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第5部
第八章 火のカーニバル①
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「――ライガス隊長! 先程第三坑道から出て来た作業員らしき二十八名。全員の捕縛が完了しました!」
と、緑色の騎士服を纏った青年が、敬礼して報告する。
そこは、第三坑道の付近。坑道の裏口と呼ばれる場所の一つだ。
少し街から離れたこの場所はグランゾの周辺では珍しく少しばかり林が見える。
「そうか。では引き続き警戒すること」
と、親方こと、シン=ライガスは部下にそう指示した。
隻眼の職人は、今は緑色の騎士服を纏っている。
これは、アティス王国第二騎士団の制服だった。
「了解しました! 失礼いたします!」
指示を受けた騎士は敬礼すると、そのまま近くの持ち場に戻って行った。
現在、シンの周囲には三名程しか人がいない。
坑道の裏口は多数あるため、ほぼ総員を見張りに配置してあるからだ。
「……ふむ」
おもむろにシンはあごに手をやった。
「二十八名というのは、ライザーの報告にあった作業員の人数と一致するな。ということは現在坑道内にいるのは……」
ライザーとボーガン親子。
国外の犯罪組織に所属する四名。
そして《金色聖女》と《双金葬守》ということになる。
「今のところガハルドさんの計画通りだな。しかし……」
どうにも嫌な予感がする。
今回の捕縛計画。実のところ、シンはあまり乗り気ではなかった。
もちろん捕縛に異論はない。しかし、ガハルドの一般人を巻き込むような計画がどうにも納得できなかったのだ。
どれほど異名を持とうが、今は一般人だ。荒事に巻き込むべきではない。
生真面目なシンはそう考えていた。
だが、それでも計画に協力したのは、ガハルドとは旧友だからだった。
しかも命の恩人と言っても過言ではない相手だ。
「ガハルドさんは強引なところもあるからな。だが、どうも嫌な予感がする」
シンは自分達が担当する坑道の裏口に目をやった。
ほとんどの人間を捕縛できたのは僥倖だが、何故作業員達だけが出て来たのか。
確認時の報告では作業員達は、全員かなりの恐慌状態だったらしい。
「……中で何かがあったのか?」
シンは眉根を寄せた。
隻眼を手で押さえながら考える。ここは偵察を出すべきか。
「いや、肝心の人間を捕えていない。下手に包囲を解くべきではないか」
しばし熟考した後、シンはそう結論付ける。
そして再度、坑道の裏口を見やり、
「頼むぞライザー。上手く立ち回ってくれよ」
と、願うように呟くシンだった。
◆
――その頃、大空洞は緊迫で包まれていた。
それも当然だ。
煉獄の鬼を思わせる漆黒の鎧機兵と、半人半蛇の真紅の鎧機兵。
異形としか言い表せない二機が、一触即発の状態で対峙しているのだから。
『かかかっ、お前とやり合うのもいつ以来だ? アッシュ=クライン』
『そうだな。確か俺が《七星》に成り立ての頃だったか?』
しかし、その鎧機兵の操手達はどこか気軽にそう語り合う。
と、その時だった。
「……支部長」
ガレックの部下。黒服の一人が長に尋ねる。
「我々はどう致しましょうか」
『おう。そうだな』
ガレック=オージスの操る《火妖星》が部下達に目をやった。
『とりあえず、ここにいてもやることねえしな。お前らはもう撤退していいぞ。この国からの脱出手段は各自に任せる。他の連中にもそう伝えな』
と、ガレックが指示を出す。黒服達はそれぞれが「了解しました」と告げ、素早い動きで坑道の一つに走り出した。
それを見て焦ったのはライザーだ。
慌てて黒服達の後を追おうと、愛機の操縦棍を握りしめた。
「待て! 貴様ら! 逃げられると――」
と、言いかけた時、
『待てライザー。迂闊に追うな。ここにはボーガン親子がいんだぞ。お前はまず二人の安全を確保してくれ』
《朱天》に乗るアッシュにそう止められた。
「――確かに……」
ライザーは愛機の足を止めた。アッシュの指摘通り、そちらの方が優先だろう。
現状、ここはいつ戦場になってもおかしくない場所なのだ。
『ライザー。黒服の連中は一旦無視しろ。お前はボーガン親子を連れて早くここから離れてくれ。出来れば坑道の外までだ』
アッシュが続けてライザーに指示を出す。
愛機の中でライザーはこくんと頷いた。
「分かりました。正直私が加勢しても足手まといにしかならない怪物のようですしボーガン親子の安全を最優先にします。それと……妹さんもお連れしましょう」
『……そうして欲しいのはやまやまなんだが』
と、前置きして、アッシュは眼前の《火妖星》を睨みつける。
『流石にそれは見逃してくれねえよ。ユーリィはこいつら《黒陽社》の拉致リストの第一位に載っているからな』
そう吐き捨てるアッシュ。すると、獲物を前にした大蛇の如くゆらゆらと動いていた《火妖星》から、ガレックの声が響く。
『ああ、そうだな。俺にとっちゃあ担当業務と違うんだが、かと言って立場的に見逃すのも何だしな。けど安心しな。その小娘がいても俺はあんま気にしねえ。まあ、お前を殺した時、まだその小娘が生きてりゃあ回収でもするさ』
と言い放つガレックに、アッシュの腰を掴むユーリィの力が少し強くなった。
アッシュは片手でユーリィの手に触れ、力強い声で少女に告げる。
「大丈夫だ。お前が《黒陽社》に行くことはない」
「うん。分かってる」
ユーリィが頷いたのを何となく感じ取りつつアッシュは《火妖星》を見据える。
『相変わらずてめえ勝手なことばっか言う奴だな。ガレック=オージス』
『かかかっ。だから俺は《黒陽社》の支部長やってんだよ』
アッシュとガレックの会話は一旦そこで終わった。
そして、アッシュは後方にいるであろうライザーに告げる。
『とにかく、そういうことだ。ライザー。早くボーガン親子を連れて行ってくれ。ああ、それと……えっと、ギル=ボーガンさん』
「……? 何かねクライン氏」
不意に名を呼ばれ、今まで息子のセドをじっと見据えていたギルが尋ね返す。
アッシュは、少々真剣な顔つきで口を開いた。
『はっきり言ってこの状況、洒落にもならねえんだよ。だからせめて言質を取るぞ。あんた、俺の工房を絶対返してくれんだよな?』
と、そんなことを言うアッシュに、ギルは苦笑を零した。
ギル達のせいでこんな状況に陥ったのだ。アッシュの気持ちはよく分かる。
「ああ、それについては今この場で約束しよう。あの工房は必ず君に返還する。それに、あの土地についても無償で君に譲渡することを約束しよう」
せめてもの誠意を込めてギルはそう約束した。
想像以上の言質を得て《朱天》の中でアッシュが笑みを浮かべる。
『おお! それマジか! 俄然やる気が出てきたぞ! ユーリィ、こいつをぶちのめしたらまた忙しくなるから覚悟しとけよ!』
『うん。まずはお客さんへの挨拶回りをしないと』
と、ユーリィまではしゃいだ声を上げる。
「ははっ、その時は俺とライガスさんも師匠の工房に寄らせてもらいますよ」
嬉しそうな二人の様子に、ライザーも笑みを零してそう告げる。
が、すぐに真剣な表情をして――。
「……では師匠。俺はボーガン親子を連れて撤退します。どうかご武運を」
『おうサンキュ。頑張るさ。あっ、けどなライザー。親方もだが、今回の一件まだ許してねえからな。お前ら後でちゃんと飯でも奢れよ』
冗談めいた口調でそう告げるアッシュに、ライザーは頬をかき、
「はははっ、分かりました。けど、あんまり高いのは勘弁して下さいよ」
そう返答した。そしてライザーは自機の操縦席の中から一礼すると、ギル=ボーガンを連れて、セド=ボーガンの元へと愛機を急がせた。
アッシュはそれを視線の端で確認してから、改めて《火妖星》を見やる。
『さて、と』
すうっと目を細め、白髪の青年は告げる。
『そうだな。とりあえず名乗りでも上げとくか』
対し、《火妖星》の操縦席でガレックもまた嬉しそうに目を細めた。
『名乗り上げか。そりゃあ面白そうだな』
職業柄、彼は名乗りを上げた経験がない。普段はしない行動に興味が注がれた。
そしてガレックはニヤリと笑い、
『実は一度そういうのやってみたかったんだよ。俺も付き合うぜ!』
そう告げるなり、《火妖星》が蛇体を唸らせ、円を描くように疾走した。
ガリガリと地面を削りながら《火妖星》は《朱天》の周囲を回る。
そして――豪快に両手の爪を交互に叩きつける!
『我が名はガレック=オージス! 《九妖星》が一人――《火妖星》なり! かかかっ! 強者も良い女も全部喰らい尽くしやるぜ!』
ガレックのその名乗り上げは、まるで咆哮のように大空洞に響いた。
アッシュは「フン」と鼻を鳴らす。
『声がでけえよ。いい歳してはしゃぎすぎだ』
『うん。確かにうるさい』
と、ユーリィも同意見のようだ。
アッシュは苦笑を浮かべる。が、気迫で負ける訳にはいかない。
白髪の青年はすうっと目を細めて――。
『《七星》が第三座、《朱天》――《双金葬守》アッシュ=クライン……』
と、静かな声で名乗りを上げ、
『――覚悟しな! 一片残らず塵にしてやるぜ!』
ガレックにも決して劣らぬ気迫を込めて雄々しく吠えた!
そして主人の雄たけびに《朱天》は両の拳を叩きつけることで応えるのだった。
片や漆黒の鬼――《朱天》。その恒力値は三万八千ジン。
片や半人半蛇――《火妖星》。その恒力値は三万七千五百ジン。
互いに最強と呼ばれし二機の鎧機兵は睨み合う。
半人半蛇はゆらゆらと蠢き、漆黒の鬼はじりじりと間合いを測る。
『そんじゃあ行くぜ! ガレック=オージス!』
『おう! 来いや! アッシュ=クライン!』
同時に動き出す二機。
かくして、大空洞は戦場と化したのだった。
と、緑色の騎士服を纏った青年が、敬礼して報告する。
そこは、第三坑道の付近。坑道の裏口と呼ばれる場所の一つだ。
少し街から離れたこの場所はグランゾの周辺では珍しく少しばかり林が見える。
「そうか。では引き続き警戒すること」
と、親方こと、シン=ライガスは部下にそう指示した。
隻眼の職人は、今は緑色の騎士服を纏っている。
これは、アティス王国第二騎士団の制服だった。
「了解しました! 失礼いたします!」
指示を受けた騎士は敬礼すると、そのまま近くの持ち場に戻って行った。
現在、シンの周囲には三名程しか人がいない。
坑道の裏口は多数あるため、ほぼ総員を見張りに配置してあるからだ。
「……ふむ」
おもむろにシンはあごに手をやった。
「二十八名というのは、ライザーの報告にあった作業員の人数と一致するな。ということは現在坑道内にいるのは……」
ライザーとボーガン親子。
国外の犯罪組織に所属する四名。
そして《金色聖女》と《双金葬守》ということになる。
「今のところガハルドさんの計画通りだな。しかし……」
どうにも嫌な予感がする。
今回の捕縛計画。実のところ、シンはあまり乗り気ではなかった。
もちろん捕縛に異論はない。しかし、ガハルドの一般人を巻き込むような計画がどうにも納得できなかったのだ。
どれほど異名を持とうが、今は一般人だ。荒事に巻き込むべきではない。
生真面目なシンはそう考えていた。
だが、それでも計画に協力したのは、ガハルドとは旧友だからだった。
しかも命の恩人と言っても過言ではない相手だ。
「ガハルドさんは強引なところもあるからな。だが、どうも嫌な予感がする」
シンは自分達が担当する坑道の裏口に目をやった。
ほとんどの人間を捕縛できたのは僥倖だが、何故作業員達だけが出て来たのか。
確認時の報告では作業員達は、全員かなりの恐慌状態だったらしい。
「……中で何かがあったのか?」
シンは眉根を寄せた。
隻眼を手で押さえながら考える。ここは偵察を出すべきか。
「いや、肝心の人間を捕えていない。下手に包囲を解くべきではないか」
しばし熟考した後、シンはそう結論付ける。
そして再度、坑道の裏口を見やり、
「頼むぞライザー。上手く立ち回ってくれよ」
と、願うように呟くシンだった。
◆
――その頃、大空洞は緊迫で包まれていた。
それも当然だ。
煉獄の鬼を思わせる漆黒の鎧機兵と、半人半蛇の真紅の鎧機兵。
異形としか言い表せない二機が、一触即発の状態で対峙しているのだから。
『かかかっ、お前とやり合うのもいつ以来だ? アッシュ=クライン』
『そうだな。確か俺が《七星》に成り立ての頃だったか?』
しかし、その鎧機兵の操手達はどこか気軽にそう語り合う。
と、その時だった。
「……支部長」
ガレックの部下。黒服の一人が長に尋ねる。
「我々はどう致しましょうか」
『おう。そうだな』
ガレック=オージスの操る《火妖星》が部下達に目をやった。
『とりあえず、ここにいてもやることねえしな。お前らはもう撤退していいぞ。この国からの脱出手段は各自に任せる。他の連中にもそう伝えな』
と、ガレックが指示を出す。黒服達はそれぞれが「了解しました」と告げ、素早い動きで坑道の一つに走り出した。
それを見て焦ったのはライザーだ。
慌てて黒服達の後を追おうと、愛機の操縦棍を握りしめた。
「待て! 貴様ら! 逃げられると――」
と、言いかけた時、
『待てライザー。迂闊に追うな。ここにはボーガン親子がいんだぞ。お前はまず二人の安全を確保してくれ』
《朱天》に乗るアッシュにそう止められた。
「――確かに……」
ライザーは愛機の足を止めた。アッシュの指摘通り、そちらの方が優先だろう。
現状、ここはいつ戦場になってもおかしくない場所なのだ。
『ライザー。黒服の連中は一旦無視しろ。お前はボーガン親子を連れて早くここから離れてくれ。出来れば坑道の外までだ』
アッシュが続けてライザーに指示を出す。
愛機の中でライザーはこくんと頷いた。
「分かりました。正直私が加勢しても足手まといにしかならない怪物のようですしボーガン親子の安全を最優先にします。それと……妹さんもお連れしましょう」
『……そうして欲しいのはやまやまなんだが』
と、前置きして、アッシュは眼前の《火妖星》を睨みつける。
『流石にそれは見逃してくれねえよ。ユーリィはこいつら《黒陽社》の拉致リストの第一位に載っているからな』
そう吐き捨てるアッシュ。すると、獲物を前にした大蛇の如くゆらゆらと動いていた《火妖星》から、ガレックの声が響く。
『ああ、そうだな。俺にとっちゃあ担当業務と違うんだが、かと言って立場的に見逃すのも何だしな。けど安心しな。その小娘がいても俺はあんま気にしねえ。まあ、お前を殺した時、まだその小娘が生きてりゃあ回収でもするさ』
と言い放つガレックに、アッシュの腰を掴むユーリィの力が少し強くなった。
アッシュは片手でユーリィの手に触れ、力強い声で少女に告げる。
「大丈夫だ。お前が《黒陽社》に行くことはない」
「うん。分かってる」
ユーリィが頷いたのを何となく感じ取りつつアッシュは《火妖星》を見据える。
『相変わらずてめえ勝手なことばっか言う奴だな。ガレック=オージス』
『かかかっ。だから俺は《黒陽社》の支部長やってんだよ』
アッシュとガレックの会話は一旦そこで終わった。
そして、アッシュは後方にいるであろうライザーに告げる。
『とにかく、そういうことだ。ライザー。早くボーガン親子を連れて行ってくれ。ああ、それと……えっと、ギル=ボーガンさん』
「……? 何かねクライン氏」
不意に名を呼ばれ、今まで息子のセドをじっと見据えていたギルが尋ね返す。
アッシュは、少々真剣な顔つきで口を開いた。
『はっきり言ってこの状況、洒落にもならねえんだよ。だからせめて言質を取るぞ。あんた、俺の工房を絶対返してくれんだよな?』
と、そんなことを言うアッシュに、ギルは苦笑を零した。
ギル達のせいでこんな状況に陥ったのだ。アッシュの気持ちはよく分かる。
「ああ、それについては今この場で約束しよう。あの工房は必ず君に返還する。それに、あの土地についても無償で君に譲渡することを約束しよう」
せめてもの誠意を込めてギルはそう約束した。
想像以上の言質を得て《朱天》の中でアッシュが笑みを浮かべる。
『おお! それマジか! 俄然やる気が出てきたぞ! ユーリィ、こいつをぶちのめしたらまた忙しくなるから覚悟しとけよ!』
『うん。まずはお客さんへの挨拶回りをしないと』
と、ユーリィまではしゃいだ声を上げる。
「ははっ、その時は俺とライガスさんも師匠の工房に寄らせてもらいますよ」
嬉しそうな二人の様子に、ライザーも笑みを零してそう告げる。
が、すぐに真剣な表情をして――。
「……では師匠。俺はボーガン親子を連れて撤退します。どうかご武運を」
『おうサンキュ。頑張るさ。あっ、けどなライザー。親方もだが、今回の一件まだ許してねえからな。お前ら後でちゃんと飯でも奢れよ』
冗談めいた口調でそう告げるアッシュに、ライザーは頬をかき、
「はははっ、分かりました。けど、あんまり高いのは勘弁して下さいよ」
そう返答した。そしてライザーは自機の操縦席の中から一礼すると、ギル=ボーガンを連れて、セド=ボーガンの元へと愛機を急がせた。
アッシュはそれを視線の端で確認してから、改めて《火妖星》を見やる。
『さて、と』
すうっと目を細め、白髪の青年は告げる。
『そうだな。とりあえず名乗りでも上げとくか』
対し、《火妖星》の操縦席でガレックもまた嬉しそうに目を細めた。
『名乗り上げか。そりゃあ面白そうだな』
職業柄、彼は名乗りを上げた経験がない。普段はしない行動に興味が注がれた。
そしてガレックはニヤリと笑い、
『実は一度そういうのやってみたかったんだよ。俺も付き合うぜ!』
そう告げるなり、《火妖星》が蛇体を唸らせ、円を描くように疾走した。
ガリガリと地面を削りながら《火妖星》は《朱天》の周囲を回る。
そして――豪快に両手の爪を交互に叩きつける!
『我が名はガレック=オージス! 《九妖星》が一人――《火妖星》なり! かかかっ! 強者も良い女も全部喰らい尽くしやるぜ!』
ガレックのその名乗り上げは、まるで咆哮のように大空洞に響いた。
アッシュは「フン」と鼻を鳴らす。
『声がでけえよ。いい歳してはしゃぎすぎだ』
『うん。確かにうるさい』
と、ユーリィも同意見のようだ。
アッシュは苦笑を浮かべる。が、気迫で負ける訳にはいかない。
白髪の青年はすうっと目を細めて――。
『《七星》が第三座、《朱天》――《双金葬守》アッシュ=クライン……』
と、静かな声で名乗りを上げ、
『――覚悟しな! 一片残らず塵にしてやるぜ!』
ガレックにも決して劣らぬ気迫を込めて雄々しく吠えた!
そして主人の雄たけびに《朱天》は両の拳を叩きつけることで応えるのだった。
片や漆黒の鬼――《朱天》。その恒力値は三万八千ジン。
片や半人半蛇――《火妖星》。その恒力値は三万七千五百ジン。
互いに最強と呼ばれし二機の鎧機兵は睨み合う。
半人半蛇はゆらゆらと蠢き、漆黒の鬼はじりじりと間合いを測る。
『そんじゃあ行くぜ! ガレック=オージス!』
『おう! 来いや! アッシュ=クライン!』
同時に動き出す二機。
かくして、大空洞は戦場と化したのだった。
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