180 / 236
180.
しおりを挟む
一撃で仕留めることができたようだ。
その後も次々と倒していき、最後の1匹となった時のことだった。
突然後ろから悲鳴が聞こえてきたのだ。
「きゃあっ!!」
振り返るとそこにはレイナの姿があった。
どうやら転んでしまったらしく地面に倒れ込んでいたが、そんな彼女に向かって襲いかかる影があった。
そいつは狼のような姿をした魔物だった。
鋭い牙を剥き出しにして襲いかかろうとしているのが分かる。
(まずい……!)
そう思った瞬間身体が動いていた。
素早く駆け寄ると、飛びかかってきたそいつを切り捨てる。
ドサッと音を立てて倒れるのを見てホッと胸を撫で下ろすと同時に、背後で小さな悲鳴が上がった。
慌てて振り返ると、そこには呆然と立ち尽くしているレイナの姿があった。
「大丈夫か!?」
声をかけるとハッとした様子でこちらを向く。
その顔には驚きの表情が浮かんでいた。
無理もないことだろう、まさか目の前で人間が真っ二つにされるところを見ることになるとは思わなかっただろうから、
しかしすぐに我を取り戻すと、笑顔を浮かべながら駆け寄ってきた。
彼女は俺の手を取るとこう言った。
「助けてくれてありがとう! すごくカッコ良かったよ!」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥底から嬉しさが込み上げてきた気がした。
今まで誰かに褒められたことなんてほとんどなかったからだ。
それが美少女となれば尚更である。
しかもこんなに可愛い子に言われるのだからなおさらだ。
恥ずかしさもあったがそれ以上に喜びの方が大きかった。
思わず顔がニヤけそうになるのを必死に堪えることしかできなかったが、それでも口元だけは緩んでしまっていたかもしれない。
「どういたしまして」
そう言って微笑みかけると、彼女も微笑み返してくれた。
その笑顔を見ていると幸せな気分になれるような気がした。
こんな時間がずっと続けばいいのにと思うほどだったが、そういうわけにもいかないだろうと思い直すことにした。
名残惜しかったが手を離すと立ち上がった。
いつまでもこうしているわけにはいかないからだ。
彼女もわかっているようで素直に従ってくれた。
その後二人で街に戻ると、レイナの家まで送り届けることにした。
その道中で色々な話をしたが、どれも楽しいものばかりだった。
彼女の話を聞いていると、自分のことまで楽しくなってくるような気がしてくるほどだった。
気がつけばあっという間に時間が過ぎていたようで、気づいた時にはもう家の前に到着してしまっていた。
もう少し話をしていたかったが仕方がないだろう。
「今日は本当にありがとう。助かったよ」
俺は彼女に礼を言うとその場を後にしたのだった。
翌朝目が覚めると、既に日が高く昇っていた。
どうやら熟睡してしまったらしい。
我ながら情けないと思いつつ起き上がると大きく伸びをする。
すると関節が鳴った音が聞こえてきた。
その音を聞いて苦笑しながらベッドから降りると、いつものように顔を洗いに行くために部屋を出た。
洗面所へ向かう途中、リビングの前を通りかかると中から話し声が聞こえてきたため足を止めて
聞き耳を立てることにした。
どうやら両親が話しているようだったがその内容というのが驚くべきものだったのである。
なんと昨日会ったあの少女こそが行方不明になっていたはずの自分の妹だったのだというのだ。
信じられないという気持ちはあったが同時に納得している部分もあった。
「あの子は間違いなくお前の妹だ。間違いない」
父親が言う。
やはりそうなのか……だとしたらどうしてあいつは自分が兄だと名乗らなかったのだろう?
疑問が残るばかりだ。
そんなことを考えているうちに母親が口を開いた。
どうやら何か事情があるのかもしれないということだった。
確かにそれも考えられることだとは思うが、それにしても一言も説明せずに去って行ってしまう
というのはあまりにも冷たいのではないかと思ってしまう。
そんなことを考えながら歩いているうちに洗面所についたので顔を洗うことにする。
冷たい水でさっぱりしたところで顔を上げると鏡に映った自分の顔が目に入った。
「はぁ……」
思わずため息が出てしまう。
というのも、先日の一件以来どうも気分が晴れないのだ。
原因は分かっている。
妹のことが気になっているのだ。
(あれからどうしたんだろう……?)
どうしても考えてしまう。
一度気になり始めると止まらないもので、気がつくと彼女のことばかり考えている自分に気がつくのだった。
そんな時だった。
部屋のドアがノックされたかと思うと、返事も待たずに扉が開かれた。
そこに立っていたのは幼馴染のレイナだった。
彼女はこちらを見るなり嬉しそうに微笑んでいるように見えたが気のせいだろうか?
一瞬そう思ったものの、すぐにそうではないことに気が付いた。
なぜなら彼女はなぜか俺の姿を凝視しているように見えたからだ。
「どうかしたのか?」
不思議に思って尋ねると、彼女はハッとした様子で慌てて目を逸らした。
どうやら無意識の行動だったらしい。
それから少し間を置いてから口を開くとこう言った。
「……ううん、なんでもないわ」
そう言いながら首を横に振る彼女だったが、明らかに様子がおかしいことは一目瞭然だった。
だがそれ以上追及しても無駄だということは分かっていたので諦めることにする。
その代わりに別の話題を振ることにした。
それは彼女がここに来た理由についてである。
わざわざ部屋まで来たのだから何かあるに違いないと思ったからだ。
その後も次々と倒していき、最後の1匹となった時のことだった。
突然後ろから悲鳴が聞こえてきたのだ。
「きゃあっ!!」
振り返るとそこにはレイナの姿があった。
どうやら転んでしまったらしく地面に倒れ込んでいたが、そんな彼女に向かって襲いかかる影があった。
そいつは狼のような姿をした魔物だった。
鋭い牙を剥き出しにして襲いかかろうとしているのが分かる。
(まずい……!)
そう思った瞬間身体が動いていた。
素早く駆け寄ると、飛びかかってきたそいつを切り捨てる。
ドサッと音を立てて倒れるのを見てホッと胸を撫で下ろすと同時に、背後で小さな悲鳴が上がった。
慌てて振り返ると、そこには呆然と立ち尽くしているレイナの姿があった。
「大丈夫か!?」
声をかけるとハッとした様子でこちらを向く。
その顔には驚きの表情が浮かんでいた。
無理もないことだろう、まさか目の前で人間が真っ二つにされるところを見ることになるとは思わなかっただろうから、
しかしすぐに我を取り戻すと、笑顔を浮かべながら駆け寄ってきた。
彼女は俺の手を取るとこう言った。
「助けてくれてありがとう! すごくカッコ良かったよ!」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥底から嬉しさが込み上げてきた気がした。
今まで誰かに褒められたことなんてほとんどなかったからだ。
それが美少女となれば尚更である。
しかもこんなに可愛い子に言われるのだからなおさらだ。
恥ずかしさもあったがそれ以上に喜びの方が大きかった。
思わず顔がニヤけそうになるのを必死に堪えることしかできなかったが、それでも口元だけは緩んでしまっていたかもしれない。
「どういたしまして」
そう言って微笑みかけると、彼女も微笑み返してくれた。
その笑顔を見ていると幸せな気分になれるような気がした。
こんな時間がずっと続けばいいのにと思うほどだったが、そういうわけにもいかないだろうと思い直すことにした。
名残惜しかったが手を離すと立ち上がった。
いつまでもこうしているわけにはいかないからだ。
彼女もわかっているようで素直に従ってくれた。
その後二人で街に戻ると、レイナの家まで送り届けることにした。
その道中で色々な話をしたが、どれも楽しいものばかりだった。
彼女の話を聞いていると、自分のことまで楽しくなってくるような気がしてくるほどだった。
気がつけばあっという間に時間が過ぎていたようで、気づいた時にはもう家の前に到着してしまっていた。
もう少し話をしていたかったが仕方がないだろう。
「今日は本当にありがとう。助かったよ」
俺は彼女に礼を言うとその場を後にしたのだった。
翌朝目が覚めると、既に日が高く昇っていた。
どうやら熟睡してしまったらしい。
我ながら情けないと思いつつ起き上がると大きく伸びをする。
すると関節が鳴った音が聞こえてきた。
その音を聞いて苦笑しながらベッドから降りると、いつものように顔を洗いに行くために部屋を出た。
洗面所へ向かう途中、リビングの前を通りかかると中から話し声が聞こえてきたため足を止めて
聞き耳を立てることにした。
どうやら両親が話しているようだったがその内容というのが驚くべきものだったのである。
なんと昨日会ったあの少女こそが行方不明になっていたはずの自分の妹だったのだというのだ。
信じられないという気持ちはあったが同時に納得している部分もあった。
「あの子は間違いなくお前の妹だ。間違いない」
父親が言う。
やはりそうなのか……だとしたらどうしてあいつは自分が兄だと名乗らなかったのだろう?
疑問が残るばかりだ。
そんなことを考えているうちに母親が口を開いた。
どうやら何か事情があるのかもしれないということだった。
確かにそれも考えられることだとは思うが、それにしても一言も説明せずに去って行ってしまう
というのはあまりにも冷たいのではないかと思ってしまう。
そんなことを考えながら歩いているうちに洗面所についたので顔を洗うことにする。
冷たい水でさっぱりしたところで顔を上げると鏡に映った自分の顔が目に入った。
「はぁ……」
思わずため息が出てしまう。
というのも、先日の一件以来どうも気分が晴れないのだ。
原因は分かっている。
妹のことが気になっているのだ。
(あれからどうしたんだろう……?)
どうしても考えてしまう。
一度気になり始めると止まらないもので、気がつくと彼女のことばかり考えている自分に気がつくのだった。
そんな時だった。
部屋のドアがノックされたかと思うと、返事も待たずに扉が開かれた。
そこに立っていたのは幼馴染のレイナだった。
彼女はこちらを見るなり嬉しそうに微笑んでいるように見えたが気のせいだろうか?
一瞬そう思ったものの、すぐにそうではないことに気が付いた。
なぜなら彼女はなぜか俺の姿を凝視しているように見えたからだ。
「どうかしたのか?」
不思議に思って尋ねると、彼女はハッとした様子で慌てて目を逸らした。
どうやら無意識の行動だったらしい。
それから少し間を置いてから口を開くとこう言った。
「……ううん、なんでもないわ」
そう言いながら首を横に振る彼女だったが、明らかに様子がおかしいことは一目瞭然だった。
だがそれ以上追及しても無駄だということは分かっていたので諦めることにする。
その代わりに別の話題を振ることにした。
それは彼女がここに来た理由についてである。
わざわざ部屋まで来たのだから何かあるに違いないと思ったからだ。
0
あなたにおすすめの小説
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた
砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。
彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。
そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。
死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。
その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。
しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、
主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。
自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、
寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。
結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、
自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……?
更新は昼頃になります。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる