花鳥見聞録

木野もくば

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第三話 カッパンデミック

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「ルイ、知っているか? 今、世界でカッパウイルスが大流行しているらしいぞ」

「カッパウイルス?」

「ああ、新種のウイルスらしい。何でもカッパの姿をしたウイルスで、キュウリを媒介ばいかいにして食わせたヤツを感染させるらしい」

「そのウイルスに感染したらどうなるの?」

「キュウリがきらいなヤツでも、ほんの少しだけキュウリが好きになるそうだ。もとから好きなヤツは、もっと好きになるらしい」

「……ふーん。それで、何か困るの?」

「そりゃ、困るだろう。みんながキュウリを欲しがるから品薄しなうすになって値上がりしちまう」

「たしかにキュウリおいしいから値上がりすると困っちゃうね」

うわさをすれば、見てみろよ。カッパたちがキュウリを食わそうとしてオッサンを取り囲んでる」

「本当だ。私の記憶とは関係ないかもしれないけど気になるね」

「もう少し近くで様子を見てみるか」

 モクとルイは、おじさんとカッパがいる場所まで近寄って様子をうかがいます。

「や、やめろー。オレはキュウリがきらいなんだ!」

 おじさんは、カッパたちの猛攻もうこうをかわしながら叫んでいました。

「カッパ? カパカッパ!!」

 カッパは、一瞬いっしゅんすきをついて、キュウリをおじさんの口の中に突っ込みました。

「うっ!」

 キュウリを突っ込まれたおじさんのほおが、だんだんと桃色ももいろに染まっていきます。

「な、なんだこれ? キュウリって、こんなに美味うまかったのか……」

「カパッ!」

 おじさんが幸せそうにキュウリを頬張ほおばる姿を見届けるとカッパたちは満足気まんぞくげ消滅しょうめつしていきました。

「……な、なんか、このパンデミックは、ほっといても自然に終息しゅうそくしそうだな」

「……そうだね。次の場所に行こう」






(カッパとおじさん)

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