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回想、オレリアン
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初めてルーデル公爵令嬢コンスタンスときちんと会ったのは、俺が公爵家を訪ねた時である。
もう王家から縁談を持ち込まれた時点で断るという選択肢はなく、すでに事実上の婚約者である彼女と俺の顔合わせの席であった。
騎士である俺はあの舞踏会以降も夜会などがあると王宮の警護にあたっていたので、フィリップ殿下にエスコートされているコンスタンスをたびたび目にしていた。
当時の俺にとって彼女は警護対象の1人であり、当然何の感情もない。
未来の王妃であり、一介の騎士でしかない自分とはおそらく一生口を利くこともないような雲の上の存在だったから。
王太子の傍らに立ち、ずっとその口元に微笑みを浮かべている彼女は、この国を代表する、完璧な貴婦人として俺の目には写っていた。
コンスタンスの方も時々見かける程度には俺の顔を知っていたかもしれない。
ただ、当然名も知らぬ、その他大勢の騎士の1人として。
そんな、一生関わらずに生きていくはずだった2人に王家から縁談が持ち込まれたのは、王妃様が画策したからだ。
まさか王妃様がおおっぴらに動くことは出来なかったが、縁談は水面下で、義母カレンをも排除して、ものすごいスピードで進められていた。
破談の原因の非がコンスタンスに全くない以上、なるべく王太子より先に彼女を結婚させたいとの、王妃様の想いからである。
当然これから迎え入れる隣国の王女への配慮もあっただろうが。
国内の貴族で年齢が釣り合い、政治的背景がなく、婚約者もいない男ー。
それが、俺に白羽の矢が立った理由。
王太子との婚約が解消された令嬢と、爵位を持たなかった一介の騎士が、ただ王家の面目を保つために娶せられたものである。
俺にとってこの縁談は王命であり、拒否出来ぬもの。
了承した途端俺は侯爵に叙爵されるなど、当事者を置き去りにことは進んでいたが、もう俺はなるようになれといった気持ちだった。
俺自身将来を誓った恋人に去られたばかりで、この縁談はお互いの傷を舐め合うだけのものだ…、と認識していたからだ。
そんなわけで、形式上結婚を申し入れるために、俺はルーデル公爵家を訪ねた。
わかっていたことではあるが、公爵家としても俺をあたたかく迎え入れる雰囲気などない。
王太子妃になる予定であった愛娘がポッと出の騎士に嫁ぐのだから、屈辱以外の何者でもなかったのだろう。
公爵家の応接間に通された俺に、コンスタンスは美しく、流れるような挨拶をした。
「ルーデル公爵が長女、コンスタンスでございます。
不束者ではございますが、どうぞ末永くよろしくお願い致します」
それまでも王太子の婚約者としての彼女は何度も目にしてきたが、こうして向かい合って会うのは初めて。
目と目をしっかり合わせるのも初めてだ。
この時俺は21歳で、彼女は17歳。
だが、その気品溢れる美しさと凛とした佇まいは、とても17歳の少女には見えない。
まるで、人形のようだなー。
それが、その時俺が彼女に持った印象だった。
俺は、
「コンスタンス嬢を、私の妻としてお迎えすることをお許し願いたい」
と淡々と告げた。
義両親になる公爵夫妻、義兄になるエリアスも、筋書き通り、それを淡々と了承した。
ただ、義母カレンの処遇だけは言及された。
公爵家の調べでも、カレンについての良くない噂は耳に入っていたからだ。
公爵家の希望はコンスタンスと義母を関わらせないことであり、当然同居させないことだった。
俺には煩わしい親戚もなく、政治的な背景もないことが王妃様のお眼鏡にかなったようだが、年若く妖艶な義母の存在だけが、不安材料であったようだから。
もちろん俺自身もそれは考えていたことであり、王都を離れることを嫌がる義母に別邸を充てがおうと思っていた。
義父が亡くなって以来余計に俺に纏わりつくようになり、セリーヌとの破局に追い込んだ義母が、コンスタンスを邪険にしないはずがないと思われたから。
もう王家から縁談を持ち込まれた時点で断るという選択肢はなく、すでに事実上の婚約者である彼女と俺の顔合わせの席であった。
騎士である俺はあの舞踏会以降も夜会などがあると王宮の警護にあたっていたので、フィリップ殿下にエスコートされているコンスタンスをたびたび目にしていた。
当時の俺にとって彼女は警護対象の1人であり、当然何の感情もない。
未来の王妃であり、一介の騎士でしかない自分とはおそらく一生口を利くこともないような雲の上の存在だったから。
王太子の傍らに立ち、ずっとその口元に微笑みを浮かべている彼女は、この国を代表する、完璧な貴婦人として俺の目には写っていた。
コンスタンスの方も時々見かける程度には俺の顔を知っていたかもしれない。
ただ、当然名も知らぬ、その他大勢の騎士の1人として。
そんな、一生関わらずに生きていくはずだった2人に王家から縁談が持ち込まれたのは、王妃様が画策したからだ。
まさか王妃様がおおっぴらに動くことは出来なかったが、縁談は水面下で、義母カレンをも排除して、ものすごいスピードで進められていた。
破談の原因の非がコンスタンスに全くない以上、なるべく王太子より先に彼女を結婚させたいとの、王妃様の想いからである。
当然これから迎え入れる隣国の王女への配慮もあっただろうが。
国内の貴族で年齢が釣り合い、政治的背景がなく、婚約者もいない男ー。
それが、俺に白羽の矢が立った理由。
王太子との婚約が解消された令嬢と、爵位を持たなかった一介の騎士が、ただ王家の面目を保つために娶せられたものである。
俺にとってこの縁談は王命であり、拒否出来ぬもの。
了承した途端俺は侯爵に叙爵されるなど、当事者を置き去りにことは進んでいたが、もう俺はなるようになれといった気持ちだった。
俺自身将来を誓った恋人に去られたばかりで、この縁談はお互いの傷を舐め合うだけのものだ…、と認識していたからだ。
そんなわけで、形式上結婚を申し入れるために、俺はルーデル公爵家を訪ねた。
わかっていたことではあるが、公爵家としても俺をあたたかく迎え入れる雰囲気などない。
王太子妃になる予定であった愛娘がポッと出の騎士に嫁ぐのだから、屈辱以外の何者でもなかったのだろう。
公爵家の応接間に通された俺に、コンスタンスは美しく、流れるような挨拶をした。
「ルーデル公爵が長女、コンスタンスでございます。
不束者ではございますが、どうぞ末永くよろしくお願い致します」
それまでも王太子の婚約者としての彼女は何度も目にしてきたが、こうして向かい合って会うのは初めて。
目と目をしっかり合わせるのも初めてだ。
この時俺は21歳で、彼女は17歳。
だが、その気品溢れる美しさと凛とした佇まいは、とても17歳の少女には見えない。
まるで、人形のようだなー。
それが、その時俺が彼女に持った印象だった。
俺は、
「コンスタンス嬢を、私の妻としてお迎えすることをお許し願いたい」
と淡々と告げた。
義両親になる公爵夫妻、義兄になるエリアスも、筋書き通り、それを淡々と了承した。
ただ、義母カレンの処遇だけは言及された。
公爵家の調べでも、カレンについての良くない噂は耳に入っていたからだ。
公爵家の希望はコンスタンスと義母を関わらせないことであり、当然同居させないことだった。
俺には煩わしい親戚もなく、政治的な背景もないことが王妃様のお眼鏡にかなったようだが、年若く妖艶な義母の存在だけが、不安材料であったようだから。
もちろん俺自身もそれは考えていたことであり、王都を離れることを嫌がる義母に別邸を充てがおうと思っていた。
義父が亡くなって以来余計に俺に纏わりつくようになり、セリーヌとの破局に追い込んだ義母が、コンスタンスを邪険にしないはずがないと思われたから。
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