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しおりを挟むトリシュナは、ヴィディヤに留年しそうなのをどうにかしてもらおうとしていたようだ。
もっとも、どうにかしてもらえるとなぜ思ったのかはわからないが、都合よく幼なじみを利用しようとしたようだ。
だが、その時に色々とやらかしたことで、留年どころではなくなったのは、すぐのことだった。
「王太子の婚約者に怪我をさせ、隣国の王女に無礼を働き、この国の王太子の従兄を怒鳴りつけた挙げ句、その方を知らないと言ったそうだが?」
「怪我? そんなの知らないわ」
父は、トリシュナが知らぬ存ぜぬを貫いた。特にヴィディヤのことは知らないと言ったが、それは本当のことだった。彼女がいなくなってから、捻挫していたのに気づいたのだ。痛がったのも、怪我していると自覚してからだった。ヴィディヤとしては、間抜けなことをしたと思っているが、トリシュナに怪我させられたことに侯爵夫妻であるヴィディヤの両親は、これまで以上に怒っていた。
王太子も、そうだ。婚約者を怪我させたようなのを放置していられるわけがない。更には、従兄のサントスやその婚約者までも侮辱していたのだ。前回以上に怒っていた。
王女は、容赦なかった。腫れ物を扱うかのようにしていたこの国の貴族たちにも、冷めた目を向けていたが、婚約者の祖国にそんなのがいるのが我慢ならなかったようだ。
サントスは、激怒している婚約者たちを見て楽しんでいたようだが、その辺がヴィディヤに好かれないところだが、本人は直す気はないようだ。
もはや公爵家の汚点でしかない娘をそのままにしてはおけないとばかりに公爵は動くことにした。
これ以上、放置していたら家の評判がどん底になってしまう。重い腰を上げることにしたが、どん底なんて、とっくに突き破っていることには公爵は気づいていなかったようだ。
「お前を勘当することにした。それと娘をこんな風に育てたお前にも責任がある。この場をもって離縁する。2人とも、早々に出て行け」
すると夫の言葉に納得いかない妻は騒ぎ立て、トリシュナも同じく騒ぎ立てたが……。
「お前は、留年が決定しているんだもの。当たり前よ。この家の恥をさらしたのよ。勘当されて、当然だわ」
「は? お母様まで、何を言うのよ。それくらい何ともないでしょ?」
トリシュナは、未だに大した事ないと思っていた。だが、母親は娘のことなど、どうでもよいかのようにした。
「旦那様。私を離縁するなんて、あんまりですわ」
母親は、すっかり娘を見捨てていた。散々なまでに嘘を吹き込んでおいて、使えないどころか。ここまで、馬鹿だと思わなかったとばかりにしたのだ。
だが、そんなことをしようとも、公爵は2人とも追い出した。
出て行かせるまでが大変だったが、二度とこの家にあがらせることはなかった。
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