【完結】Restartー僕は異世界で人生をやり直すー

エウラ

文字の大きさ
31 / 52

王都観光 初日 4

しおりを挟む

あの後、急いで服飾店に駆け込み、好意で貸して貰ったシャワーを浴びてサッパリと汚れを落としたあと、用意されていた着替えを身に着けた。
一応庶民的なデザインではある。

そこに何時ものようにヒューズの色をつけてくれている。
ベースの黒い服に銀色と琥珀色の刺繍が所々付いていて綺麗で可愛い。

この世界に来てずっと伸ばしている黒髪に琥珀色と銀色のリボンを編み込んで貰う。

ヒューズの色に包まれてる安心感、半端ない。

「サイズはよろしいようですな。既製品しかございませんでしたが、ようございました」

服飾店の老店主がほのほのと笑っていた。
稀人を見ても変に気を遣われなくて嬉しい。

「急な事なのにありがとうございます。凄く素敵です!」
「ルカ様、こちらの店は辺境伯家のタウンハウスにも出入りなさっておりますので、ルカ様のサイズや好みもしっかりと把握なさっておいでです」

セバスが追加で情報をくれた。
なるほど、どおりで趣味が合う訳だ。

「お目にかかれて光栄でございます。店主のクリスフォード・レイモンと申します」

綺麗なお辞儀と共に挨拶をされた。

「こちらこそ、よろしくお願いします」
「滞在中に何かございましたら遠慮なくお申し付け下さい。迅速に丁寧に仕上げてお届け致しますので」
「ふふ、ありがとうございます。あの、この髪につけたリボンをもう少し欲しいんですけど、あります?」

この色とデザイン、気に入ったんだ。
だってヒューズを思い起こさせるんだもの。

精悍でしなやかで、格好いいのに可愛いところもあって・・・。

思わず照れちゃって、顔が赤らむ。

「ございます。太さも幅の広いものから組紐のような物まで多種多様に揃えてございます。よければサンプルをお持ち致しますが、お時間は・・・」

ちらっとイライアスに目線を向けて窺う。

「ああ、お茶の時間が潰れてしまったので空いている」
「それでしたら、是非こちらでお茶をして頂きながら拝見して頂きましょうか」

そういって老店主が奥に声をかけると、テーブルにお茶とケーキが運ばれて来た。

「先ほどの喫茶店のケーキでございます。店主が、先ほどは大変不快な思いをさせてしまったとお詫びに・・・。差し出がましいのですが、彼は私とは古い幼馴染みなのです。本意では無いのです。・・・どうか、寛大な処置をお願いいたします」

そういって頭を下げた。
イライアスは気まずそうに言った。

「アレは私もカッとなって言ったが、もちろん店には問題は無かったようだし、重い責任を問うことはしないとここで誓うよ」

そうそう。
僕も聞いてたけどむしろ被害者だったよね。

「どう見ても痴話喧嘩?でケーキ投げてきたあの人達のせいで、店は被害を被っただけだしね。僕も全然怒ってないよ。それにここでゆっくり食べられて、嬉しい」

そういって、頂きますねとケーキを口にした・・・というかヒューズに給餌された。

「---! 美味しい! これ、凄く美味しい。甘過ぎなくてクリームが滑らかで、でもサッパリしてる。不思議・・・いくらでも食べられそう!」

にこにこしながら頬張るルカにデレデレのヒューズ。

安定の溺愛ッぷりにイライアス達は呆れ、店主は驚いた後に泣き笑いのような顔で『ありがとうございます』と言って、サンプルを準備しに奥へと戻っていった。


美味しいケーキを食べて気に入ったリボンも買えて、ルカはほくほくの笑顔で店をあとにした。

もちろんリボン代も衣装代もヒューズが払った。
ルカは、今日はヒューズに甘えようと思って、何も言わずにヒューズにお礼の口づけを贈って、ヒューズが赤面するのを『可愛い!』と悶えていたのだった。


「とりあえず、ヒューズがキレなくて良かった」
「・・・ルカにかかりきりでそれどころじゃ無かったからな。ある意味助かった」

ダグラスとイライアスはこっそりと溜息を吐いた。
ヒューズの戦闘力は一騎当千と言われるほど。
そんな男があの場で剣を抜いたらどうなっていたか・・・・・・。

偶然だろうが、あの時ルカが着替えを言いだしてくれて本当に助かったのだ。

「まあ、アルカエラ神が出た方が恐ろしいがな・・・・・・」
「言えてる」

ルカとヒューズ以外の者はブルッと震えたのだった・・・・・・。


しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

不遇聖女様(男)は、国を捨てて闇落ちする覚悟を決めました!

ミクリ21
BL
聖女様(男)は、理不尽な不遇を受けていました。 その不遇は、聖女になった7歳から始まり、現在の15歳まで続きました。 しかし、聖女ラウロはとうとう国を捨てるようです。 何故なら、この世界の成人年齢は15歳だから。 聖女ラウロは、これからは闇落ちをして自由に生きるのだ!!(闇落ちは自称)

【本編完結】断罪される度に強くなる男は、いい加減転生を仕舞いたい

雷尾
BL
目の前には金髪碧眼の美形王太子と、隣には桃色の髪に水色の目を持つ美少年が生まれたてのバンビのように震えている。 延々と繰り返される婚約破棄。主人公は何回ループさせられたら気が済むのだろうか。一応完結ですが気が向いたら番外編追加予定です。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

婚約破棄された令息の華麗なる逆転劇 ~偽りの番に捨てられたΩは、氷血公爵に愛される~

なの
BL
希少な治癒能力と、大地に生命を呼び戻す「恵みの魔法」を持つ公爵家のΩ令息、エリアス・フォン・ラティス。 傾きかけた家を救うため、彼は大国アルビオンの第二王子、ジークフリート殿下(α)との「政略的な番契約」を受け入れた。 家のため、領民のため、そして―― 少しでも自分を必要としてくれる人がいるのなら、それでいいと信じて。 だが、運命の番だと信じていた相手は、彼の想いを最初から踏みにじっていた。 「Ωの魔力さえ手に入れば、あんな奴はもう要らない」 その冷たい声が、彼の世界を壊した。 すべてを失い、偽りの罪を着せられ追放されたエリアスがたどり着いたのは、隣国ルミナスの地。 そこで出会ったのは、「氷血公爵」と呼ばれる孤高のα、アレクシス・ヴァン・レイヴンだった。 人を寄せつけないほど冷ややかな瞳の奥に、誰よりも深い孤独を抱えた男。 アレクシスは、心に傷を抱えながらも懸命に生きようとするエリアスに惹かれ、次第にその凍てついた心を溶かしていく。 失われた誇りを取り戻すため、そして真実の愛を掴むため。 今、令息の華麗なる逆転劇が始まる。

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

隣国のΩに婚約破棄をされたので、お望み通り侵略して差し上げよう。

下井理佐
BL
救いなし。序盤で受けが死にます。 文章がおかしな所があったので修正しました。 大国の第一王子・αのジスランは、小国の王子・Ωのルシエルと幼い頃から許嫁の関係だった。 ただの政略結婚の相手であるとルシエルに興味を持たないジスランであったが、婚約発表の社交界前夜、ルシエルから婚約破棄をするから受け入れてほしいと言われる。 理由を聞くジスランであったが、ルシエルはただ、 「必ず僕の国を滅ぼして」 それだけ言い、去っていった。 社交界当日、ルシエルは約束通り婚約破棄を皆の前で宣言する。

婚約破棄署名したらどうでも良くなった僕の話

黄金 
BL
婚約破棄を言い渡され、署名をしたら前世を思い出した。 恋も恋愛もどうでもいい。 そう考えたノジュエール・セディエルトは、騎士団で魔法使いとして生きていくことにする。 二万字程度の短い話です。 6話完結。+おまけフィーリオルのを1話追加します。

龍は精霊の愛し子を愛でる

林 業
BL
竜人族の騎士団団長サンムーンは人の子を嫁にしている。 その子は精霊に愛されているが、人族からは嫌われた子供だった。 王族の養子として、騎士団長の嫁として今日も楽しく自由に生きていく。

処理中です...