見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます

珠宮さくら

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マルへリートの方はアンネリースがいなくなってから、こんな感じだった。


「もう、この国のどこにもいないと思うと嬉しくて仕方がないわ!」


アンネリースがいなくなったのを国王と王妃と一緒に喜んで馬鹿騒ぎしていた。


「全くその通りだな。この王宮にあんなのがいると言うだけでも気分が悪くて仕方がなかった」
「本当にその通りね」


みんなして、アンネリースがいなくなったことを喜んでいたが、王宮の仕事の殆どをアンネリースが、他の仮面を付けた者たちに指示してやっていたことを知りもせず浮かれていた。


「アンネリース様がいないなら、ここで働くこともないな」
「アンネリース様に色々習いたくていただけだからな」


給料なんて、仮面を付けている者たちには微々たるものしか支払わなくていいと思っている連中だ。

その癖、仕事など、ほとんどしていない連中だ。アンネリースの侍女もまた居なくなったことで、王宮の中はどんどんと汚くなっていった。

王宮どころか。街でも似たりよったりなことになっていたが、マルへリートたちは自分たちのことばかりだった。


「ちょっと! どうなっているのよ!!」
「仕事しなさいよ!」


侍女たちは、マルへリートや王妃に怒鳴り散らしていた。

侍女たちも、何がどうなっているのかがわからないというのに不満ばかりをマルへリートたちは吐き出し続けた。

その頃の国王も、似たりよったりだった。


「おい、何も終わってないぞ。どうなっているんだ!」


いつもなら、国王が好き勝手なことをしても執務が終わっているのにアンネリースがいなくなってから、たまる一方となっていて、部屋の中が書類だらけになっていた。

しかも、積まれるだけ積まれていて、纏められてもいなかった。


「それは、私の仕事ではありませんので知りません」


国王の側仕えたちも、自分たちがやるべき仕事を誰かが勝手にしてくれていたのが、いなくなって四苦八苦していた。

まぁ、王宮の中だけでなく、ローザンネ国の中がどこもかしこも、そんな感じになってどんどんたまっていく一方になって困るのは、仮面を付けてない面々だけだった。

それこそ、アンネリースのしていたことなんて、すぐに替えがきくと思っていたかというとそれをしていたのすら知らないから、怒鳴り散らすしか仮面を付けていない者たちはできなかった。


「この国を動かしていた方を追い出せば、そうなるだろうに」
「まぁ、仕方ないさ。あいつら、自分たちが、無能なのに全くわかってないんだから」


仮面を付けている人たちで、アンネリースのことをよく知る者たちは、そんなことを言って自分たちのことは自分たちで、どうにかして自立した生活をし続けるから、困ることはなかった。

山奥にいざとなったら、いつでも住めるようにしていたが、移り住まなかったのは、アンネリースが王宮にいたからだ。

仮面を付けていない連中にさえ会わなければ、何の問題はない。山奥の辺鄙なところまで仮面を付けていない者たちは探しに来れはしないだろう。

何せ体力も、筋力もないのだ。だから、仮面を付けていた者の姿を見せないように生活していたから、こぞっていなくなっていることにすら気づいてもいなかった。

ただ、生活が立ち行かなくなることに苛ついて当たり散らす者たちばかりが街に増えていく一方だった。


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