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再び、王都へ
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その時。
途方に暮れていたオレリアンの耳に、突然誰かが叫ぶ声と、パタパタと廊下を走る音が聞こえてきた。
「オレール!!」
コンスタンスだ。
愛おしい妻が、自分を呼ぶ声だ。
「オレール、どこ⁈」
パタパタパタ…ッ!
「奥様!いけません!」
「オレール!!!」
バタンッ!!
思い切り扉が開き、コンスタンスが飛び込んできた。
オレリアンは一瞬「まずい」と思ったが、コンスタンスは彼を見つけると一直線に駆けてきて、そのまま彼に抱きついた。
「オレール!ここにいたのね?」
「奥様!」
続け様にリアが飛び込んでくるが、王太子の姿を見とめて、慌てて
「申し訳ありません!」
と頭を下げた。
「大事なお客様が見えていると言ったのですが、どうしても旦那様を探すとおっしゃって…!」
「だっていつまで待ってもオレールが来ないんだもの!」
オレリアンに抱きついたまま、コンスタンスが叫んだ。
「コニー…」
夫の胸に顔を埋めてしがみつく妻を、オレリアンもしっかりと抱きしめる。
「ごめんね、コニー。寂しかったね」
「…どういうことだ?」
後ろから低い男の声が聞こえ、コンスタンスは振り返った。
そしてフィリップの姿を見とめると、弾かれたようにオレリアンの背中に回り、フィリップから身を隠すようにこちらを伺う。
「ごめんなさい…。
本当にお客様だったのね…」
フィリップは驚愕に言葉を失った。
フィリップの知っているコンスタンスは、こんな子供っぽい話し方をしないし、こんな失礼なことをする女性ではない。
一方、絶句し、目を見開いて自分を凝視する見知らぬ男に、コンスタンスは怯えた。
「私…、お父様やお兄様が、オレールをいじめに来たのかと思って…」
オレリアンの後ろから顔を半分だけ出して話すコンスタンスに、フィリップは言葉を失ったまま。
コンスタンスはどうしていいのかわからずオレリアンの背中にしがみつくと、夫は振り返って優しく妻を見下ろした。
「私を助けに来てくれたのか?」
コンスタンスは力強く頷く。
リアからオレリアンは来客中だと聞きはしたが、こんな夜中に突然来るような客は、てっきり父か兄だと思ったのである。
昨日コンスタンスがヒース侯爵邸で暮らすのを許しはしたが、気が変わって迎えに来たとか、オレリアンを罵りに来たのかと。
だったらコンスタンスは夫を守るため、父と兄にあらためて『オレールと一緒にいたい』ことを訴えに行かなければならない!と。
「コニー…」
気をとり直したフィリップがコンスタンスに近づこうとする。
だがコンスタンスは、余計にオレリアンの背中に貼り付き、身を固くした。
「コニー、フィリップだ。
まさか、私がわからないのか?」
フィリップが訝しげにコンスタンスを覗き込む。
だがコンスタンスはオレリアンの背中にギュッとしがみついたまま。
オレリアンは妻の頭を撫で、優しく囁いた。
「…コニー、フィリップ王太子殿下だ。
ご挨拶しなさい」
(フィリップ…、王太子殿下…?)
コンスタンスは目の前の男を見上げた。
彼女にとってフィリップ王太子と言えば、1つ年上の8歳の少年だ。
12年分の記憶がないコンスタンスにとっては、時々王宮で一緒に遊んだ幼馴染であり、先日婚約者になったばかりの少年のイメージしかない。
でもたしかに目の前の男をよく見てみれば、幼馴染の面影が残っているような…?
「…フィル…?」
コンスタンスは訝し気にそう尋ねた。
「ああそうだ。フィルと呼んでくれるのか?コニー」
フィリップが若干嬉しそうに手を伸ばす。
するとコンスタンスはオレリアンの背中から離れ、前に進み出た。
「コニー?」
オレリアンは慌ててコンスタンスの手を掴もうとしたが、彼女はそのまま進み出て、美しいカーテシーの姿勢をとった。
コンスタンスは王太子と婚約した翌日からの記憶を失っているが、その失った12年間の記憶をある程度は教えてもらって理解している。
王太子が隣国の王女と婚約するため、自分との婚約が解消されたことも。
そのために王家の薦めでオレリアンと結婚したことも。
そして、王太子がもうすぐ結婚することも。
だから、今言うべきことはー。
コンスタンスは、フィリップににっこり笑ってこう言った。
「王太子殿下、ご結婚おめでとうございます」
途方に暮れていたオレリアンの耳に、突然誰かが叫ぶ声と、パタパタと廊下を走る音が聞こえてきた。
「オレール!!」
コンスタンスだ。
愛おしい妻が、自分を呼ぶ声だ。
「オレール、どこ⁈」
パタパタパタ…ッ!
「奥様!いけません!」
「オレール!!!」
バタンッ!!
思い切り扉が開き、コンスタンスが飛び込んできた。
オレリアンは一瞬「まずい」と思ったが、コンスタンスは彼を見つけると一直線に駆けてきて、そのまま彼に抱きついた。
「オレール!ここにいたのね?」
「奥様!」
続け様にリアが飛び込んでくるが、王太子の姿を見とめて、慌てて
「申し訳ありません!」
と頭を下げた。
「大事なお客様が見えていると言ったのですが、どうしても旦那様を探すとおっしゃって…!」
「だっていつまで待ってもオレールが来ないんだもの!」
オレリアンに抱きついたまま、コンスタンスが叫んだ。
「コニー…」
夫の胸に顔を埋めてしがみつく妻を、オレリアンもしっかりと抱きしめる。
「ごめんね、コニー。寂しかったね」
「…どういうことだ?」
後ろから低い男の声が聞こえ、コンスタンスは振り返った。
そしてフィリップの姿を見とめると、弾かれたようにオレリアンの背中に回り、フィリップから身を隠すようにこちらを伺う。
「ごめんなさい…。
本当にお客様だったのね…」
フィリップは驚愕に言葉を失った。
フィリップの知っているコンスタンスは、こんな子供っぽい話し方をしないし、こんな失礼なことをする女性ではない。
一方、絶句し、目を見開いて自分を凝視する見知らぬ男に、コンスタンスは怯えた。
「私…、お父様やお兄様が、オレールをいじめに来たのかと思って…」
オレリアンの後ろから顔を半分だけ出して話すコンスタンスに、フィリップは言葉を失ったまま。
コンスタンスはどうしていいのかわからずオレリアンの背中にしがみつくと、夫は振り返って優しく妻を見下ろした。
「私を助けに来てくれたのか?」
コンスタンスは力強く頷く。
リアからオレリアンは来客中だと聞きはしたが、こんな夜中に突然来るような客は、てっきり父か兄だと思ったのである。
昨日コンスタンスがヒース侯爵邸で暮らすのを許しはしたが、気が変わって迎えに来たとか、オレリアンを罵りに来たのかと。
だったらコンスタンスは夫を守るため、父と兄にあらためて『オレールと一緒にいたい』ことを訴えに行かなければならない!と。
「コニー…」
気をとり直したフィリップがコンスタンスに近づこうとする。
だがコンスタンスは、余計にオレリアンの背中に貼り付き、身を固くした。
「コニー、フィリップだ。
まさか、私がわからないのか?」
フィリップが訝しげにコンスタンスを覗き込む。
だがコンスタンスはオレリアンの背中にギュッとしがみついたまま。
オレリアンは妻の頭を撫で、優しく囁いた。
「…コニー、フィリップ王太子殿下だ。
ご挨拶しなさい」
(フィリップ…、王太子殿下…?)
コンスタンスは目の前の男を見上げた。
彼女にとってフィリップ王太子と言えば、1つ年上の8歳の少年だ。
12年分の記憶がないコンスタンスにとっては、時々王宮で一緒に遊んだ幼馴染であり、先日婚約者になったばかりの少年のイメージしかない。
でもたしかに目の前の男をよく見てみれば、幼馴染の面影が残っているような…?
「…フィル…?」
コンスタンスは訝し気にそう尋ねた。
「ああそうだ。フィルと呼んでくれるのか?コニー」
フィリップが若干嬉しそうに手を伸ばす。
するとコンスタンスはオレリアンの背中から離れ、前に進み出た。
「コニー?」
オレリアンは慌ててコンスタンスの手を掴もうとしたが、彼女はそのまま進み出て、美しいカーテシーの姿勢をとった。
コンスタンスは王太子と婚約した翌日からの記憶を失っているが、その失った12年間の記憶をある程度は教えてもらって理解している。
王太子が隣国の王女と婚約するため、自分との婚約が解消されたことも。
そのために王家の薦めでオレリアンと結婚したことも。
そして、王太子がもうすぐ結婚することも。
だから、今言うべきことはー。
コンスタンスは、フィリップににっこり笑ってこう言った。
「王太子殿下、ご結婚おめでとうございます」
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