勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

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背後から声をかけられて振り返るとそこにはニーナがいた。
どうやら彼女も俺を探していたらしい。
それで、俺がここに来たことを聞いたので追いかけて来たようだ。
「魔王リュート、如何してこちらに」
「俺の家を好きにであるてはまずいのかい」
「いえ、そう言うわけではございませんが」
ニーナは困惑した表情でこちらを見つめてくる。
すると、話を聞いていたのか、後ろから声をかけられた。
振り向くとそこにいたのはニーナだった。
彼女は、俺の方を見ると笑顔を浮かべながら近づいてくる。
しかし、その表情とは裏腹に目は笑っていない。
明らかに怒っているようだった。
それでも構わずに話を続ける。
「やぁ、ニーナ」
笑顔で話しかけると、ニーナは無言で睨んでくる。
だが、それに怯むことなく言葉を続ける。
「君にお願いがあって来たんだ」
そう言ってニーナの手を取ると、そっと握りしめる。
突然のことに戸惑っている様子だったが、すぐに手を振り払われてしまった。
「何の真似ですか」
冷たい声で問いかけられる。
俺は慌てて弁明しようとするが、その前にニーナが言った。
「私に触るな!」
怒鳴られて思わずビクッとなる。
だが、ここで引き下がるわけにはいかないと思い、再び話しかけようとする。
「いや、待ってくれ、これには訳があるんだ」
しかし、ニーナは俺の言葉を無視してどこかへ行こうとする。
それを引き止めようと手を伸ばした瞬間、逆に腕を掴まれてしまう。
そのまま引っ張られると、近くの部屋へと連れ込まれた。
そこは物置部屋のような場所だった。
薄暗い部屋の中に押し込まれた俺は、急いで外に出ようとしたが、扉はニーナによって塞がれてしまい、出ることは叶わなかった。
そこで俺は諦めて話を聞くことにした。
「一体、何の用ですか?」
ニーナに尋ねられたので、正直に話すことにする。
「実は頼みたいことがあるんだ」
そう言うと、彼女からの視線が強くなった気がした。
恐らく、まだ疑っているのだろう。
まぁ、無理もないことだとは思う。
なにせ、いきなり押しかけてきたのだ。怪しまない方がどうかしてるというものだ。
(さて、どうしたものか……)
どうやって説得しようか考えていると、先に口を開いたのはニーナの方だった。
彼女は鋭い目つきで俺のことを睨みつけて言った。
「お断りします」
ハッキリと言われてしまい、少し落ち込むが諦めずに食い下がる。
どうしても彼女の力が必要なのだ。
(どうにかして協力してもらうことはできないだろうか……)
必死に考えた結果、一つの案を思いつく。
「なら、こういうのはどうだ?」
そう言って提案してみる。
「コイントスをして、俺が勝ったら俺のお願いを聞いて貰う」
「いいでしょう」
即答だった。
よほど自信があるのだろう。
(まぁ、確かに強いからな……)
そんなことを考えながら、ポケットから銅貨を取り出す。
そして、指で弾くと宙に舞った。
クルクルと回転しながら落ちてくる硬貨を手の甲で受け止めると裏表を確認する。
(……よしっ!)
心の中でガッツポーズを決めると、ゆっくりと手を退ける。
そこに描かれていたのは女神の横顔だった。
つまり……。
「俺の勝ちだな」
そう言ってニヤリと笑う。
だが、次の瞬間にはその表情が凍りつくことになる。
なぜなら……。
「……そうですねでお願いって何ですか」
「ハーレムの一員になって欲しい、ほら、妻候補は多いい方がいいだろう?」
「はぁ?」
呆れられた。
(なぜだ?)
納得できない俺は、理由を聞いてみることにした。
「何故だ?」
そう尋ねると、彼女はため息をつきながら答えた。
「私は別に貴方のことが好きじゃありませんし、そもそも私は人間です」
「知っているよ」
「だったらどうして……」
「一目惚れしたからだ」
そう言うと、彼女は黙り込んでしまった。
(あれ、どうしたんだろう)
不思議に思って見つめていると、突然立ち上がった。
そして、スタスタと歩いていってしまう。
俺は慌てて追いかけると、腕を掴んで引き留めた。
だが、振り解かれてしまう。
「あ、あの、ニーナさん?」
恐る恐るそう問いかければ
「いいですよ、賭けに負けたんですし」
「ありがとう」
こうして俺は無事に妻候補を手に入れることができたのだった――。
魔王城に戻ったものの、やる事は山済みである。
「とりあえず、この書類を片付けるか……」
俺は執務室で大量の書類に目を通しながら呟いた。
ちなみに、隣にはアリアがいる。
今は二人で仕事を片付けているところだ。
しばらく黙々と作業をしていると、アリアが話しかけてきた。
「魔王様、一つよろしいでしょうか」
「ん? なんだ」
手を止めることなく返事をすると、彼女はさらに続ける。
「魔王様は、本当にこれでよかったのですか」
その言葉に首を傾げる。
どういう意味なのか分からなかったからだ。
すると、彼女は説明してくれた。
どうやら彼女は、俺とニーナの仲を取り持とうとしてくれていたらしい。
そのために色々と手を尽くそうとしていたようだが、
「いたらなくてすみません、で、どうやって落としたんですか?」
「それは……」
「ああ、やっぱあんなことやそんなことをされたんですね」
とても、アリアの顔はときめいている。
「俺はどんな魔王に見えているんだよ」
「先代魔王クロード様のご子息、現・魔王様ですわ、天国のお父上であるクロード様も、さぞお喜びの事でしょう」
「アリア、お前……」
「さあ、続きをどうぞ」
そして、俺は語り始める。
魔王城に戻ってきた俺たちは、早速結婚式の準備をすることにした。
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