデートで買った小さな焼き菓子を、私と一緒に食べたがった。私たちは寝台の上で、愛を囁き合いながら、お菓子を分け合った。

「甘いな…このお菓子よりも、きみの唇の方が、ずっと甘いけれど」

 彼はそう言って、私にキスをした。

 私たちは、王子の素顔と、王妃の素顔を知り合うことで、さらに愛を深めていく。この夜もまた、彼の情熱は尽きることがなかった。
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