姉の歪んだ愛情に縛らていた妹は生傷絶えない日々を送っていましたが、それを断ち切ってくれる人に巡り会えて見える景色が様変わりしました

珠宮さくら

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生まれ育った実家のある国で、そんなことになっていることをシータは全く知りもしなかった。

王太子妃となるための勉強をしていても、学園の授業に出ても、シータは前のように転ぶことはなくなった。何をしても、楽しそうに笑顔が輝いていた。

そのおかげとこの国の人々の性格も相まって、たくさんの友ができていた。嫌味や意地悪いことを言ったり、する者が全くいないわけではないが、シータにとっては生易しいものばかりだった。

それほど、留学するまで酷いところにいたのだが、それから離れたことで本来のシータらしさが溢れていた。

留学先にそのまま残って、お妃教育に専念することも両親はすぐに了承してくれて、戻らなくていいことに気が楽でならなかった。

姉が、あちらの王太子のビジェイと婚約したのは知っていたが、それが破棄となって、更には傷物となったことで両親が勘当していることを知ったのは、だいぶ経ってからだった。


「お姉様が、勘当されていたなんて……。まさか、ここに来るなんてことは、ないわよね?」


久々に姉のことを口にして、ゾッとせずにはいられなかった。

勘当となったのなら、ここに来る気がしたのだ。そう思うと血の気が引いた。


「シータ? どうした!?」
「アトゥル様」


慌てて駆け寄って来てくれた王太子は、心配そうにした。

周りも、どうしたのかと心配そうにシータを見た。


「大丈夫かしら?」
「心配ね」
「お妃教育や学園の授業もたくさん出ているから、お疲れになったのかも」


祖国にいる時とは違って、シータの顔色の悪さに心配する者はいても、嫌味なことを言う者はそんなにいなかった。

完全に誰もいないわけでもないが、シータたちのことをお似合いの2人だと思っていて、相思相愛でいつも仲睦まじくしていると思っている者が圧倒的に多かった。


「君の姉のことなら、大丈夫だ」
「?」
「流石に姉として、今更、君にどの面下げて会えばいいかわからないんだろう。姉として、妹に縋るなんてしたくないようだ」
「……」


あの姉が、そんなことを思っているのかとシータは思わずにいられなかったが、アトゥルがそういうならばとそれを信じた。

それによって、シータの心の平和は保たれることになった。両親が、シータが王太子の婚約者となったことを自慢して歩くのも釘をさすのも、アトゥルは忘れることはなかった。

それによって、シータが実家のことで悩まされることもなく、嫌味なことや都合よく利用しようとする面々からも守られ続けることになったシータは、愛してやまない人と幸せいっぱいの人生を謳歌することができたのだった。



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