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旅立ちの日
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イヴは「ずっとここにいるつもり?」と聞いてきて、俺はそれもいいかもしれないと思った。
生きるのも大変な場所だけど、街の人達はいい人だし…俺はリラの考えを変えたい。
リラは俺と一緒に死ぬつもりだったんだろう、だから一緒に出ようと言ったんだ。
一人で死ぬのが怖いからって一緒に死ぬ事が幸せだと思っているリラに、生きていればもっと幸せになれるって教えたい。
街でも俺を必要としてくれる人がいるなら俺は助けたい。
その気持ちがより強く思うようになったのはきっと貧民堕ちをしたからかもしれない。
ずっとあのままだったら、俺は貧民は悪い奴だって思っていた。
でも本当に悪い奴はマティアスで、聖騎士が殺して天国に連れて行ってくれる話も嘘だった。
それが知れただけでも、俺の考えは変わった。
「イヴ、来てくれてありがとう…でも俺はここに残るよ」
「分かった、じゃあユーリの両親にお別れの挨拶に行こうか」
「…お別れって、何言ってんの?」
「安心して、ユーリを産んでくれた人達になにかするつもりはないから…ただ黙っていなくなったら心配するでしょ?」
「イヴ、俺の話ちゃんと聞いて…」
「聞いてるよ、ユーリは俺と一緒に帰るんだ」
イヴの瞳から光が消えて、仄暗い瞳が俺を見つめていた。
俺の腕を掴んで、引っ張るから無理矢理前を歩かされた。
イヴは何を考えているんだ、お別れの挨拶なんて…俺はここから出るつもりはない。
街に来ると、イヴの姿を見た街の人達は頭を下げていた。
イヴのオーラが凄くて、後ろにいる俺なんて眼中にないようだ。
その中でも、俺の名前を呼んでいる人の姿が見えてイヴの前に出た。
両親とリラは俺の姿を見つけて、駆け寄ってきた。
涙を流す母さんに抱きしめられた時、俺の腕を掴んでいるイヴの力が少し強まった。
でもそれは一瞬で、すぐに手は離された。
「ユーリ、どこ行っていたんだ!父さんと母さんは心配していたんだぞ!」
「ごめんなさい」
「俺を置いて一人でマティアス様のところに行ったのかと思ったぞ」
「…リラ」
リラは俺の傍にいるイヴの姿を見て、驚いていた。
両親も今イヴに気付いたのか、慌てて頭を下げていた。
イヴにすら気付くのが遅くなるほど、俺の事を心配していたんだな。
マティアスに捕まった時は両親に伝える事すら出来なかったけど、今度から常に周りに警戒しようと思った。
イヴが来たからか、リラはとうとう自分の番が来たんだと勘違いしていた。
そして、俺の腕を掴んで母さんのところからリラのところに移動した。
「聖騎士様、殺すなら俺とユーリ二人でお願いします」
「は?」
「ちょっとリラ、何言ってんだよ…イ…聖騎士様はそのために来たんじゃないから!」
「…そう、なのか?」
リラは半信半疑でイヴの方を見ていた。
イヴは俺の指にいつの間にか戻っていた指輪に触れていた。
すると、繋がれた腕から電流が流れてまたリラは大きな声を上げた。
さっきイヴに触られた時は何ともなかった、母さんの時も…
でもイヴが指輪に触れた瞬間にまた電流が復活していた。
リラは痛みでしゃがみ込んでいて、俺はリラの様子を伺おうと思ったがイヴに手を繋がられた。
「お父さんお母さん」
『は、はい!』
「息子さんについてお話があります」
突然聖騎士様にそんな事を言われたら誰だってビビる。
両親は俺が何かしたんじゃないかと疑っていた。
俺は何も心当たりがない、イヴの誘いを断った事くらいしか……まさかそれ?
イヴは両親と話してくると言って、俺は家の外で待たされた。
なんで入ってきてはいけないのか分からないが、イヴは人差し指を唇に押し付けて妖艶に笑うから入りたくても動けなくなった。
リラはまた痺れているのか、涙を流していた。
イヴをおんぼろの家に呼ぶのは気が引けるのか、両親は腰を低くしていた。
イヴは全く気にしていない様子で家の中に入った。
これほどまでに、この家と聖騎士が似合わない組み合わせがあっただろうか。
壁はないようなものだから耳を当てると聞こえるが、足がそれ以上中に入れなかった。
まるで俺を絶対に入れないと言いたげな結界が張ってある。
そこまでされたら余計に気になってしまう。
首を動かして、姿くらい見えないだろうかと試してみた。
そして、少ししたらイヴと両親が家から出て結界もなくなっあ。
「ユーリ、行こう」
「行こうって」
「話はもう終わったから」
そう言って俺の手を掴んで歩き出そうとしていた。
何の話をしたのか俺には全然教えてくれなくて両親の方を見た。
両親はニコニコ笑っていて、息子の旅立ちを祝福しているようだ。
「聖騎士様に迷惑かけるんじゃないぞ」とか「ユーリ、元気でね」と言っていた。
なにか変だとは思うが、具体的になにが変なのかは俺には分からない。
でもリラだけは、俺の手を掴んで止めていた。
イヴが小さく舌打ちしていた。
「ユーリは俺を見捨てるのか?やっと出来た友達なのに」
「リラ…」
「………友達?」
イヴはリラの前に立って、リラは突然目の前にイヴが来たからびっくりして俺を掴む手を強く握っていた。
リラは俺がいなくても逞しく生きていける…でも、そう言われたら両親に背中を押されても足が進まない。
イヴはリラの腕を掴んで、捻っていた。
容赦ない力でリラの力が抜けて俺から離れた。
すぐに腕を離して、リラは労るように軽い痣が出来た腕をもう片方の手で庇っていた。
イヴはそれを気にせずリラの顔を掴んでいた。
俺はイヴを止めたくて、イヴの腕を掴むともう片方の手が剣に伸びていた。
「だ、ダメだって…ほら、早く行こう!」
俺の声に反応して、イヴはリラを離して俺の腰に腕を回していた。
リラの方に振り返って「今までありがとう、リラにも生きていたらきっといい事あるから」と言うと、リラは顔を下に向けて表情が分からなくなる。
これ以上イヴとリラを放置していたら本気でイヴがリラを殺す気がした。
イヴの気を逸らすには、俺が早くここから出る事が一番だ。
リラには本当にお世話になったし、両親はああ言っていたが俺はそのままにはしておけない。
生きるのも大変な場所だけど、街の人達はいい人だし…俺はリラの考えを変えたい。
リラは俺と一緒に死ぬつもりだったんだろう、だから一緒に出ようと言ったんだ。
一人で死ぬのが怖いからって一緒に死ぬ事が幸せだと思っているリラに、生きていればもっと幸せになれるって教えたい。
街でも俺を必要としてくれる人がいるなら俺は助けたい。
その気持ちがより強く思うようになったのはきっと貧民堕ちをしたからかもしれない。
ずっとあのままだったら、俺は貧民は悪い奴だって思っていた。
でも本当に悪い奴はマティアスで、聖騎士が殺して天国に連れて行ってくれる話も嘘だった。
それが知れただけでも、俺の考えは変わった。
「イヴ、来てくれてありがとう…でも俺はここに残るよ」
「分かった、じゃあユーリの両親にお別れの挨拶に行こうか」
「…お別れって、何言ってんの?」
「安心して、ユーリを産んでくれた人達になにかするつもりはないから…ただ黙っていなくなったら心配するでしょ?」
「イヴ、俺の話ちゃんと聞いて…」
「聞いてるよ、ユーリは俺と一緒に帰るんだ」
イヴの瞳から光が消えて、仄暗い瞳が俺を見つめていた。
俺の腕を掴んで、引っ張るから無理矢理前を歩かされた。
イヴは何を考えているんだ、お別れの挨拶なんて…俺はここから出るつもりはない。
街に来ると、イヴの姿を見た街の人達は頭を下げていた。
イヴのオーラが凄くて、後ろにいる俺なんて眼中にないようだ。
その中でも、俺の名前を呼んでいる人の姿が見えてイヴの前に出た。
両親とリラは俺の姿を見つけて、駆け寄ってきた。
涙を流す母さんに抱きしめられた時、俺の腕を掴んでいるイヴの力が少し強まった。
でもそれは一瞬で、すぐに手は離された。
「ユーリ、どこ行っていたんだ!父さんと母さんは心配していたんだぞ!」
「ごめんなさい」
「俺を置いて一人でマティアス様のところに行ったのかと思ったぞ」
「…リラ」
リラは俺の傍にいるイヴの姿を見て、驚いていた。
両親も今イヴに気付いたのか、慌てて頭を下げていた。
イヴにすら気付くのが遅くなるほど、俺の事を心配していたんだな。
マティアスに捕まった時は両親に伝える事すら出来なかったけど、今度から常に周りに警戒しようと思った。
イヴが来たからか、リラはとうとう自分の番が来たんだと勘違いしていた。
そして、俺の腕を掴んで母さんのところからリラのところに移動した。
「聖騎士様、殺すなら俺とユーリ二人でお願いします」
「は?」
「ちょっとリラ、何言ってんだよ…イ…聖騎士様はそのために来たんじゃないから!」
「…そう、なのか?」
リラは半信半疑でイヴの方を見ていた。
イヴは俺の指にいつの間にか戻っていた指輪に触れていた。
すると、繋がれた腕から電流が流れてまたリラは大きな声を上げた。
さっきイヴに触られた時は何ともなかった、母さんの時も…
でもイヴが指輪に触れた瞬間にまた電流が復活していた。
リラは痛みでしゃがみ込んでいて、俺はリラの様子を伺おうと思ったがイヴに手を繋がられた。
「お父さんお母さん」
『は、はい!』
「息子さんについてお話があります」
突然聖騎士様にそんな事を言われたら誰だってビビる。
両親は俺が何かしたんじゃないかと疑っていた。
俺は何も心当たりがない、イヴの誘いを断った事くらいしか……まさかそれ?
イヴは両親と話してくると言って、俺は家の外で待たされた。
なんで入ってきてはいけないのか分からないが、イヴは人差し指を唇に押し付けて妖艶に笑うから入りたくても動けなくなった。
リラはまた痺れているのか、涙を流していた。
イヴをおんぼろの家に呼ぶのは気が引けるのか、両親は腰を低くしていた。
イヴは全く気にしていない様子で家の中に入った。
これほどまでに、この家と聖騎士が似合わない組み合わせがあっただろうか。
壁はないようなものだから耳を当てると聞こえるが、足がそれ以上中に入れなかった。
まるで俺を絶対に入れないと言いたげな結界が張ってある。
そこまでされたら余計に気になってしまう。
首を動かして、姿くらい見えないだろうかと試してみた。
そして、少ししたらイヴと両親が家から出て結界もなくなっあ。
「ユーリ、行こう」
「行こうって」
「話はもう終わったから」
そう言って俺の手を掴んで歩き出そうとしていた。
何の話をしたのか俺には全然教えてくれなくて両親の方を見た。
両親はニコニコ笑っていて、息子の旅立ちを祝福しているようだ。
「聖騎士様に迷惑かけるんじゃないぞ」とか「ユーリ、元気でね」と言っていた。
なにか変だとは思うが、具体的になにが変なのかは俺には分からない。
でもリラだけは、俺の手を掴んで止めていた。
イヴが小さく舌打ちしていた。
「ユーリは俺を見捨てるのか?やっと出来た友達なのに」
「リラ…」
「………友達?」
イヴはリラの前に立って、リラは突然目の前にイヴが来たからびっくりして俺を掴む手を強く握っていた。
リラは俺がいなくても逞しく生きていける…でも、そう言われたら両親に背中を押されても足が進まない。
イヴはリラの腕を掴んで、捻っていた。
容赦ない力でリラの力が抜けて俺から離れた。
すぐに腕を離して、リラは労るように軽い痣が出来た腕をもう片方の手で庇っていた。
イヴはそれを気にせずリラの顔を掴んでいた。
俺はイヴを止めたくて、イヴの腕を掴むともう片方の手が剣に伸びていた。
「だ、ダメだって…ほら、早く行こう!」
俺の声に反応して、イヴはリラを離して俺の腰に腕を回していた。
リラの方に振り返って「今までありがとう、リラにも生きていたらきっといい事あるから」と言うと、リラは顔を下に向けて表情が分からなくなる。
これ以上イヴとリラを放置していたら本気でイヴがリラを殺す気がした。
イヴの気を逸らすには、俺が早くここから出る事が一番だ。
リラには本当にお世話になったし、両親はああ言っていたが俺はそのままにはしておけない。
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