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パーティー
しおりを挟む久希は澄也と共にパーティーに参加していた。
気合を入れてメイクをした澄也は美しかった。髪の一部をパールの飾りピンで留めて、ベージュのセットアップを上品に着こなしている。靴のヒールがかなり高めで、久希は心配になったが、久希との身長差を気にして選んだものらしい。
パーティーのあいだ、澄也はずっと久希のそばに寄り添っていたのだが、久希が所用でわずかな時間、席を外すタイミングがあった。
戻った時には、彼は以前のように男たちを侍らせていた。
人垣の隙間から、ふと、澄也の横顔が見えた。
薄く微笑んでいて、目元はひどく冷ややかだった。久しぶりに見る表情だ。かつて久希は、彼の孤独で気高い女王のようなまなざしに一目惚れした。
彼の中身が甘えたがりの可愛い人だと少しずつ知っていき、そのギャップに却って参ってしまった。
それでも、ああいう表情もやはり美しいなとしばし見とれた。
すると視線に気づいたのか、澄也は口を「あ」の形にしてこちらに駆け寄ってきた。
「久希さん! 戻ってきたなら声をかけてよ!」
「すまない。話しはもういいのか?」
「いいも悪いも、俺は用事ないし」
澄也の冷たい物言いに、何人かが苦い顔をした。
彼らをまだ少し気にしながら、澄也は囁いた。
「アイツらさ、俺と久希さんがつがいになったって知ったら、悔しがるんだよ。誰一人、俺のことセフレ以上の扱いしなかったのに。都合のいいオメガでしかなかったハズなのに」
「澄也」
「だからさ、見せつけてやりたかったんだよね、久希さんのこと。誰よりもカッコよくてステキで優しくて、俺のこと心底大事にしてくれる人とつがいになったんだって。へへ! 目的達成」
澄也はブイサインを掲げたが、久希はそれどころじゃなかった。
「あれ? 久希さん、呆れた?」
「いや。……上に行かないか」
なにせアルファとオメガが集うパーティーなので、会場となっているホテルは声をかければ客室の利用もできる。
上、というのはその部屋のことだ。
「なに言ってんの久希さん。そういうのは、新しい出会いを果たしたカップルに譲るもんだよ。つがいが利用したら、生暖かい目で見られちゃうよ」
「だが! つがいにそんな可愛いことを言われた耐えられるものか? いますぐ二人きりになりたい」
澄也の肩に手を置いて必死に訴えるが、彼はキッパリと首を振った。
「ダメ。我慢して」
久希は片手で顔を覆って呻いた。澄也がダメというのならばどうにか耐えるしかあるまい。
だが彼は、さらなる爆弾を投下してきた。
「だって俺さ、久希さんと一緒に帰るあの家がいちばん好きだから」
ハッとして澄也の顔を見ると、彼は恥ずかしそうに身をくねらせたあと、上目遣いで久希をみた。
「ね? 早く帰ろ?」
「つがいが可愛すぎてツラい!」
気づけば馬鹿なことを、大声で叫んでいた。
声を立てて笑う澄也の手を引いて、あとはもう、わき目もふらず我が家へ急いだ。
おわり
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