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『隠された皇女』
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しおりを挟むリーシーたちが、必死になって走っている間に皇女として認められているディェリンの意識が闇に沈んでしまっていた。
そこにこんな知らせが飛び込んできた。
「陛下! 大国の各地より天変地異が起きていると知らせが来ております!」
「何だと?!」
それに皇帝のみならず、そこにいる者たちに緊張が走った。
ディェリンと一緒に来たユーシュエンとハオラン、皇女の側にいる花影や護衛長に侍従長、女官たち。多くの者がいても、何もできずに立ち尽くしていた。
「陛下」
「……皇女は?」
「申し訳ありません。我々には……」
「っ、」
侍医が頭を下げた。他の侍医も、何もできることはないとばかりに頭を下げた。
それを見て皇帝は無表情となって、こう言った。
「……皇女を悲しませたせいだ」
「陛下……?」
ぼそっと言うのに侍従長が、側に寄った。
「聞くに堪えない暴言を言ったガンラシュ国の子息と皇妃を殺せ」
「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」
それには、ずっと仕えている面々ですら、ぎょっとした。
「陛下」
「皇女を安心させねば。ここに戻って来てもらわねばならない。そんな、連中など、生かしておけない」
「っ、」
あまりの命令に護衛長は動けなかった。
そこに騒がしい声が外から聞こえて来た。
「皇太子殿下! お待ちください」
「皇女様の一大事だ。通せ!」
「ですが」
「陛下! 皇太子です。入る許可をください! 皇女様の一大事をどうにかできるかもしれません!!」
「通せ!」
皇太子の大声に皇帝は、すぐさま答えた。
皇女に何かあったとなぜわかったのかはわからないが、これだけ騒ぎになっていれば、嫌でも聞きつける。藁にも縋る思いだった。
己が殺せと命じるようなものより、良いものと思うのだが、この時の皇帝は癪だとは思わなかった。いつもなら、自分よりも上になる者が気に入らなかった。
彼は、男兄弟ばかりで、一番上ではなかった。真ん中辺りでもなかった。下の方だったのに皇帝になった男だ。
自分よりも優れた同性は気に入らないと思うのは、昔からだった。皇帝になるためにありとあらゆることをしてきた。
でも、そんなことをしてきたのは、彼だけではない。誰もが皇女の父や祖父になりたがっていた。
やっと、皇女の父になれたというのに。それを死なせたとしたら、名を残すことは難しくなると思った。
また、ズーウェイの時のように他の側妃たちを相手にしてきた時のように自分のことで手一杯になっていた。
もっとも、ディェリンにも父親らしいことなどしているようでできていなかったことにも気づいていない男だ。
侍医はできることがないと言うのだ。もうできるものは、皇太子のどうにかできるかもしれないことに縋るしかなかった。
それで、どうにかなったら、手柄を奪えばいいだけだ。
そんなことを思って、皇太子を見た。そこには、どこぞの貴族の息子のような姿をして、それに皇帝だけでなく、他のほとんどが眉を顰めずにはいられなかった。
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