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14《電波とパンツとトラブルと》
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ここは世田谷豪徳寺 (三訂版)
第14話《電波とパンツとトラブルと》
ブル((;"°;ω°;))
優奈を送りに外に出ると師走の寒さ。
でも、優奈はヘッチャラな顔で、手袋をするのにモタモタしてるわたしを待ってくれる。
「さくらに話して気が楽になったわ」
そう言いながら手袋を拾ってくれた顔はとても晴れやか。
ケンカしたアンが何日かぶりでダイアナと仲直りした時みたいに頬を染め目を輝かせている。
「打ち明けたのは三人目だけど、みんなドン引きするか過剰な笑顔で話題を変えるかだった。こんなに普通に聞いてもらえたのは初めてよ……ほんとうにそうよね、今の世界情勢見てると、大きな事件や変化が起こりそうだものね。ウカウカ生まれ変わっていたんじゃ間に合わないかもしれない。能力を発揮するには、最低でも十歳ぐらいにはなっていないとね。それに気づかせてくれた……あ……ひょっとしたら、さくらも何かのかみさまの生まれ変わりかも!」
何かの神さまの生まれ変わりにされそうになったとき、あの工事現場の跡にさしかかった。
「こないだね、ここで、危うく運命の出会いと錯覚することがあったのよ」
「え、こんな生活道路で?」
「うん、そこで通学途中に水道工事やっててね……」
わたしは、四ノ宮クンと、レイア姫おパンツ事件について話した。自分から話すのは、あれ以来初めて。大きな声で中二病全開で電波な話をされるのは閉口だけど、すごく自然な話題転換になった。
「マリリンモンローが狸になって、スカートあおられてる画像なら見たけど。お姉さんの対策だったのねえ……さくらんちの人たちって、みんなおもしろそうね」
そう言われて考えた。たしかにうちの女たちみんなはひとくせ有り。
「でも、お父さんと兄貴はおもしろくないよ、ごく普通」
「でも、チャンスがあったら会ってみたいな。さくらんちは面白いことに間違いはなさそうだし」
「うん、いつでも大歓迎よ」
「ありがとう。あ、もう駅だ。電車乗って帰るわ」
「うん、またね。わたしで役に立つことがあったら、相談してね」
「うん、じゃ!」
優奈が改札を通って、階段を上がるところまで見送る。自殺しかけた子とは思えない立ち直り。
わたしだったら、もっと引きずってしまう。助けてくれた人の家になんか行けない、学校だって辞めてしまうなあ。
電波な話をパンツで受け止めて、我ながら平仄はあっている。
あ、でもあれはパンツ事件じゃなくてレイア姫事件。
頭の中で言い直し、ホームへの階段に消えていく優菜を見送っていると、スマホがメールのシグナル。
――晩ご飯お鍋にするから、お鍋の出汁と大根買ってきて――
お母さんからだ。こういうところは人の使い方にムダがない。この才能はお姉ちゃんが受け継いでいる。
ウワ(⊙⊙) !
歩きスマホダメーーー(`o´) !
原チャのオバハンが捨て台詞の尾っぽをひきながら走り去っていく。
通行人のひとたちも「なに、あれぇ」という感じで原チャが可哀そうに思えるくらいのオケツを見送っている。
「ちゃんと立ち止まって見てたのにねえ」
べつのオバチャンが味方してくれ、アハハと愛想笑い。
ベスト豪徳寺で、お鍋の出汁パックと大根を買って表に出る。
キキーー!!
すごいブレーキの音がして振り返ると、さっきのオケツが男の人とぶつかりそうになってトラブルになっていた。
ちょっと、あんた!
そっちこそ!
師走の狭い駅前で交通の邪魔だと見ていると、その口論相手がレイア姫事件の四ノ宮クンであることに気づく。ママチャリのオケツは、こういうのに慣れているらしく、四ノ宮クンが押され気味。
「わたしも、さっきオバサンに轢かれそうになりました!」
この一言で、オバサンの分が悪くなり出し、駅の向こうからパトロールのお巡りさんが来たので、オケツは原チャといっしょにオケツを振って逃げていった。
「やあ、君たちとは縁があるね」
お巡りさんの目がへの字になる。
「あ、香取さん!」
レイア姫事件の時にお世話になった香取巡査だ。
「その節ははどうも」
「で、今日は?」
「たまたま、出くわしちゃって」
「お茶でもってとこか。いいなあ、青春は。じゃ本官はパトロール中なので」
で、香取巡査の一言で、駅前のデニーズで、アメリカンクラブサンドを真ん中に置いてお茶になった。
「え、豪徳寺に越してくるの!?」
「うん、大学からはちょっと遠くなるんだけど、この辺安そうだし……」
「なんか、含みのある言い方だ」
「なんだか、街も面白そうだし」
オケツのオバハンなど気にしていない様子。でも、一瞬レイア姫事件が頭をよぎる。
「あ、さくらが考えてるようなことじゃないから。なんか、街の雰囲気がさ、適当にホッタラカシで、適当に構っているようなとこ。さっきの原チャのオバサンなんか程よい刺激」
「アハハ……で、四ノ宮クンて、どこの大学」
サンドイッチをかじりながら気楽に聞いた。
「東京大学」
ゲホッ!
思わず、むせかえった。
☆彡 主な登場人物
佐倉 さくら 帝都女学院高校1年生
佐倉 さつき さくらの姉
佐倉 惣次郎 さくらの父
佐久間 まくさ さくらのクラスメート
山口 えりな さくらのクラスメート バレー部のセッター
米井 由美 さくらのクラスメート 委員長
白石 優奈 帝都の同学年生 自分を八百比丘尼の生まれ変わりだと思っている
氷室 聡子 さつきのバイト仲間の女子高生 サトちゃん
秋元 さつきのバイト仲間
四ノ宮 忠八 道路工事のガードマン
香取 北町警察の巡査
第14話《電波とパンツとトラブルと》
ブル((;"°;ω°;))
優奈を送りに外に出ると師走の寒さ。
でも、優奈はヘッチャラな顔で、手袋をするのにモタモタしてるわたしを待ってくれる。
「さくらに話して気が楽になったわ」
そう言いながら手袋を拾ってくれた顔はとても晴れやか。
ケンカしたアンが何日かぶりでダイアナと仲直りした時みたいに頬を染め目を輝かせている。
「打ち明けたのは三人目だけど、みんなドン引きするか過剰な笑顔で話題を変えるかだった。こんなに普通に聞いてもらえたのは初めてよ……ほんとうにそうよね、今の世界情勢見てると、大きな事件や変化が起こりそうだものね。ウカウカ生まれ変わっていたんじゃ間に合わないかもしれない。能力を発揮するには、最低でも十歳ぐらいにはなっていないとね。それに気づかせてくれた……あ……ひょっとしたら、さくらも何かのかみさまの生まれ変わりかも!」
何かの神さまの生まれ変わりにされそうになったとき、あの工事現場の跡にさしかかった。
「こないだね、ここで、危うく運命の出会いと錯覚することがあったのよ」
「え、こんな生活道路で?」
「うん、そこで通学途中に水道工事やっててね……」
わたしは、四ノ宮クンと、レイア姫おパンツ事件について話した。自分から話すのは、あれ以来初めて。大きな声で中二病全開で電波な話をされるのは閉口だけど、すごく自然な話題転換になった。
「マリリンモンローが狸になって、スカートあおられてる画像なら見たけど。お姉さんの対策だったのねえ……さくらんちの人たちって、みんなおもしろそうね」
そう言われて考えた。たしかにうちの女たちみんなはひとくせ有り。
「でも、お父さんと兄貴はおもしろくないよ、ごく普通」
「でも、チャンスがあったら会ってみたいな。さくらんちは面白いことに間違いはなさそうだし」
「うん、いつでも大歓迎よ」
「ありがとう。あ、もう駅だ。電車乗って帰るわ」
「うん、またね。わたしで役に立つことがあったら、相談してね」
「うん、じゃ!」
優奈が改札を通って、階段を上がるところまで見送る。自殺しかけた子とは思えない立ち直り。
わたしだったら、もっと引きずってしまう。助けてくれた人の家になんか行けない、学校だって辞めてしまうなあ。
電波な話をパンツで受け止めて、我ながら平仄はあっている。
あ、でもあれはパンツ事件じゃなくてレイア姫事件。
頭の中で言い直し、ホームへの階段に消えていく優菜を見送っていると、スマホがメールのシグナル。
――晩ご飯お鍋にするから、お鍋の出汁と大根買ってきて――
お母さんからだ。こういうところは人の使い方にムダがない。この才能はお姉ちゃんが受け継いでいる。
ウワ(⊙⊙) !
歩きスマホダメーーー(`o´) !
原チャのオバハンが捨て台詞の尾っぽをひきながら走り去っていく。
通行人のひとたちも「なに、あれぇ」という感じで原チャが可哀そうに思えるくらいのオケツを見送っている。
「ちゃんと立ち止まって見てたのにねえ」
べつのオバチャンが味方してくれ、アハハと愛想笑い。
ベスト豪徳寺で、お鍋の出汁パックと大根を買って表に出る。
キキーー!!
すごいブレーキの音がして振り返ると、さっきのオケツが男の人とぶつかりそうになってトラブルになっていた。
ちょっと、あんた!
そっちこそ!
師走の狭い駅前で交通の邪魔だと見ていると、その口論相手がレイア姫事件の四ノ宮クンであることに気づく。ママチャリのオケツは、こういうのに慣れているらしく、四ノ宮クンが押され気味。
「わたしも、さっきオバサンに轢かれそうになりました!」
この一言で、オバサンの分が悪くなり出し、駅の向こうからパトロールのお巡りさんが来たので、オケツは原チャといっしょにオケツを振って逃げていった。
「やあ、君たちとは縁があるね」
お巡りさんの目がへの字になる。
「あ、香取さん!」
レイア姫事件の時にお世話になった香取巡査だ。
「その節ははどうも」
「で、今日は?」
「たまたま、出くわしちゃって」
「お茶でもってとこか。いいなあ、青春は。じゃ本官はパトロール中なので」
で、香取巡査の一言で、駅前のデニーズで、アメリカンクラブサンドを真ん中に置いてお茶になった。
「え、豪徳寺に越してくるの!?」
「うん、大学からはちょっと遠くなるんだけど、この辺安そうだし……」
「なんか、含みのある言い方だ」
「なんだか、街も面白そうだし」
オケツのオバハンなど気にしていない様子。でも、一瞬レイア姫事件が頭をよぎる。
「あ、さくらが考えてるようなことじゃないから。なんか、街の雰囲気がさ、適当にホッタラカシで、適当に構っているようなとこ。さっきの原チャのオバサンなんか程よい刺激」
「アハハ……で、四ノ宮クンて、どこの大学」
サンドイッチをかじりながら気楽に聞いた。
「東京大学」
ゲホッ!
思わず、むせかえった。
☆彡 主な登場人物
佐倉 さくら 帝都女学院高校1年生
佐倉 さつき さくらの姉
佐倉 惣次郎 さくらの父
佐久間 まくさ さくらのクラスメート
山口 えりな さくらのクラスメート バレー部のセッター
米井 由美 さくらのクラスメート 委員長
白石 優奈 帝都の同学年生 自分を八百比丘尼の生まれ変わりだと思っている
氷室 聡子 さつきのバイト仲間の女子高生 サトちゃん
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