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しおりを挟む(ビジェイ視点)
とんでもないハズレの女と婚約するはめになった。
最初は、知らずに妹にとても優しい令嬢だと思っていた。そういうのを婚約者にしておけば、利用できることがたくさんあるだろうと思って必死になって婚約しようとしていた。なのに本性は違っていた。
「お前が、あんなのに夢中になっているから、他の良さげな令嬢たちはみんな婚約してしまっているぞ」
「全く、何度となく断わられていたのなら、そこで諦めて他の令嬢と婚約していればよかったのよ」
「っ、」
両親にそんなことを言われた。私は、あの女に騙されていただけなのに女を見る目が全くないかのように両親から言われるのを聞くことになった時の屈辱と言ったらなかった。
他がいないから仕方がなくジャイニと婚約をしたが、その後も酷かった。何を思ったのか、妹の真似を始めたのだ。全く何を考えているのかがわからないが、何もないところで転ぶのだ。
「妹の真似かしら?」
「あんな令嬢だったのね」
「妹思いの令嬢かと思っていたけど、あれを見てしまうと全然違って見えるわよね」
「あれで、同情でも誘っているつもりかしら?」
「そもそも、おかしいと思っていたのよ。無理して、学園に来なくても自宅で家庭教師にでも勉強見てもらえばよかったのよ。そうすれば、転んで恥をかくこともしなくて済んだはずだもの」
そんなことを令嬢たちが話すのを聞いたのは、一度や二度ではない。よく転ぶ妹を世話している姉を見せたかったのではないかと言われるようになっていた。
それが一番あり得そうだとなり、益々ジャイニにわざわざ声をかけて助けようとする者は現れることがなかったのは、その先に毎回転んでいるジャイニがいたからだろう。
あんなのと婚約するしかなかった私の身にもなってほしい。その逆に才女だとは知らずに責め立ててしまったせいで、私に相応しい令嬢を遠ざけてしまった。本当なら、私が婚約していたはずだったのだ。
そう思うとジャイニに優しくしてやろうなんて思うはずがない。大体、妹の真似をしてばかりいて、今更ながら周りに変なアピールをしている令嬢にどう優しくしろというのか。
周りの言う通りに妹を利用していたとしたら、最悪すぎる。そんなのをどう利用したら、私がよく見えるというのか。マイナスのイメージしかつかないのではないか。
それが、あまりにも酷くなっていくのに我慢の限界を迎えて婚約破棄をした。最後の最後までジャイニに言いたいことをはっきり言ってやった。
でも、これまで運命の相手だと思っていた令嬢と婚約するのに時間を費やしていたせいで、執務を側近たちにやらせてばかりいたことへの不満が募ってしまっているようだ。
それもこれも、ジャイニのせいだ。あまりにも酷いから、勘当されることになったようだが、ざまぁみろと思う余裕が、私にはなかった。
「これを全部か?!」
「そうです。今後は、殿下のやるべき仕事を代わりにやるなと王命が出ています」
「やらせるようなら、私たち全員、側近を辞退しますので」
「っ、」
そんなことを言われるようになり、執務室から気軽に出ることもできなくなってしまったせいで、婚約者を探すこともできなくなった。
「これも、全部あの女のせいだ」
書類に追われることになった私は、恨みつらみを口にしないことはなかった。
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