上 下
8 / 13

【清姫伝説】愛するあまり焼き殺してしまう最狂の女

しおりを挟む
(清姫が安珍を追っている時の絵)


清姫きよひめ伝説とは、和歌山県道成寺どうじょうじに伝わるお話しで、浄瑠璃じょうるり歌舞伎かぶきなどの伝統文化で広く語られています。

それはこんなお話です。

昔、参拝さんぱいに向かっている【安珍あんちん】というそうがいました。
彼は旅の最中、とある家に泊めてもらいます。

その家には【清姫きよひめ】という娘がおり、清姫は安珍を好きになってしまいました。
清姫は会ったばかりの安珍と結婚すると言って引き下がりません。

それに困った安珍は、
「参拝が終わったら帰りにまた会いに来る」
と嘘をついてその場から逃げました。

約束の日になっても安珍は帰って来ません。道行みちゆく人に尋ねると、安珍は別の道で帰ったと教えられました。
裏切られたことを知った清姫は怒りのあまり我を忘れて追いかけます。


(蛇の姿で鐘に巻き付き火を吹く清姫)


狂ったように追いかけるうちに、清姫の姿はどんどん蛇のようになっていき、やがて口から火を吹き始めました。

化物となった清姫が追いかけてきたことを知り、安珍は【道成寺】というお寺に逃げ込みます。

道成寺のかねの中に隠れ、清姫が去るのを待ちます。
すると、段々と鐘の中が熱くなってきました。

なんと清姫は大蛇だいじゃの姿で鐘に巻き付き、火を吹いて中に隠れた安珍を焼き殺そうとしていたのです。

安珍は何もできず、焼け死んでしまいました。
安珍が死んだあと、清姫は川に身を投げ自ら命をちました。


(和歌山県にある道成寺の外観)
しおりを挟む

処理中です...