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アサギと黒羽(第5話)
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ゼルキンス村ー。
綿花栽培で何とか生計を立てている過疎地にありがちな小規模な集落だ。辺り一面の綿花畑と、民家が点在しているという光景は、都会の喧騒に疲れた人にとっては風光明媚な土地にも思えるだろうが、遊びたい盛りの若者たちからしてみれば、ただ退屈なだけの村である。
「黒羽、アンタやっぱりフードは被ったままなんだね・・・」
村の入り口で、カルミナー金色の綺麗な髪をツインテールに結った少女が、黒いローブ姿の少女に声をかける。
「ええ、その方が何かと都合がいいので・・・」
フードを被ったまま、黒羽と呼ばれた黒ずくめの少女が、ちらっとカルミナの方を見上げる。全身黒ずくめで、遠目にはその表情を窺いにくいが、かなり美しい娘だ。特に、その細められた黒い瞳が印象的だった。
「黒羽は可愛いから、素顔を晒すと軟派な奴らに目をつけられるからだろ?」
少し残念そうな顔をしながらではあるが、赤い髪の小柄な少年が、黒羽に代わって補足説明をする。浅井翔ーツメを武器として戦う拳闘士だ。
「まあ、黒羽にちょっかいを出そうとするやつは、オレたちがのしてやるけどな」
今度は、青い髪で長身の少年が白い歯を覗かせ笑みを浮かべながら言った。浅井翔の相棒、朝倉卓だ。棍の使い手で、武術家でもある。
「ああ、はいはい、いきなりもめ事だけは起こさないようにね、二人とも」
呆れ顔になりながら、二人の少年を注意するのは、黒い長髪で眼鏡をかけた、少しお姉さん風な印象を受ける美人ーブラーナと言い、カルミナと主にコンビを組んで活動している。
「ところで、翔・・・アンタ、さっき黒羽が可愛いからって言ったけど」
カルミナが、少し納得がいかなそうな顔つきで翔に向き直った。
「素顔晒してるあたしらにお声がかからなかった場合、あたしらはそんなに可愛くないってことになるわけ?」
半眼になりながら尋ねる。
カルミナもブラーナも、一般的な女性の容貌から比較してみれば美人や美少女の部類に入るだろう。
翔は、多少焦りながら、
「いや、お前らもしょっちゅう声をかけられてるだろ。前は、それでブラーナが切れて軟派野郎どもをボコボコにしただろうが!」
「まあ、そうだな・・・黒羽ばかりではなく、うちのチームの女子はみんなハイレベルだろ」
焦る相棒に、卓は助け舟を出した。
「ていうか、お嬢はナンパされてぇのかよ!!」
「お嬢って言うな!!・・・いや、それはないわね」
きっぱりと否定するカルミナ。何せ、自分には既に心に決めた相手がいるのだ。それ以外の人間など相手にしたくもない。
「ふふふ・・・」
不敵な笑いとともに、ブラーナのメガネがきらっと不気味に光る。
「えっと、あの、ブラーナの姉さん?」
ただならぬブラーナの雰囲気に、冷や汗を流しながら押し黙る男2人。
「わかっているとは思うけど・・・二人とも?」
ブラーナが、翔と卓の肩をガシっと摑まえる。
「うちのカルミナに手を出す輩がいたら、遠慮なくやっちゃっていいからね?」
笑顔がマジで怖い・・・思わず唾を飲み込む二人であった・・・。
「ああもう、ブラーナ、やめて!!ほら、配達行くよ、みんな!!」
ここでブラーナに暴走されても困る・・・5人のリーダー格であるカルミナに促され、本来の業務である配達へと向かうことになった。
ーー
「面妖な・・・あやつら、邪術師と親し気に話しておる・・・」
ゼルキンス村を見下ろす丘の上ー。
アサギは、チーム《ラピュタ》がゼルキンス村の入り口でだべっているのを、嫌悪を交えて確認した。さすがに、会話の詳しい内容までは聞こえないものの、雰囲気は何となくわかる。
「もう少し、あやつらを追跡してみる必要があるな・・・む」
どうやら、5人は何かを届けに村に行くようだ。
「ついでに、この浮遊大陸の状況も確認しておくか」
丘の上から飛び降りると、アサギは体を低くして村の近くまで疾走した。
「待っていろ、邪術師・・・その化けの皮をはがしてやる」
ーー
「・・・!?」
一瞬、悪寒が走ったような感じだった。
黒羽は、今入ってきたばかりの村に入り口の方を見つめた。
・・・殺気か・・・?
自分の能力の特性上、命を狙う者がいてもおかしくはないと、それは常日頃から意識していた。
・・・皆さんにご迷惑はかけられませんね・・・。
この仕事が終わったら、一旦他のみんなと別行動をとった方がよさそうだ。
黒羽は、自身に迫りくる正体不明の相手がいるであろう方角に、鋭いまなざしを向けたー。
綿花栽培で何とか生計を立てている過疎地にありがちな小規模な集落だ。辺り一面の綿花畑と、民家が点在しているという光景は、都会の喧騒に疲れた人にとっては風光明媚な土地にも思えるだろうが、遊びたい盛りの若者たちからしてみれば、ただ退屈なだけの村である。
「黒羽、アンタやっぱりフードは被ったままなんだね・・・」
村の入り口で、カルミナー金色の綺麗な髪をツインテールに結った少女が、黒いローブ姿の少女に声をかける。
「ええ、その方が何かと都合がいいので・・・」
フードを被ったまま、黒羽と呼ばれた黒ずくめの少女が、ちらっとカルミナの方を見上げる。全身黒ずくめで、遠目にはその表情を窺いにくいが、かなり美しい娘だ。特に、その細められた黒い瞳が印象的だった。
「黒羽は可愛いから、素顔を晒すと軟派な奴らに目をつけられるからだろ?」
少し残念そうな顔をしながらではあるが、赤い髪の小柄な少年が、黒羽に代わって補足説明をする。浅井翔ーツメを武器として戦う拳闘士だ。
「まあ、黒羽にちょっかいを出そうとするやつは、オレたちがのしてやるけどな」
今度は、青い髪で長身の少年が白い歯を覗かせ笑みを浮かべながら言った。浅井翔の相棒、朝倉卓だ。棍の使い手で、武術家でもある。
「ああ、はいはい、いきなりもめ事だけは起こさないようにね、二人とも」
呆れ顔になりながら、二人の少年を注意するのは、黒い長髪で眼鏡をかけた、少しお姉さん風な印象を受ける美人ーブラーナと言い、カルミナと主にコンビを組んで活動している。
「ところで、翔・・・アンタ、さっき黒羽が可愛いからって言ったけど」
カルミナが、少し納得がいかなそうな顔つきで翔に向き直った。
「素顔晒してるあたしらにお声がかからなかった場合、あたしらはそんなに可愛くないってことになるわけ?」
半眼になりながら尋ねる。
カルミナもブラーナも、一般的な女性の容貌から比較してみれば美人や美少女の部類に入るだろう。
翔は、多少焦りながら、
「いや、お前らもしょっちゅう声をかけられてるだろ。前は、それでブラーナが切れて軟派野郎どもをボコボコにしただろうが!」
「まあ、そうだな・・・黒羽ばかりではなく、うちのチームの女子はみんなハイレベルだろ」
焦る相棒に、卓は助け舟を出した。
「ていうか、お嬢はナンパされてぇのかよ!!」
「お嬢って言うな!!・・・いや、それはないわね」
きっぱりと否定するカルミナ。何せ、自分には既に心に決めた相手がいるのだ。それ以外の人間など相手にしたくもない。
「ふふふ・・・」
不敵な笑いとともに、ブラーナのメガネがきらっと不気味に光る。
「えっと、あの、ブラーナの姉さん?」
ただならぬブラーナの雰囲気に、冷や汗を流しながら押し黙る男2人。
「わかっているとは思うけど・・・二人とも?」
ブラーナが、翔と卓の肩をガシっと摑まえる。
「うちのカルミナに手を出す輩がいたら、遠慮なくやっちゃっていいからね?」
笑顔がマジで怖い・・・思わず唾を飲み込む二人であった・・・。
「ああもう、ブラーナ、やめて!!ほら、配達行くよ、みんな!!」
ここでブラーナに暴走されても困る・・・5人のリーダー格であるカルミナに促され、本来の業務である配達へと向かうことになった。
ーー
「面妖な・・・あやつら、邪術師と親し気に話しておる・・・」
ゼルキンス村を見下ろす丘の上ー。
アサギは、チーム《ラピュタ》がゼルキンス村の入り口でだべっているのを、嫌悪を交えて確認した。さすがに、会話の詳しい内容までは聞こえないものの、雰囲気は何となくわかる。
「もう少し、あやつらを追跡してみる必要があるな・・・む」
どうやら、5人は何かを届けに村に行くようだ。
「ついでに、この浮遊大陸の状況も確認しておくか」
丘の上から飛び降りると、アサギは体を低くして村の近くまで疾走した。
「待っていろ、邪術師・・・その化けの皮をはがしてやる」
ーー
「・・・!?」
一瞬、悪寒が走ったような感じだった。
黒羽は、今入ってきたばかりの村に入り口の方を見つめた。
・・・殺気か・・・?
自分の能力の特性上、命を狙う者がいてもおかしくはないと、それは常日頃から意識していた。
・・・皆さんにご迷惑はかけられませんね・・・。
この仕事が終わったら、一旦他のみんなと別行動をとった方がよさそうだ。
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