289 / 364
289 王子と冬の雪まつり
しおりを挟む
玄関を開けたら一面の銀世界だった。
昨夜から降り始めた雪は翌日になっても止まず、どんどん地面へと降り積もっている。つい先ほど大学から帰ったばかりだが、私がつけた足跡は新雪に覆われ既に消えかけているようだ。この調子ではまだまだ止みそうもない。
やだなぁ、明日は一限からなのに。大学行くとき転ばないように気を付けなきゃ……と、若干うんざりしている私の横で。
「すごい、一面真っ白だ! あっはっは、ちゃんと雪に触れる。冷たいな~!!」
――と、雪の中を駆け回って大喜びしているのは不審者ローブ姿の王子様。うん。雪の中では真っ黒ローブが浮き上がって更に悪目立ちしていますね。
いえね、流石にこのお天気じゃ風邪ひくって止めたのに、雪遊びするって聞かないんですよ、この王子様。
王子に厚着をさせようにも実家から持ってきたお兄ちゃんからのお下がり冬物衣類には限界があるし、かといってサイズが合わない私の服は論外。
……ってなわけで、仕方なくオカ研ローブの貸し出しです。
これなら謎技術で暖は取れるし、何より王子のイケメン補正で不審者感も薄れ……はしないか。不審者(※ただしイケメン)になっただけ。
――ま。それでも風邪をひくよりかはマシですね。
「そんなにはしゃいで、王子の世界って雪降らないの?」
「いいや、冬は普通に降るぞ? 積もるし塔も冷える。ただ、僕が触れるほどは降らないな。部屋の窓から見るだけだ」
そりゃそうだ。こっちで言う何階相当に王子が幽閉されているんだか知らないけど、話を聞く限りかなり高そうだもん。
塔が埋まるほどの積雪って、そんなの国家壊滅レベルの自然災害じゃないですか。そうそうある訳がない……ってか、あったら困るでしょ。
まあでも、それなら王子がはしゃぐ気持ちも解りますね。
ここら辺でも、ここまで雪が積もることってそうそうないし……って、おっと、私もテンションが上がってきましたよ。
そうとなれば。
「王子、雪合戦しましょ、雪合戦! そ~ぉれっと」
「うわあっ!? 召喚主、いきなり何をする!」
パシャ!
……っと、投げた雪玉が王子に当たっていい音で崩れた。
「よーし、当たった! 雪合戦よ、雪合戦。こうやって、雪玉を作って相手に当てて遊ぶの。あ、でも危ないから雪玉に石を入れたり、相手の顔に当てたりしちゃ駄目だからね」
「なるほど、面白そうだ! よ~し。…………。それっ」
「あはは、王子ったらいったいどこに投げているのよ」
王子が雪玉を作って力いっぱいぶん投げるも、私を通り越してはるか後方に飛んでいく。ふふん、これだから運動不足のノーコン王子様は……って、痛っ!??
「やった! 召喚主に当たったぞ!」
「え……、なに今の? 伏兵?? いやいや、まさか……どうして背中に雪玉が……」
大暴投した王子の雪玉が物理法則ガン無視で私の背中に命中してきたんだけど。
「それは、こう……風魔法を使って、雪玉の軌道をいじってだな?」
「禁止っ! 魔法の使用も禁止だから!!」
さっき、王子が小声でボソボソ言っていたの、あれ魔法か! スイ~っと腕を広げて、ドヤ顔で魔法の説明をしてくる様子に若干イラッとする。
まったく油断も隙もありゃしない。
日頃、チマチマと妙な魔力の節約をするクセに、こういう時の魔力使用はいっさい躊躇しないんだから。
いっつも、いつも努力の方向性が間違っているのよ―――っと。
パシャン! パシャン!!
よし、当たった!!
日頃のあれやこれやを雪玉に込めて投げれば見事に命中。あ~、スッキリした!
「やったな。こっちも行くぞ! それっ」
ピカピカピカ☆★☆
ぱしゃん!!
「眩し……!? 痛っ!!? もー、雪玉に精霊入れるのも禁止っ!! 精霊さん達、今度王子の味方をしたらおやつ抜くからね!」
『!??』
…スイ~……ピカピカ☆★☆★
……おっと。精霊さん達がこちらに寝返ったみたいですね。何食わぬ顔で結構な数が私に寄ってきた。これはせっせと餌付けをした甲斐がありました!
ふふん、どうよ。幽閉生活で日々の食料が限られている王子様には真似できるまい。(ドヤァ)
「な……っ! ズルいぞ、召喚主!!」
「先にズルしたのは王子でしょ。さあ、行くわよ、精霊さん達!」
久しぶりの雪遊び。
思いのほかムキに……じゃなかったのめり込んでしまいましたが、幽閉中の王子様にとってはいい運動になったのではないだろうか。ここのところおやつの食べ過ぎで若干ふっくらしてきましたからね。冬のスズメみたい。
♪♪♪~~
ひとしきり雪合戦して王子と雪だるまを作り始めたところで私のケータイが鳴った。
「先輩か!? 別に出なくていいんじゃないか!?」
「いや、何でそんなに先輩を敵視しているのよ? 言っておくけど、王子が着ているそのローブを私にくれたのだって先輩だからね。あ……っと、バイト先の店長からだ。ハイ、もしもし……え? ハイ、わかりました。大丈夫です、すぐ行きます」
「店長……、そっちか! 別に行かなくてもいいんじゃないか!? 召喚主は雪だるまとバイトどっちが大事なんだ!!」
バイト先の店長からの電話を切ると、王子が訳の分からないことを言い出した。
「いや、どっちが大事ってそりゃあバイトに決まってるでしょ。なんか、この雪で電車通勤のバイトさんが来られないんだって。私は歩いて行けるし、こういう時は助け合わないとね! と、いうわけで、悪いけどちょっとバイトに行ってくるわ」
「くそっ、やはり急なシフト変更か……! 僕が作る雪だるまを召喚主に見せたかったのに」
「ごめんね、帰ってきたらちゃんと見るから。完成品を楽しみにしてる。ああ、そうだ。作るのは駐輪場横のこの辺にしてね。ここなら雪だるまを置いても邪魔にならないし」
「……わかった。仕方ない、それじゃ後で感想を聞かせてくれ」
「ハイハイ。じゃ、王子。私はもうバイトに行くわね。帰る前に戸締りよろしく!!」
――と、王子を置いてアパートを出たのが今から数時間前。
(……そういや外国の雪だるまって日本と違って3段だったりするけど、異世界の王子様はどんな雪だるまを作るんだろう? 2段か…3段か。バケツの代わりに王冠が乗っていたりして)
そんなことを考えながら仕事をして。
更に激しくなる雪に注意をしつつ、バイト先のコンビニからアパートに帰ってみれば。
「……いや、楽しみにしているとは言ったけどさぁ……」
駐輪場横。
まるでアパートを守る様に、えらくリアルな竜の雪像が作られていてドン引いた。
鱗一枚一枚まで丁寧に作り込んでいるうえ、何か目が光っているんですけど……。何、この完成度。
「どうだった!? どうだった!?」
入浴して冷えた体を温めていたら、いつの間にか王子がこっちに来ていた。ああ、うん。後で感想聞かせてくれってそういう事か。召喚機使ってセルフ召喚したんだな。
よほど自分が作った雪だるまの感想が気になったのか、王子の顔が少し興奮気味に赤くなっている。
感想……感想か。
ええと……。
「……正直、大きさに驚いた」
「だよな! 魔法でかき集めたけど雪が足りなくて、残念ながら本物の10分の1サイズなんだ。塔地下ダンジョンのアイツも召喚主に会いたがっていたから、その代わりにと思って」
「えっ!? あれって、闇落ち竜さん!? ――あれの10倍!??」
…………ああ、うん。正直、本物の大きさに驚いた。でけえ。
昨夜から降り始めた雪は翌日になっても止まず、どんどん地面へと降り積もっている。つい先ほど大学から帰ったばかりだが、私がつけた足跡は新雪に覆われ既に消えかけているようだ。この調子ではまだまだ止みそうもない。
やだなぁ、明日は一限からなのに。大学行くとき転ばないように気を付けなきゃ……と、若干うんざりしている私の横で。
「すごい、一面真っ白だ! あっはっは、ちゃんと雪に触れる。冷たいな~!!」
――と、雪の中を駆け回って大喜びしているのは不審者ローブ姿の王子様。うん。雪の中では真っ黒ローブが浮き上がって更に悪目立ちしていますね。
いえね、流石にこのお天気じゃ風邪ひくって止めたのに、雪遊びするって聞かないんですよ、この王子様。
王子に厚着をさせようにも実家から持ってきたお兄ちゃんからのお下がり冬物衣類には限界があるし、かといってサイズが合わない私の服は論外。
……ってなわけで、仕方なくオカ研ローブの貸し出しです。
これなら謎技術で暖は取れるし、何より王子のイケメン補正で不審者感も薄れ……はしないか。不審者(※ただしイケメン)になっただけ。
――ま。それでも風邪をひくよりかはマシですね。
「そんなにはしゃいで、王子の世界って雪降らないの?」
「いいや、冬は普通に降るぞ? 積もるし塔も冷える。ただ、僕が触れるほどは降らないな。部屋の窓から見るだけだ」
そりゃそうだ。こっちで言う何階相当に王子が幽閉されているんだか知らないけど、話を聞く限りかなり高そうだもん。
塔が埋まるほどの積雪って、そんなの国家壊滅レベルの自然災害じゃないですか。そうそうある訳がない……ってか、あったら困るでしょ。
まあでも、それなら王子がはしゃぐ気持ちも解りますね。
ここら辺でも、ここまで雪が積もることってそうそうないし……って、おっと、私もテンションが上がってきましたよ。
そうとなれば。
「王子、雪合戦しましょ、雪合戦! そ~ぉれっと」
「うわあっ!? 召喚主、いきなり何をする!」
パシャ!
……っと、投げた雪玉が王子に当たっていい音で崩れた。
「よーし、当たった! 雪合戦よ、雪合戦。こうやって、雪玉を作って相手に当てて遊ぶの。あ、でも危ないから雪玉に石を入れたり、相手の顔に当てたりしちゃ駄目だからね」
「なるほど、面白そうだ! よ~し。…………。それっ」
「あはは、王子ったらいったいどこに投げているのよ」
王子が雪玉を作って力いっぱいぶん投げるも、私を通り越してはるか後方に飛んでいく。ふふん、これだから運動不足のノーコン王子様は……って、痛っ!??
「やった! 召喚主に当たったぞ!」
「え……、なに今の? 伏兵?? いやいや、まさか……どうして背中に雪玉が……」
大暴投した王子の雪玉が物理法則ガン無視で私の背中に命中してきたんだけど。
「それは、こう……風魔法を使って、雪玉の軌道をいじってだな?」
「禁止っ! 魔法の使用も禁止だから!!」
さっき、王子が小声でボソボソ言っていたの、あれ魔法か! スイ~っと腕を広げて、ドヤ顔で魔法の説明をしてくる様子に若干イラッとする。
まったく油断も隙もありゃしない。
日頃、チマチマと妙な魔力の節約をするクセに、こういう時の魔力使用はいっさい躊躇しないんだから。
いっつも、いつも努力の方向性が間違っているのよ―――っと。
パシャン! パシャン!!
よし、当たった!!
日頃のあれやこれやを雪玉に込めて投げれば見事に命中。あ~、スッキリした!
「やったな。こっちも行くぞ! それっ」
ピカピカピカ☆★☆
ぱしゃん!!
「眩し……!? 痛っ!!? もー、雪玉に精霊入れるのも禁止っ!! 精霊さん達、今度王子の味方をしたらおやつ抜くからね!」
『!??』
…スイ~……ピカピカ☆★☆★
……おっと。精霊さん達がこちらに寝返ったみたいですね。何食わぬ顔で結構な数が私に寄ってきた。これはせっせと餌付けをした甲斐がありました!
ふふん、どうよ。幽閉生活で日々の食料が限られている王子様には真似できるまい。(ドヤァ)
「な……っ! ズルいぞ、召喚主!!」
「先にズルしたのは王子でしょ。さあ、行くわよ、精霊さん達!」
久しぶりの雪遊び。
思いのほかムキに……じゃなかったのめり込んでしまいましたが、幽閉中の王子様にとってはいい運動になったのではないだろうか。ここのところおやつの食べ過ぎで若干ふっくらしてきましたからね。冬のスズメみたい。
♪♪♪~~
ひとしきり雪合戦して王子と雪だるまを作り始めたところで私のケータイが鳴った。
「先輩か!? 別に出なくていいんじゃないか!?」
「いや、何でそんなに先輩を敵視しているのよ? 言っておくけど、王子が着ているそのローブを私にくれたのだって先輩だからね。あ……っと、バイト先の店長からだ。ハイ、もしもし……え? ハイ、わかりました。大丈夫です、すぐ行きます」
「店長……、そっちか! 別に行かなくてもいいんじゃないか!? 召喚主は雪だるまとバイトどっちが大事なんだ!!」
バイト先の店長からの電話を切ると、王子が訳の分からないことを言い出した。
「いや、どっちが大事ってそりゃあバイトに決まってるでしょ。なんか、この雪で電車通勤のバイトさんが来られないんだって。私は歩いて行けるし、こういう時は助け合わないとね! と、いうわけで、悪いけどちょっとバイトに行ってくるわ」
「くそっ、やはり急なシフト変更か……! 僕が作る雪だるまを召喚主に見せたかったのに」
「ごめんね、帰ってきたらちゃんと見るから。完成品を楽しみにしてる。ああ、そうだ。作るのは駐輪場横のこの辺にしてね。ここなら雪だるまを置いても邪魔にならないし」
「……わかった。仕方ない、それじゃ後で感想を聞かせてくれ」
「ハイハイ。じゃ、王子。私はもうバイトに行くわね。帰る前に戸締りよろしく!!」
――と、王子を置いてアパートを出たのが今から数時間前。
(……そういや外国の雪だるまって日本と違って3段だったりするけど、異世界の王子様はどんな雪だるまを作るんだろう? 2段か…3段か。バケツの代わりに王冠が乗っていたりして)
そんなことを考えながら仕事をして。
更に激しくなる雪に注意をしつつ、バイト先のコンビニからアパートに帰ってみれば。
「……いや、楽しみにしているとは言ったけどさぁ……」
駐輪場横。
まるでアパートを守る様に、えらくリアルな竜の雪像が作られていてドン引いた。
鱗一枚一枚まで丁寧に作り込んでいるうえ、何か目が光っているんですけど……。何、この完成度。
「どうだった!? どうだった!?」
入浴して冷えた体を温めていたら、いつの間にか王子がこっちに来ていた。ああ、うん。後で感想聞かせてくれってそういう事か。召喚機使ってセルフ召喚したんだな。
よほど自分が作った雪だるまの感想が気になったのか、王子の顔が少し興奮気味に赤くなっている。
感想……感想か。
ええと……。
「……正直、大きさに驚いた」
「だよな! 魔法でかき集めたけど雪が足りなくて、残念ながら本物の10分の1サイズなんだ。塔地下ダンジョンのアイツも召喚主に会いたがっていたから、その代わりにと思って」
「えっ!? あれって、闇落ち竜さん!? ――あれの10倍!??」
…………ああ、うん。正直、本物の大きさに驚いた。でけえ。
61
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されないと知った時、私は
yanako
恋愛
私は聞いてしまった。
彼の本心を。
私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。
父が私の結婚相手を見つけてきた。
隣の領地の次男の彼。
幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。
そう、思っていたのだ。
誰も残らなかった物語
悠十
恋愛
アリシアはこの国の王太子の婚約者である。
しかし、彼との間には愛は無く、将来この国を共に治める同士であった。
そんなある日、王太子は愛する人を見付けた。
アリシアはそれを支援するために奔走するが、上手くいかず、とうとう冤罪を掛けられた。
「嗚呼、可哀そうに……」
彼女の最後の呟きは、誰に向けてのものだったのか。
その呟きは、誰に聞かれる事も無く、断頭台の露へと消えた。
冷遇された聖女の結末
菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。
本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。
カクヨムにも同じ作品を投稿しています。
幸せを望まなかった彼女が、最後に手に入れたのは?
みん
恋愛
1人暮らしをしている秘密の多い訳ありヒロインを、イケメンな騎士が、そのヒロインの心を解かしながらジワジワと攻めて囲っていく─みたいな話です。
❋誤字脱字には気を付けてはいますが、あると思います。すみません。
❋独自設定あります。
❋他視点の話もあります。
明日のために、昨日にサヨナラ(goodbye,hello)
松丹子
恋愛
スパダリな父、優しい長兄、愛想のいい次兄、チャラい従兄に囲まれて、男に抱く理想が高くなってしまった女子高生、橘礼奈。
平凡な自分に見合うフツーな高校生活をエンジョイしようと…思っているはずなのに、幼い頃から抱いていた淡い想いを自覚せざるを得なくなり……
恋愛、家族愛、友情、部活に進路……
緩やかでほんのり甘い青春模様。
*関連作品は下記の通りです。単体でお読みいただけるようにしているつもりです(が、ひたすらキャラクターが多いのであまりオススメできません…)
★展開の都合上、礼奈の誕生日は親世代の作品と齟齬があります。一種のパラレルワールドとしてご了承いただければ幸いです。
*関連作品
『神崎くんは残念なイケメン』(香子視点)
『モテ男とデキ女の奥手な恋』(政人視点)
上記二作を読めばキャラクターは押さえられると思います。
(以降、時系列順『物狂ほしや色と情』、『期待ハズレな吉田さん、自由人な前田くん』、『さくやこの』、『爆走織姫はやさぐれ彦星と結ばれたい』、『色ハくれなゐ 情ハ愛』、『初恋旅行に出かけます』)
婚約破棄ですか? 優しい幼馴染がいるので構いませんよ
マルローネ
恋愛
伯爵令嬢のアリスは婚約者のグリンデル侯爵から婚約破棄を言い渡された。
悲しみに暮れるはずの彼女だったが問題はないようだ。
アリスには優しい幼馴染である、大公殿下がいたのだから。
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
【完結・7話】召喚命令があったので、ちょっと出て失踪しました。妹に命令される人生は終わり。
BBやっこ
恋愛
タブロッセ伯爵家でユイスティーナは、奥様とお嬢様の言いなり。その通り。姉でありながら母は使用人の仕事をしていたために、「言うことを聞くように」と幼い私に約束させました。
しかしそれは、伯爵家が傾く前のこと。格式も高く矜持もあった家が、機能しなくなっていく様をみていた古参組の使用人は嘆いています。そんな使用人達に教育された私は、別の屋敷で過ごし働いていましたが15歳になりました。そろそろ伯爵家を出ますね。
その矢先に、残念な妹が伯爵様の指示で訪れました。どうしたのでしょうねえ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる