――ご自宅には漫画の単行本がたくさんありますが、電子書籍でも読まれていますか?
読みますが、紙の漫画の方が好きですね。読み慣れているからかもしれないですが、パラパラとめくって読める感覚がいいです。それから、紙と電子書籍では、見え方が違うように思います。紙の漫画は人物、背景、文字が順を追って頭に入ってきますが、電子書籍はページが1枚の絵として目に入るような気がします。
――執筆する際には、電子書籍やWebコミックと、紙媒体での違いを意識していますか?
Webコミックでも、アルファポリスさんの漫画のように見開きごとに表示される媒体ならば、特に意識はしていません。「月が導く」も、最終的には紙の単行本になりますし、紙媒体と同じように描いています。「私を墓場へ連れてって」(原作:新間一彰/ニコニコ静画)は、1コマずつ順番に画面に表示していく形態だったので、その1コマの中でどう視線誘導していくかを考える必要がありましたね。いずれにせよ、完成原稿を編集さんにお渡したあとは、どんな形態であろうとすべてお任せしますという感じです。
――木野先生にとって、編集者はどんな存在ですか?
作品を世に送り出すプロだと思っています。描き溜めたものをきれいに包装して、みんなの前に出してくれる。そのためのスケジュール管理もしてくださるし、本当にありがたいです。
――では木野先生にとって、漫画とはなんでしょうか?
描き手としてはライフワークです。ごはんを食べたり、眠ったりするのと同じような感覚ですね。今は早く「月が導く」の先の部分を描きたいです。原作の単行本に収録されていない部分も描きたいです!! 読み手としては究極の趣味ですね。老後までずっと楽しんでいられます(笑)
――最後に、これから漫画家を目指す人にメッセージをお願いします。
そうですね……。実は漫画家になってからが大変だということも、心に留めながら頑張っていただきたいです。やっぱり体力勝負だし、自分が設定したハードルとの戦いもあるし。編集さんとのコミュニケーションも重要なので、向き不向きはあると思います。
――そうかもしれませんね。
でも、まずは漫画を描いてみないと何も始まりません。ふだん漫画を描かないような人が描く作品にも、色々おもしろいものが眠っていると思うんです。もし画力がどうしても伸びなくても、漫画が好きならばネタ出しで活躍することはできますし、絵の上手下手にこだわらず、とにかく描いていただきたいですね。……要はこれからも、私もいろんな漫画が読みたいということです(笑)
――ご自身の願望がこもったメッセージですね(笑)。木野コトラ先生、全4回にわたるインタビューにお付き合いいただき、ありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました!
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