存在感と取り柄のない私のことを必要ないと思っている人は、母だけではないはずです。でも、兄たちに大事にされているのに気づきませんでした

珠宮さくら

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母に離婚となったのは、私のせいだと言われ、そこから親が離婚したのを知った私は、しばらく振りに学園に行くことになった。

高熱が続きすぎて、すっかり体力と筋力の落ちた私はというと……。


「大丈夫か?」
「お兄様。数分置きに同じこと聞いているわ」
「いや、だがな」


兄は、家で心配して抱えて移動ばかりするようになった父を真似ようとして、それをやめてと頼んだら、数分置きに確認されていた。

正直、鬱陶しい。心配してくれているのはわかるが、鬱陶しいものは仕方がない。

もっとも、そんな風に甲斐甲斐しく妹の世話をする見目の良すぎる兄に周りの令嬢たちは……。


「羨ましいわ」
「本当よね」


私は、羨ましがられていた。そんなことをしてキャーキャー騒ぐのなら、助けてほしいところだが、そんなことをしたら兄に嫌われ兼ねないと思っているのか。やることなすことを止めてくれる人は現れなかった。

……あれ? マルティナがいたら、止めてくれているはずだが、幼なじみが現れないことに首を傾げた。

だが、ふと思ったのは、王太子の婚約者ににったのだから、忙しくないわけがないと思ってあまり気にしてはいなかった。

何より姉のことを聞いた後で、どんな顔をして会えばいいのかがわからなかったので会わなくていいのには助かっていた。

この頃は、まだ、王太子とマルティナは婚約していた。破棄になったとは聞いてはいない。時折、見かけたマルティナは王太子にべったりしていた。


「また、くっついてるわ」
「ずっとあの調子らしいわよ」


それを話すのを耳にして、イチャついているのだろうと思っていたが、そんな風には見えなかった。

どうやら王太子妃となるための勉強もそっちのけで王太子につきまとっているらしい。それが聞こえて、私は首を傾げずにはいられなかった。


「ルクレツィア」
「お兄様」
「どうした?」


どうしたと言いながら、王太子とマルティナの見える方に兄は立ち塞がっていた。何なら私が見ていたものに気づいているはずだが、それすら気づいていないかのようにした。

これは、見る価値がないだろうと言いたいのだろう。


「いえ、お兄様は何か?」
「可愛い妹が見えたから、声をかけただけだ。無理してないか?」
「えぇ。先生方も、気にかけてくれるので」
「そうか」


先生方に何か言ったのも、兄のようだ。側近として、物凄く優秀だったようだから、妹のサポートなんてお手の物のようだ。

そうやってくれているのを見るとこの兄なら、姉のことで、王太子がマルティナを選ぶ方向になったのも、どうにかできた気がしてならない。

何なら母親同士の仲の悪さも、どうにかできたのではないかと思えてならないが……。


「やはり、具合が悪いのではないか?」
「いいえ。それより、もう時期、弟妹たちの誕生日ですけど、何をあげるかを決めましたか?」
「お前もか」
「え?」
「ジュリエッタも、手紙で今の弟妹たちの好きなことやものについて色々聞かれていてな。実のところ、私がお前たちに聞きたいところなんだ」


兄が本気で困っているように見えて、思わず笑ってしまった。


「笑うなよ」
「いえ、お兄様でも、そんな顔なさるのだと思って」
「あいつらに良かれと思ったものをやって去年、大変だっただろ」
「あー、あの子たち奇想天外な発想力を持っていますからね」


私たちにとって、他所のことより、家族のことの方が大事だった。

母が、あんなのだったのも大きい。その分、今年の末っ子たちの誕生日を父が張り切っているようだ。


「……お父様が、どんな誕生日を計画しているかを聞きましたか?」
「あー、大体は執事から聞いている」


兄は、それについて私に教えてくれなかったが、安全を考慮したものに変えさせたようだ。

兄は、妹たちに頼られるのは嬉しそうにしているが、父のことでは面倒だと言うのを全く隠していないのだ。それを見て、兄に頼りすぎているなと思わずにはいられなかった。


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