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51 ノンノン無双(side騎士団長)
しおりを挟む竜帝陛下の緊急事態宣言からわずか一時間弱。
皇城から次々と竜体となった騎士達が飛び立って行く。
ココから景緑国までは翔べば直線距離になるので一時間もかからないだろう。
皆、鍛え上げている上に竜体での本気の飛翔だ。
陛下も行きたがったが、宰相であるシュヴァルツ公爵閣下が言い負かしてお留守番になった。
最後までごねていたが、いや貴方、国のトップとしての自覚を持って下さいよ。
『つまんない』って、子供か?!
そんなこんなで着いた先では、一応形だけの『宣戦布告』をして王城へと突撃していった。
国民の大半はビビって腰を抜かしている。
そりゃあそうだ。
閉鎖的なこの国に竜人はいない。
竜体も当然見たことがないだろう。
そんな竜が何体も・・・いや十数体も空から現れて宣戦布告をしたのだ。
今頃は王城も混乱を極めているだろうな。
思った通り、慌てて集まってきた兵士達を竜人に戻ってあっさりと無効化していく。
呆気ない。
弱い。
その言葉に尽きるが、何処から湧いてくるのか結構な人数だ。
「団長、兵に混じって奴隷がおりますが、如何致しますか?」
「・・・ココの奴隷達はおそらく大半が首枷で無理矢理命令されている違法奴隷だろう。出来るだけ無傷で無力化、保護を。後で確認作業を行う」
「はっ」
───本当にクズだな。
正規の奴隷以外は解放してアフターケアが必要だな。
そんなやり取りをしながら、ふと打撃音のする方へ目を向けると、宰相閣下曰くのウサギのぬいぐるみが敵兵を殴り飛ばしているところだった。
「───は?」
ぬいぐるみだよな?
ふわっふわの真っ白い毛並みで柔らかそうなもこもこに見えるんだが?
・・・・・・そういえば、高速で翔ぶ竜体の宰相閣下の首元に自力でしがみ付いていたような・・・。
え?
見た目通りのぬいぐるみじゃ無いのか?!
そんでもってあの撲殺具合は間違いなく前騎士団総長!!
───まさか、本当に、乗り移って・・・?!
ソレからはノンノンの独壇場だった。
後から後から湧いて出る兵士達を殴る蹴る。
一応手加減はしているようだが、軒並み吹き飛ばされて建物や塀、樹木、果ては地面にまでめり込んでいく。
我等騎士団や宰相閣下お抱えの影達は、ノンノンの進んだ後をもっぱら捕縛していくだけ・・・。
ちなみに、その影達にも一体ずつ動物型のぬいぐるみが付いていて、それぞれが取り逃がした敵兵達や王城の貴族達を倒して捕縛していた。
アレ等もウサギのぬいぐるみと同じような性能なのだろう。
一体、何を如何したらあんなぬいぐるみが出来上がるんだ?!
あちらこちら吹き飛ばした敵兵達で破壊しながら淡々と進むノンノン。
一足先に王の間に着いてすでに制圧済みの宰相閣下と宰相補佐・・・ゼクス殿とアハト殿がウサギのぬいぐるみを見てにっこり笑う。
「やあ、ノイン。ご苦労様」
「ご苦労様です、母上」
「───ぶっ?!」
アハト殿、今、母上って言った?!
それでもって、ノンノン。
しゅたっと左手を上げてドヤってした!!
思わず噴き出した騎士団長。
「騎士団長、何か問題が?」
ゼクス殿に威圧的な笑顔で問われて速攻で顔を横に振る。
何も問題御座いません!!
そろーっと視線を逸らした先には、影達に捕縛され、真っ青な顔でガタガタと震えている景緑国の国王がいた。
「───お待たせしました。イツキを救出して参りました」
ちょうどタイミング良くシュルツ殿が、攫われた【管理者】殿と思われる小柄な方を片腕に抱いてその場に現れた。
そのご尊顔はマントで隠され窺い知れなかったが、おそらく眠っておられるのだろう。
この混乱極まりない騒ぎの中でもピクリとも動かなかった。
「イツキは無事か?!」
ゼクス殿がシュルツ殿に真っ先に確認する。
アハト殿も心配そうだ。
「・・・最悪は免れましたが、魔力封じの首枷に鎖でベッドに繋がれ、衣服が裂かれておりました」
「!! 本当にクズだな!!」
「イツキは如何した?」
シュルツ殿の言葉にゼクス殿とアハト殿は怒りを露わにする。
「今は魔法で眠らせております。俺が他に預けるのも触らせるのも耐えられないので・・・」
「そうだね。それが良い」
「じゃあ、役者が揃ったところで、このクズ共の後始末だな」
シュルツ殿は愛おしそうにマントの上から番い殿に口付けを落とす。
ゼクス殿とアハト殿はホッとしてから今回の元凶に向かってニタリと黒い笑みを浮かべた。
・・・・・・あの顔の宰相閣下達は絶対に敵に回してはいけない。
騎士団長は本能で恐怖を感じた。
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