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翼を広げて
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瞼に温かいものが触れたような気がして微睡みから覚めると、愛しい人がいた。
僕と目が合うとホッと一息吐いた。
「昨日はやりすぎた。スマン。体は大丈夫か?」
そういえばそうだった。
思い出したら顔が赤くなった。
「大丈夫。というか、なんか軽いかも。いつもより元気になった感じ?」
何でかなあ?
「それはたぶん、俺の魔力を吸収したせいだと侍医が言ってた。背中の羽を見てごらん」
「・・・え?」
振り返って羽を見たら、昨日よりも大きくなっていた。
相変わらず2枚だけど、サイズも艶も桁違い。
---もしかしたら・・・。
「僕、飛べる?」
「かもしれないと言われたが・・・試してみるか? もちろん室内で、危険がないようにするが」
「うん、やってみたい! 前は数センチ浮くくらいで、全然飛ぶことも出来なかったから」
もし本当に飛べたら嬉しい。
「じゃあパーティー用の広間へ移動しよう」
何かあったら大変なので侍医とアルフにも同行して貰い、移動して。
「何時でもいいからな? 無理するなよ? 万が一あの時は俺が支えるから心配ないぞ!」
一生懸命なヴァルツさんにクスッと笑って、頷く。
思い出して。
妖精としてではなく、竜人としての翼を。
2枚の翼で飛ぶ竜を。
格好いいヴァルツさんを・・・。
きっと飛べる。
体中の僕の魔力とヴァルツさんの魔力とが混じり溶け合っていく。
本能で風を起こし、ゆっくりと羽ばたかせる。
徐々に強くなり、体が浮上して・・・。
床から浮いて、そのままホールの半分の高さまで上がった。
それからヴァルツさんに向かってゆっくりと羽ばたくと、音もなくスーッと移動する。
空中に浮いたまま。
嬉しくて、そのまま、手を広げて迎えてくれるヴァルツさんの元へ飛んでいって抱きついた。
「リノ、大丈夫?」
「・・・・・・ヴァルツさん! 僕、僕、初めて飛べた! どうしよう、嬉しすぎて、どうしよう」
興奮気味にヴァルツをぎゅうぎゅうと背中に回した手で抱きしめて見上げるリノ。
側で見守っていたアルフと侍医がほのぼのと笑っていた。
「よかったよかった」
「このまま魔力を吸収し続ければ、もっと軽く、速く飛べるようになるでしょうな」
「体ももっと丈夫になるでしょうね」
そんな会話を聞いたヴァルツが再び暴走して、リノを抱き潰してしまうのはこの後。
妖精族では出来損ないだった僕が。
愛する人を見つけて、番いに抱かれて。
これまで、いやこれからも夢だと思っていた色んな事が出来るようになるなんて・・・・・・。
こんな幸せな夢なら、ずっと、醒めないで。
「夢じゃ無いけど、リノがそう思うならば俺はその幸せな夢をずっと見せ続けよう」
愛している、リノ。
僕も愛している、ヴァルツ。
そして今日も妖精は、竜に抱かれて夢を見る。
*ひとまず本編完結。読んで下さってありがとうございます。この後、番外編をいくつか入れる予定です*
僕と目が合うとホッと一息吐いた。
「昨日はやりすぎた。スマン。体は大丈夫か?」
そういえばそうだった。
思い出したら顔が赤くなった。
「大丈夫。というか、なんか軽いかも。いつもより元気になった感じ?」
何でかなあ?
「それはたぶん、俺の魔力を吸収したせいだと侍医が言ってた。背中の羽を見てごらん」
「・・・え?」
振り返って羽を見たら、昨日よりも大きくなっていた。
相変わらず2枚だけど、サイズも艶も桁違い。
---もしかしたら・・・。
「僕、飛べる?」
「かもしれないと言われたが・・・試してみるか? もちろん室内で、危険がないようにするが」
「うん、やってみたい! 前は数センチ浮くくらいで、全然飛ぶことも出来なかったから」
もし本当に飛べたら嬉しい。
「じゃあパーティー用の広間へ移動しよう」
何かあったら大変なので侍医とアルフにも同行して貰い、移動して。
「何時でもいいからな? 無理するなよ? 万が一あの時は俺が支えるから心配ないぞ!」
一生懸命なヴァルツさんにクスッと笑って、頷く。
思い出して。
妖精としてではなく、竜人としての翼を。
2枚の翼で飛ぶ竜を。
格好いいヴァルツさんを・・・。
きっと飛べる。
体中の僕の魔力とヴァルツさんの魔力とが混じり溶け合っていく。
本能で風を起こし、ゆっくりと羽ばたかせる。
徐々に強くなり、体が浮上して・・・。
床から浮いて、そのままホールの半分の高さまで上がった。
それからヴァルツさんに向かってゆっくりと羽ばたくと、音もなくスーッと移動する。
空中に浮いたまま。
嬉しくて、そのまま、手を広げて迎えてくれるヴァルツさんの元へ飛んでいって抱きついた。
「リノ、大丈夫?」
「・・・・・・ヴァルツさん! 僕、僕、初めて飛べた! どうしよう、嬉しすぎて、どうしよう」
興奮気味にヴァルツをぎゅうぎゅうと背中に回した手で抱きしめて見上げるリノ。
側で見守っていたアルフと侍医がほのぼのと笑っていた。
「よかったよかった」
「このまま魔力を吸収し続ければ、もっと軽く、速く飛べるようになるでしょうな」
「体ももっと丈夫になるでしょうね」
そんな会話を聞いたヴァルツが再び暴走して、リノを抱き潰してしまうのはこの後。
妖精族では出来損ないだった僕が。
愛する人を見つけて、番いに抱かれて。
これまで、いやこれからも夢だと思っていた色んな事が出来るようになるなんて・・・・・・。
こんな幸せな夢なら、ずっと、醒めないで。
「夢じゃ無いけど、リノがそう思うならば俺はその幸せな夢をずっと見せ続けよう」
愛している、リノ。
僕も愛している、ヴァルツ。
そして今日も妖精は、竜に抱かれて夢を見る。
*ひとまず本編完結。読んで下さってありがとうございます。この後、番外編をいくつか入れる予定です*
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