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結界
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イヴの方を見ると、イヴは俺をジッと見つめていた。
「ユーリ、アイツの事友達だと思ってる?」
「うん」
「ユーリは勘違いしている、あんなのは友達じゃない……ユーリには必要のない存在だから」
「そんな、事…」
「ね?」
イヴの手で頬が包まれて、瞳と瞳が合わさる。
リラは友達だ、必要のない存在ではない。
でもイヴは俺が頷くまで、手を離す事はなかった。
とりあえずこの場で頷くと、イヴは満足そうに笑っていた。
イヴにリラの話は今後しない方がいいだろう。
二人は初対面の筈なのに、何故仲が悪いんだろうか。
「イヴ」
「何?」
「貧困街をなくす事は出来ない?」
「……」
「あそこにいる人達は悪い人じゃないんだ、なのに悪者にされて……死ぬ事しかこの街を出る事が出来ないんだ、そんなの可笑しいよ」
貧民も平民も貴族も同じ魔導士だ。
貧民堕ちしたら、平民に戻る事も出来ずに閉鎖された世界で死を待つしかない。
明るく振る舞っても、ふとした瞬間に顔色が悪くなる。
俺に出来る事はイヴに頼む事しかない、それでも俺に出来る事は協力したい。
貧困街の入り口で足を止めて、イヴに腕を引かれて普通に外に出た。
貧困街の結界にどんな効果があるのか触れた事がなかったから知らなかった。
イヴがいるからなのかな、イヴは何も喋らなくなったけど…
やっと口を開いたかと思ったらイヴは変な事を言っていた。
「貧困街は悪者になってないよ」
「……え?」
「ここの人達は好きでここにいるだけ」
「そんな事!!」
「縛る結界なんて何処にもないよ」
イヴが後ろを振り返り入り口に手を伸ばすが、確かにそこには何もない。
でもマティアスは結界を張った筈だ、どうして…
イヴを見るとそれ以上は何も言わず、俺の手を引いて歩き出した。
少ししか離れていなかったのに、久々に街を見た気分だった。
マティアスがまだこの街にいると思うと、イヴの後ろに隠れてしまう。
街の人達はイヴしか見ていないから、イヴに頭を下げていた。
イヴは俺の顔をチラッと見てから、街の人達に声を掛けていた。
元の生活に戻ったようだ、貧困街での出来事が夢であったかのようだ。
「ユーリ、行こう」
「う、ん…学校とかどうなってるんだろう」
「貧民堕ちは強制退学だし、仕事先もないね」
「………俺、これからどうしたらいいんだろう」
「俺のところに永久就職だね」
イヴはとてもいい笑顔でそんな事を言う。
貧民堕ちがどうなるのかリラに聞いていたからある程度は知っていた。
でも貧民を雇っているなんて、聖騎士の名が汚れるのではないのか?
イヴはそれを分かっていて俺を雇うと言っているんだ。
両親にも仕送りしたいし、イヴの好意に甘える事にした。
貴族街のイヴの家の前に戻ってきて、中に入る。
何故か緊張してしまい「お邪魔します」と声を掛けるとクスクスと笑っていた。
「ユーリの家でもあるんだから気にしなくていいのに」
「そう言われても…」
俺が玄関で足を止めると、イヴも足を止めた。
イヴの言っていた事をずっと考えていた。
結界がなかったら、いつでも貧困街を抜け出せるのではないのか。
でも結界がなくなったのを知らないで貧困街にいるのなら教えた方がいいよな。
貧困街の人が好きでいるなんて、そんな事あるわけがない。
俺はイヴにもう一度貧困街に行って、教えたいと言ってドアを開けようとした。
しかし、後ろから覆い被さるように両腕で俺を閉じ込めた。
イヴとドアに挟まれている状態で、身動きが取れなかった。
「ユーリ、ダメだよ」
「…なんで」
「結界なんてない、あそこから出ないのは自分達の意思だ」
「そんな筈ない、だって俺に教えて」
「誰に?」
俺の声に被せるようにイヴが口にするから俺は黙るしかなかった。
リラの名前を出したらダメだ、俺は街の人に…と曖昧に言った。
リラも街の人だから間違ってはいない。
なんで結界の事を知らないってイヴは思っているんだ?
リラが知っている事なんだから、街の人達だって皆知っている。
街から出る方法が死ぬ事しかないって思ったのは、街から出られないと分かっているからだ。
イヴに手首を触られて、ドアノブを握っていた手を上から重ねられる。
耳元で吐息混じりで囁かれると、ゾクゾクと体が震えて思い出してしまう。
イヴと体を重ねたあの時の光景を…
「ユーリ、なんで結界の事知ってるんだ?」
「…な、んでって…」
「なんでそんな事を言うんだ?」
イヴの言っている事が分からない、なんでって…忘れるわけがない。
イヴは「ユーリが変な奴だと言われて嫌な思いをするだけだ、そんなところ行かせられない」と俺を抱きしめて一歩二歩とドアから離れる。
ドアに腕を伸ばすとその前にイヴが手をかざしてドアに結界を張った。
マティアスが街に掛けた結界の魔法陣とは形が違くて、イヴのは二重に魔法陣が重なっていた。
マティアスのより強力なのは見れば分かる。
俺を抱きしめる腕を強くさせて、ドアに伸ばしていた腕を下ろした。
「貧困街は隔離されていた場所だって子供の頃から知っていた話なのに、なにが起きているんだ?」
「貧困街は訳ありで普通に暮らせなくなった人達が住む場所だ、レベルコンプレックスの集まりとも言えるな」
確かに貧困街の人達は、借金を抱えた人が大勢集まっていた。
魔力レベルも低いのがコンプレックスの人は確かにいる。
貧困街なら、低いレベルの人が多いからコンプレックスを持っている人には住みやすいだろう。
でも、それだけじゃない…隔離しているのはきっとマティアスだ。
リラはマティアスがよく来ると言っていた。
だから結界を張ったのはマティアスだ。
貧民を殺していたのもマティアス、マティアスに聞けば分かる筈だ。
会いたくはないが、イヴにマティアスの話をすれば隔離されていた事が分かる筈だ。
イヴが貧困街の事を知らないのは不思議だが、もしかしたらという事もある。
イヴが俺を助けた時にはマティアスがいなかったから入れ違いになっていたと思うからマティアスが黒幕なのを知らない。
「ユーリ、アイツの事友達だと思ってる?」
「うん」
「ユーリは勘違いしている、あんなのは友達じゃない……ユーリには必要のない存在だから」
「そんな、事…」
「ね?」
イヴの手で頬が包まれて、瞳と瞳が合わさる。
リラは友達だ、必要のない存在ではない。
でもイヴは俺が頷くまで、手を離す事はなかった。
とりあえずこの場で頷くと、イヴは満足そうに笑っていた。
イヴにリラの話は今後しない方がいいだろう。
二人は初対面の筈なのに、何故仲が悪いんだろうか。
「イヴ」
「何?」
「貧困街をなくす事は出来ない?」
「……」
「あそこにいる人達は悪い人じゃないんだ、なのに悪者にされて……死ぬ事しかこの街を出る事が出来ないんだ、そんなの可笑しいよ」
貧民も平民も貴族も同じ魔導士だ。
貧民堕ちしたら、平民に戻る事も出来ずに閉鎖された世界で死を待つしかない。
明るく振る舞っても、ふとした瞬間に顔色が悪くなる。
俺に出来る事はイヴに頼む事しかない、それでも俺に出来る事は協力したい。
貧困街の入り口で足を止めて、イヴに腕を引かれて普通に外に出た。
貧困街の結界にどんな効果があるのか触れた事がなかったから知らなかった。
イヴがいるからなのかな、イヴは何も喋らなくなったけど…
やっと口を開いたかと思ったらイヴは変な事を言っていた。
「貧困街は悪者になってないよ」
「……え?」
「ここの人達は好きでここにいるだけ」
「そんな事!!」
「縛る結界なんて何処にもないよ」
イヴが後ろを振り返り入り口に手を伸ばすが、確かにそこには何もない。
でもマティアスは結界を張った筈だ、どうして…
イヴを見るとそれ以上は何も言わず、俺の手を引いて歩き出した。
少ししか離れていなかったのに、久々に街を見た気分だった。
マティアスがまだこの街にいると思うと、イヴの後ろに隠れてしまう。
街の人達はイヴしか見ていないから、イヴに頭を下げていた。
イヴは俺の顔をチラッと見てから、街の人達に声を掛けていた。
元の生活に戻ったようだ、貧困街での出来事が夢であったかのようだ。
「ユーリ、行こう」
「う、ん…学校とかどうなってるんだろう」
「貧民堕ちは強制退学だし、仕事先もないね」
「………俺、これからどうしたらいいんだろう」
「俺のところに永久就職だね」
イヴはとてもいい笑顔でそんな事を言う。
貧民堕ちがどうなるのかリラに聞いていたからある程度は知っていた。
でも貧民を雇っているなんて、聖騎士の名が汚れるのではないのか?
イヴはそれを分かっていて俺を雇うと言っているんだ。
両親にも仕送りしたいし、イヴの好意に甘える事にした。
貴族街のイヴの家の前に戻ってきて、中に入る。
何故か緊張してしまい「お邪魔します」と声を掛けるとクスクスと笑っていた。
「ユーリの家でもあるんだから気にしなくていいのに」
「そう言われても…」
俺が玄関で足を止めると、イヴも足を止めた。
イヴの言っていた事をずっと考えていた。
結界がなかったら、いつでも貧困街を抜け出せるのではないのか。
でも結界がなくなったのを知らないで貧困街にいるのなら教えた方がいいよな。
貧困街の人が好きでいるなんて、そんな事あるわけがない。
俺はイヴにもう一度貧困街に行って、教えたいと言ってドアを開けようとした。
しかし、後ろから覆い被さるように両腕で俺を閉じ込めた。
イヴとドアに挟まれている状態で、身動きが取れなかった。
「ユーリ、ダメだよ」
「…なんで」
「結界なんてない、あそこから出ないのは自分達の意思だ」
「そんな筈ない、だって俺に教えて」
「誰に?」
俺の声に被せるようにイヴが口にするから俺は黙るしかなかった。
リラの名前を出したらダメだ、俺は街の人に…と曖昧に言った。
リラも街の人だから間違ってはいない。
なんで結界の事を知らないってイヴは思っているんだ?
リラが知っている事なんだから、街の人達だって皆知っている。
街から出る方法が死ぬ事しかないって思ったのは、街から出られないと分かっているからだ。
イヴに手首を触られて、ドアノブを握っていた手を上から重ねられる。
耳元で吐息混じりで囁かれると、ゾクゾクと体が震えて思い出してしまう。
イヴと体を重ねたあの時の光景を…
「ユーリ、なんで結界の事知ってるんだ?」
「…な、んでって…」
「なんでそんな事を言うんだ?」
イヴの言っている事が分からない、なんでって…忘れるわけがない。
イヴは「ユーリが変な奴だと言われて嫌な思いをするだけだ、そんなところ行かせられない」と俺を抱きしめて一歩二歩とドアから離れる。
ドアに腕を伸ばすとその前にイヴが手をかざしてドアに結界を張った。
マティアスが街に掛けた結界の魔法陣とは形が違くて、イヴのは二重に魔法陣が重なっていた。
マティアスのより強力なのは見れば分かる。
俺を抱きしめる腕を強くさせて、ドアに伸ばしていた腕を下ろした。
「貧困街は隔離されていた場所だって子供の頃から知っていた話なのに、なにが起きているんだ?」
「貧困街は訳ありで普通に暮らせなくなった人達が住む場所だ、レベルコンプレックスの集まりとも言えるな」
確かに貧困街の人達は、借金を抱えた人が大勢集まっていた。
魔力レベルも低いのがコンプレックスの人は確かにいる。
貧困街なら、低いレベルの人が多いからコンプレックスを持っている人には住みやすいだろう。
でも、それだけじゃない…隔離しているのはきっとマティアスだ。
リラはマティアスがよく来ると言っていた。
だから結界を張ったのはマティアスだ。
貧民を殺していたのもマティアス、マティアスに聞けば分かる筈だ。
会いたくはないが、イヴにマティアスの話をすれば隔離されていた事が分かる筈だ。
イヴが貧困街の事を知らないのは不思議だが、もしかしたらという事もある。
イヴが俺を助けた時にはマティアスがいなかったから入れ違いになっていたと思うからマティアスが黒幕なのを知らない。
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