存在感と取り柄のない私のことを必要ないと思っている人は、母だけではないはずです。でも、兄たちに大事にされているのに気づきませんでした

珠宮さくら

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(オルランド視点)


「オルランド様!」
「っ、」
「もう、ずっと呼んでいるのに」
「す、すまない」


婚約したマルティナは、どうでもいいことでも何かと話しかけて来て、正直なところ煩わしくなってきていた。

それに比べて、ジュリエッタは隣にいても、何も話さなくともホッとできた。

王妃である母が、マルティナの母と昔から物凄く仲が悪いのは知っていた。そんな娘と婚約するのだけは、何があっても許さないと耳にタコができるほど聞かされてきた。

そのせいで、逆にジュリエッタが気になってしまったのも大きかった。

でも、マルティナの方を母が気に入ったのもあっという間のことだった。

更には、マルティナが言う言葉の方が真実のように聞こえてしまったせいで、ジュリエッタを疑ってしまったのだ。

そのせいで、長らく側近をしてくれていたジュリエッタの兄のオスカル・オルランディが、それに激怒して側近を辞めてしまったのも、その辺りのことだった。

その頃は、とんでもない見かけがいいだけで、中身が最悪や妹の味方をするのかと馬鹿にしてしまったが、側近でなくなったことで、益々モテているようだ。

逆にオスカルが1人抜けただけなのに執務が急に何倍も忙しくなってしまっていた。

それだけ優秀な人材を側近にして無駄にしてしまっていたようだ。

その上、お妃教育をしているはずなのにそれをすっぽかして、ずっと私の側にいるのだ。


「お妃教育があるはずだ。なぜ、ここにいるんだ?」
「私がすべきことは、王太子を支えることです。だから、ずっと隣にいようと思って」
「支えたいなら、お妃教育を受けろ。中途半端なままだとと私まで恥をかく」
「っ、そんな、酷い」


何を言われたかなんて関係なく、酷いことを言われたと母に泣きつくのも、すぐだった。

母は、マルティナを気に入ってしまっているから、私が呼び出されて説教されるのは、いつものことだった。

そんなことをされ続ければ、ただですら執務が滞り始めているのに上手くいかなくなるのも無理もなかった。

父は、何かと頻繁に呼び出している母に何をしているのかと聞いて、婚約者を蔑ろにして泣かせているのを説教していると言ったようだ。

そんなことを言っていると呼ばれて、私は溜まりに溜まった不満を爆発させた。

するとお妃教育を全くする気がないマルティナは、私に言っていたのと同じことを言って、それを一緒に聞いていた王妃は……。


「何を言ってるのよ。きちんとしたお妃教育を受けてこそ、支えられるんじゃない」


マルティナは、少なくとも王妃は自分の味方をしてくれると思っていたようだが、そんなことはなかった。

何もせずにいるだけで、執務すらせずに側に居続けて自分を構えたこととマルティナが私の側にいたのを母はようやく知ることになったのは、その時だった。

それによって、マルティナにきちんとお妃教育をしろと言われるとマルティナは……。


「そんな、私、勉強しなくても贅沢三昧できると思っていたのに。こんなの話が違うわ」


そんなことを言い出して、婚約破棄することになったのは、すぐだった。

だが、それで見る目がないと母が私に言って来たのにブチギレたのは、その時だった。


「あなたが、彼女を気に入ったから、私にすすめて来たんじゃないか!」
「っ、そんなに嫌なら婚約しなければよかったでしょ!」


それに益々キレた私は、母と口論になっていた。

そんなことになって、ようやく母に何を言われようともジュリエッタと今度こそ婚約しようと思っていた。


「ジュリエッタが留学から戻って来たらやり直そう」


そう思って、母と喧嘩が絶えない中で、苛立つことも増えて、側近たちや周りに当たり散らす日々を送っても、それでもジュリエッタの帰りをひたすらに待っていた。

彼女さえ、自分の婚約者になってくれれば、元通りになると信じて疑っていなかった。


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