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60 お茶会の準備の準備(sideアハト&ギルミア)
しおりを挟む「・・・おちゃかい・・・?」
お昼寝から覚めて、紅茶にたっぷりのミルクをいれたミルクティーを飲ませて貰いながらギルミアはそう呟いた。
アハトの膝の上で一口サイズのクッキーを口に入れて貰う。
---あ、コレ・・・パンプゥの味のクッキーだ。
美味しい。
ギルミアは舌っ足らずな発音でゆっくり話すが、口が慣れていないだけで心の声は年相応というか、もっとしっかりした思考をしていた。
どちらかというと、樹希の方が心の声も口調も緩いだろう。
そんなギルミアは、頭の中で色々と考えた。
どうやら、少し前にギルミアが命令されて攫ったイツキが、その攫った張本人であるギルミアと呑気にお茶を飲みながら親交を深めたいらしい。
「・・・どーして? ぼく・・・わるいことしたのに・・・」
「イツキは君の事情を知ってるし、隷属されてて命令に背けない事を分かってるから。・・・内緒だけど、彼もね、4年前までアイツらに違法奴隷として捕まっていたんだ。ソレも生まれて間もなく・・・。本人はその記憶が無いけど、恐怖心は残ってるようで、君の気持ちは分かるみたいだ」
「---そんな・・・」
そういえば、僕が捕まった頃、消えてしまったエルフの事を聞いた事がある。
お人形のような奴隷のエルフ。
歩けないし言葉も話せないのに、突然、消えてしまったって。
「・・・きいたこと、ある。きえたどれいのエルフのはなし・・・あの、ひと、だったんだ」
「そうか・・・。君は彼と入れ替わるように捕まったんだな。じゃあこの前初めて会ったんだ?」
「・・・ん」
僕より辛い目にあってた人・・・。
良いのかな、僕が仲良くしても・・・?
「イツキは弟の番いだし、とっても良い子だよ。過去の事情のせいか・・・もの凄く、鈍臭くて・・・。君が友達になってあげて。それに義弟になる子だから。・・・君より年上だけど、たぶん気持ちは君の方が大人だと思うよ」
そう言って苦笑するアハトに、安心して、じゃあ会おうということになった。
「今回、初めて公爵家に来るから、邸内はかなりばたばたすると思うけど、心配しないで」
「あい」
「そういえば・・・このぬいぐるみの名前はどうする?」
「---あ、・・・うーん」
そう言われてじーっと見つめるギルミア。
「・・・ろいん」
「ロイン?」
「ん。たいよーのかがやきって、イミが、ある。キラキラ、きれい。アハトの、目、みたい、キラキラ」
「---そうか、俺の瞳みたい・・・紫色だけど、キラキラ・・・」
頬を赤らめてブツブツと何かを言っていたが、落ち着いたのか、使用人を呼んでお茶会の調整を始めた。
「---ええ! シュルツ様の番い様とアハト様の番い様のお茶会ですもの! 総員、張り切って最高のお茶会にして見せますとも!!」
「・・・母上と父上も参加するだろうから、予定の調整は任せるけど・・・あんまり派手にするなよ?」
「万事心得ておりますとも!! お任せ下さいませ!!」
鼻息荒く、気合いのこもった声でそう言って去って行った使用人さんに呆気にとられていたギルミアだが、子ウサギぬいぐるみ・・・ロインがポンポンと頭を撫ぜてくれてハッとした。
「あいあと、ろいん」
ロインは指でグッと表すと雰囲気でニカッとしたように感じた。
ギルミアはほのぼのとして笑い、アハトも穏やかに笑った。
---何時もの腹黒さは何処へ行ったのだろう。
後が恐ろしい。
ともかく、可愛いを詰め込んだようなお茶会の準備はこうして始まった。
※パンプゥはカボチャ。
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