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14 森人あるある?
しおりを挟む森に入ること数十分。
巡回ルートは毎回違うのだが、さすがに4年も歩いていればそれなりに道のようになってくるモノで、人一人が十分通れるような獣道に近いモノが出来ている。
そこをゆっくりと歩きながら辺りをキョロキョロと見回す樹希。
ゆっくりではあるが、当然地面は凸凹なわけで・・・。
「───っわっ!」
足元がお留守になってしまって木の根に躓き、転びそうになる。
そこをすかさずシュルツが腕を回して抱え込む。
───それをこの数十分で何度繰り返したのか・・・・・・。
「・・・大丈夫か?」
「ん、ごめん」
「・・・・・・これで良く森の巡回が出来るな・・・」
危なっかしくて見てられん、とぼやくシュルツだった。
「転びそうになると大抵、近くの蔓性植物が蔓で支えてくれるんだよ・・・ほら」
そう言って指差した方向にはプラプラ揺れる丈夫そうな蔓が・・・。
「・・・・・・魔性植物?」
「無害だよ?」
「いや、分かってるが・・・自我を持って自ら助けてくれるのか? 凄いな、この森は・・・」
「皆、良い子だよ」
「さすがは森人。植物に好かれてるんだな。・・・・・・それにしてもイツキは本当に鈍くさいんだな」
エルフにあるまじき運動音痴・・・。
エルフは俊敏で魔法に長けていて、自然との親和性が高い。
食べるために動物を狩ることは少ないが、危険の排除のために弓で狩りをするくらいには弓の腕が良い。
今ではその姿を見るモノはほとんどいないが、かつてのエルフ達はそうらしかった。
それに当てはめると、目の前のエルフは余りにもひ弱で鈍くさい。
もう一度言う。
本当に鈍くさい。
・・・これで良く生きていたな。
生まれ付きなのか、それとも育った環境故か。
───イツキは『森に入ったことないから』と言っていた。
エルフに限らず、森に入ったことの無い者などほとんどいないだろう。それこそ籠の鳥のように何処にも出られないような生活でも無ければ・・・。
「あとねぇ、この森の木々は優しいから、僕が通るとき避けてくれるんだ」
『長く生きてるとドライアドになるんだよ』
『外のトレントとは違うよ』
『ドライアドは樹木の精霊』
『トレントは樹木の魔物』
『竜の人は知ってるよね?』
「ああ、そうだな。トレントは悪さをする事があるが、ドライアドは神聖な存在だ。そうか、この森はドライアドがたくさんいるんだな」
感慨深そうに辺りを見回すシュルツにイツキが笑って言った。
「うん、大きい木は大抵そう。森を歩くとあちこちから声をかけられて、ソッチに気を取られるから・・・」
だから良く転けるし、ドライアドになっていない若木は避けてはくれないからぶつかるし。
「───うん、まあ、そういうことにしておこう・・・」
そう言ってぽすっと頭を撫でられた。
だから子供じゃ無いってば。
『イツキはエルフっぽく無いからね』
『普通は当たり前のように避けるから、ぶつからないんだよ?』
『木の枝、ぴょんぴょん跳ねるの当たり前』
『イツキは跳ねても木に登れないもんね』
「ううぅ煩い!」
『『『『そこが可愛い!』』』』
「可愛くなーい!」
精霊達に同調するかのように森の木々がさわさわと揺れたようだった。
ソレに合わせて、清浄な魔素が溢れ出てくる。
───これが、森人の力・・・。
エルフが森と共に在る理由。
この魔素が世界中に満ちれば、魔物の活動も抑えられ、人々の暮らしも楽になるだろう。
ユトピアの神が護ってきたこの精霊の森を、エルフを、俺達は護っていかねばならない。
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