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しおりを挟む(マルティナ視点)
玉の輿に乗れたら贅沢三昧ができると思っていた。
王太子の婚約者になった時、両親は見たことないほど大喜びしてくれた。
「流石は、私たちの娘ね」
「本当だな」
昔から要領がよいことは自他共にその通りだと思っていた。だから、単純にルクレツィアの姉である見た目がいいだけで、男たちにちやほやされて、王太子にも気に入られているジュリエッタが昔から私は大っ嫌いだった。
それに比べて幼なじみは、存在感がないから私の横にいてくれると引き立て役にもってこいだった。
何も知らないルクレツィアが、私の婚約のことを祝福してくれているのを聞いているのも、面白くて仕方がなかった。
王妃に取り入って、王太子にも取り入るのに苦労したのも、ルクレツィアの兄のオスカルが目ざとくて見た目がいいのに全然、私の魅力に靡かないシスコン男で、そちらを相手にするのが大変だったが、王太子に何か言われたのか。側近を辞めてからは、煩く言われなくなっていたというのに、婚約した途端、別の奴に煩くされるとは思わなかった。
「は? お妃教育??」
勉強なんてするとは聞いてない。王太子の婚約者は、彼の隣で最新のドレスを着てにこにこと愛想を振りまいていればいいはずだ。
王妃も、ジュリエッタみたいなのより私の方が断然魅力的だと言っていたし、王太子の隣に相応しいのは、私だと常々言ってくれていたから間違いないはずだ。
なのに王太子までもが……。
「お妃教育があるはずだ。なぜ、ここにいるんだ?」
「私がすべきことは、王太子を支えることです。だから、ずっと隣にいようと思って」
「支えたいなら、お妃教育を受けろ。中途半端なままだとと私まで恥をかく」
「っ、そんな、酷い」
酷いことを言われた。恥なんて各ワケがないのに。だから、私はすかさず王妃に泣きついた。あんなの酷すぎる。機嫌が悪いのか、当たり散らすことも増えている気がして、そんなのにずっと付き合っていられないと思ったのも大きかった。
すると王妃は、私のことを気に入ってくれているから、息子である王太子を呼び出して説教してくれた。
そんなことを繰り返していた。すると益々八つ当たりされるようになった。そんなのあんまりすぎる。だから、よく泣いていた。
すると国王の耳にも入ったらしく、何かと頻繁に呼び出している王妃に何をしているのかと聞いて、婚約者を蔑ろにして泣かせているのを説教していると言ってくれたようだ。
これで、国王も、私の味方をしてくれると思っていたら、王太子がブチギレてしまったのだ。溜まりに溜まった不満を爆発させたらしく、そんな不満なら私の方にもたくさんあるというのにあんまりだ。
するとお妃教育を全くする気がない私に王妃は、今までとは違うことを言い出した。
「何を言ってるのよ。きちんとしたお妃教育を受けてこそ、支えられるんじゃない」
私は、少なくとも王妃は自分の味方をしてくれると思っていたが、そんなことはなかった。全く期待外れでもいいところだ。
何もせずにいるだけでいいかのように散々言っていたのは王妃なのに。
それによって、私はきちんとお妃教育をしろと言われるようになり、ムッとしてしまった。
「そんな、私、勉強しなくても贅沢三昧できると思っていたのに。こんなの話が違うわ」
そんなことを言ったら、婚約破棄することになった。あんまりすぎる。
そうなった途端、両親は態度をコロッと変えた。
「お前はなんてことをしてくれたんだ!」
「お妃教育もまともに受けずに王太子の邪魔ばかりしていたなんて、信じられないわ!」
「っ、そんな、私は……」
「言い訳はいい。聞きたくもない。お前のようなのは、修道院にでも入れ」
「そんなの嫌よ!」
「なら、勘当するまでだ」
「っ、!?」
世間体を気にした両親は、私が全部悪いと言うばかりで、修道院に入ることになってしまった。
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そんなことをぼやいても誰も関わりたくないのか、親身になってくれる人など現れることはなかった。
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