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58 可愛いは正義!!
しおりを挟む「---えっ、あのウサギのぬいぐるみ、話すようになったの?」
影からの情報に、可愛い二体の子ウサギのぬいぐるみを見ていた樹希は思わずポカンとした。
「口で話すのではなく、念話でだがな。・・・ついにぬいぐるみを辞めたらしい」
額を押さえて苦悶の表情を浮かべるシュルツに苦笑交じりの樹希。
「あー、うん・・・そっか。そういえば前にも動きがちょっと変わってるって言ってたね。・・・えーと、シュルツの母様にそっくりって? ノインさんだっけ、名前?」
樹希が記憶を掘り起こしながらそう言った。
「ああ。父上は『ノイン』と呼んでいて兄上は『母上』呼び。邸の使用人達は『ノンノン』と呼んでいるよ」
「へー、知らなかった」
あのぬいぐるみ、特別そういうのを意識して作ったわけじゃなかったのに。
でも直感であの色とか選んでたから、何かこう、通じるモノがあったのかもね。
「白銀の髪にガーネット色の瞳で、見た目も可愛らしい方だったが、話す言葉が母上そっくりだそうだ。というか、ぬいぐるみ自身が母上だと認めたらしい」
「えっ、そうなんだ?! でもソレって倫理的に大丈夫なのかな? あー、でも、エリクサーがある時点で復活しても構わないのか? というか蘇生とは違う気が・・・じゃあ良いのか?」
何やらブツブツと言っている樹希にシュルツが尋ねる。
「その、イツキの前世の世界では、死者蘇生なんてのは・・・?」
「あー・・・うん。基本的に死んじゃったら終わりだけど。魔法とか無い世界でさ、代わりに治療法が色々進化してて、死んじゃっても機械・・・えーとコッチでいう魔導具とか薬とかで、たまに生き返る人もいたよ」
「そうか、じゃあ驚いたよな」
「うん、でも小説とかゲーム・・・娯楽の魔導具みたいなモノには、空想や想像で生き返りの魔法とか蘇生薬なんてのも出て来たから、忌避はないよ」
そう言って笑った。
「しかし良く出来てるね、このぬいぐるみ達」
『ソレはあのぬいぐるみ・・・ノイン様のお手製です。ご子息様の番いのお二人の為にと』
「えっ?! そうなの?! ええ、あの手でお裁縫得意なんだ?!」
まじまじとぬいぐるみを見つめていた樹希が驚きの声をあげた。
「ああ、母上は裁縫も得意だったな」
「ほえー。・・・僕と違って何でも出来るんだね」
「イツキ、イツキはそのままで良いんだぞ。ドジで可愛いイツキで良いんだ。そんなイツキも愛しているから」
「---っシュルツ・・・」
シュルツの言葉に、自分の不甲斐なさを感じていた樹希はぱあっと顔を紅潮させた。
「イツキは優しくて頼りないくらいが良い。間違っても母上のように最凶にならないでくれ」
「・・・・・・はい・・・?」
真顔でそう言うシュルツに、疑問を浮かべて曖昧な返事を返す樹希だった。
ソレはともかく、ノンノンの要望通りに子ウサギぬいぐるみに魔法・物理耐性、状態保存の魔法を付与して、自分の色彩のぬいぐるみを手元に置き、もう一つは影に預けた。
「じゃあ、コッチはよろしくね、トレ」
『畏まり』
「あ、今度シュヴァルツ家に遊びに行きたいね。アハト兄様の番いだったんでしょ? ギルミア君。お茶会でもして話したいなあ」
「ああ、ソレならば都合を付けよう。俺が邸まで転移すれば良いし。話したら皆、きっと喜ぶ」
「うん」
じゃあソレもついでに話しといて、と頼んで樹希はぬいぐるみを抱えてお昼寝タイムに入る。
あっという間に寝入ってしまった樹希の腕に抱かれて固まってしまった子ウサギ。
そういえば、イツキは眠る前に子ウサギぬいぐるみに名前をつけていた。
「『フェアグリン』・・・光の精の意味を持つ名前だな」
明るい金茶色で、光を浴びて輝く髪色。
何時までもイツキを照らしてやってくれ。
---さり気なく親指を立ててグーを作った子ウサギに、声を出さずに笑ったシュルツだった。
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