【完結】それは本当に私でしたか? 番がいる幸せな生活に魅了された皇帝は喪われた愛に身を焦がす

堀 和三盆

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番外編

7 初夜2(ヴィクトリア視点) ※

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「何を考えているんですか? ヴィクトリア様、貴女の夫は私です……。ちゃんと……っ、しっかりと、私を、見てください……っ!」

 愛情。嫉妬。激情。

 息を乱し、怒ったように懇願するように。
 ズィーガーの持つ様々な感情がヴィクトリアにぶつけられる。――強烈な快楽を伴いながら。


「ふ……っ、ぁんん…っ、違……っうの。ズィーガー……。貴方と…私の、これからのことよ」

「……っ! すいませ……」


 流されそうな自分に抗い夫と視線を合わせれば、自身なさげに目が伏せられる。

 夫のその様子を見て、ヴィクトリアは勘違いをしていたのかもしれないと思った。

 優しく、強く、常にヴィクトリアの心と身体を守り続けてくれたズィーガー。彼のお陰でヴィクトリアは愛する子供達を取り戻し、絶望の中に在っても心が壊れずに済んだ。

 喪った宝物を取り戻すことに必死でヴィクトリアは気付いていなかったけれど。

 一度は番と認識した相手が夫とはいえ他の男に抱かれるのを見ていて平気なはずがなかったのだ。それなのに、くじけそうなヴィクトリアを支え続けて、夫婦となった後もヴィクトリアの心を守るために自分を抑え続けて―――今のズィーガーがある。


 ヴィクトリアはいったい、どれだけの苦痛と忍耐を彼に与えてしまったのだろう?


「……ズィーガー、口調が戻っているわ。ごめんなさい、これまでのことを考えていたの。そして、これから歩むあなたとの未来を」

「ヴィクトリア……様」

「愛しているわ、ズィーガー。だからちゃんと私の名前を呼んで? 過去ではなく…………貴方と共に歩んできた、貴方だけの私の名前で」

「愛しています……リア様……リア」

「私もよ、ズィーガー。私の愛する貴方が番で良かった。愛しているわズィーガー。愛しい、愛しい、私の番……」

「……っ、リア、リア、リア……!」


 夫の愛が近づくたびにヴィクトリアに幸福が訪れる。
 受け止めきれない幸福が快楽となって流れ出す。

 そんな快楽に流され激しく激しく求められても、ヴィクトリアはもう自分を見失うことはないと思った。夫から名前を呼ばれるだけで、心がすぐに満たされる。

 この二十年で――いいや、あの惨劇から少しずつ積み重ねてきたのかもしれない。
 育ててきた信頼と愛情が、確かにつながった心の絆が、二人をしっかりと繋ぎとめてくれる。


 躊躇いがちに竜鱗に触れられてヴィクトリアは大きくその身を震わせた。


 夫から宝物のように触れられるそれにもどかしさを感じながらも、ヴィクトリアの心が相手を受け入れる。

 ヴィクトリアもそれに倣う。
 夫への感謝と愛をその行為に乗せて。

 やがて二人の竜鱗が重なった。



 快楽に導かれるように。

 ぐちゃぐちゃと音を立てながら二人の過去が混ざり、魂が混ざり――未来が揃う。



 確かに与えられた身に余る祝福を感じながら――。


 その日、二人は焦ることなくゆっくりと愛し合った。




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