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第三章 : 耳飾りの旅
初めての酒、初めての酔い
しおりを挟む19時頃に開かれた親睦のための食事会は、「縁もたけなわ」といった様子になり、ファイセアさんとリリーはお酒を飲んで揃ってすっかりデキあがって、あたしはノイエフさんに魔能の効果的な行使法を教え、ノイエフさんはあたしに弓が上達する方法を教えて、こっちはこっちで結構盛り上がっていた。
ただソレットだけ、慣れない夜更かしにうつらうつらし始めて、その30分後くらいには、散らかったテーブルに突っ伏して寝込んでしまった。
「というワケでですね、弓をこうやって構えると、腕にかかる力が少なく済んで、的に集中しやすいんですよっ!」
「へぇ~!こう、かな?」
「そうそうそんな感じです!アサヒ殿、中々に筋がいいですね。」
「ありがとっ♪」
王様が選んだこともあって、ノイエフさんの弓の射貫き方は本当参考になる。
みんなのトコに帰ったら、あたしも教えようかな?
何なら血操師で作った矢を撃つ時にも使えるかも?
「エへへ~♪アサヒお姉様~!盛り上がってますかぁ~?」
リリーがジョッキを片手に、あたしの首に腕を回してきた。
うわっ!
お酒くさぁ~!!
リリーってば、どんだけ飲んだんだよ?
「どうですぅ?アサヒお姉様も一杯?」
「えっ、ええっ!?いやでも、あたし・・・未成年・・・。」
「なぁに言ってんですかぁ~!!アサヒお姉様はもう立派な大人ですよぉ~♪」
あっ、あたしが、大人?
たっ、確かにあたし、本当は134歳の超おばあちゃんだけど、王宮では前世の年齢と同じ17歳ってことになってるし・・・。
「ひっ、ヒバナ。あたし17歳よ?だから大人なワケ・・・。」
「それなら何も心配いらんぞアサヒ殿!!王国の法で、14を超えれば成人と認められますから!!」
「へっ?そうなの、ノイエフさん?」
「はい。そうですけど。」
そっ、そうなんだ・・・。
じゃああたし、お酒飲んでもいいんだ・・・。
「ですからアサヒお姉様♪ささっ!グイ~っと!!」
リリーが真っ赤な顔をして差し出したジョッキを受け取り、あたしは中に入ったお酒をチビっと飲んだ。
うおっ!
イチゴの甘さに消毒液のような風味・・・。
これが・・・お酒の味かぁ~・・・。
「どうですアサヒ殿!?王国名物、“苺の果実酒”のお味は?」
「う~ん・・・ちょっと甘さ強めだけど、イチゴの果肉が口ン中でとろけて美味しい!!」
「おお!気に入って頂けたみたいで良かったです!!」
「ねぇヒバナ!もっとないの?」
「もちろんありますよ!!何だったら他の果物酒もありますから、試してみては♪」
「おお!そりゃイイネ~!!じゃんじゃん持ってきてッッッ!!!」
そっからあたしは、用意されたお酒を飲みに飲みまくった。
イチゴだけじゃなくて、マンゴー、ピーチ、キウイ、バナナ・・・。
テーブルの上の果実酒をコンプする頃には、あたしの顔はリリー達と同じか、もしくはそれ以上に火照っていた。
「ングッ!ングッ!プハァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
「おお!いい飲みっぷりになったではないか!!アサヒ殿!」
「ええ!いやぁそれにしても・・・私・・・今回この仲間で旅に出ることに、誠に感謝しているのです。」
「そうなのか?」
「そうですよ~。ファイセアさん、言ってましたよね。“誰も行ったことのない場所まで冒険をしてみたい”って。私もあの時、そうなったらいいなって思っていました。あの時そう願った者どうし、こうして冒険に出る機会が巡ってきて・・・この機会を恵んで下さった天には本当に感謝しているのです。」
「あっ、アサヒお姉様?」
「そしてヒバナ。私の愛弟子であり、最愛の妹分であるあなたが着いて来てくれて、こんなにも心強いことはありません。旅の道中は、私と皆のこと、しっかりお頼みしましたよ。特にソレットのことは、何があっても守ってね。」
酔った状態でリリーの頭を優しく撫でたが、当の本人は喜びもせず、ただ戸惑うばかりだった。
「最後にノイエフさん。私に弓の扱い方のご教授、誠にありがとうございました。旅ではその腕が、皆の助けになることを心より期待しております。」
「はっ、はぁ・・・。」
私は手に持ったジョッキに残ったお酒をグイっと飲み干すと、イスから勢いよく立ち上がった。
「さぁ!!皆で力を合わせて、かの呪われた耳飾りを無事に森精人の許まで送り届けましょうッッッ!!!」
そう高らかに宣言した後、私の身体の火照りは、一気に外に向けて無散していった。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
あれ?
あたし、何してたんだっけ?
う~ん、お酒を3杯くらい飲んだトコまでは覚えてんだけど、そっからなんかボンヤリしてる・・・。
って、空になったジョッキがこんなに・・・!!
あたしこんなに飲んだの!?
でもなんでちっとも酔ってないの?
もしかして、毒を打ち消す魔能が働いて、それでアルコールも消滅した?
それだったら、どんだけ飲んでも意味ない気が・・・。
まぁ、すぐに酔いが醒めるんだから、それはそれでいいか・・・。
「「「・・・・・・・。」」」
あれ?
何でみんなポカンとしてんの?
「あっ、アサヒ殿・・・?」
「ふぁ、ファイセアさん。あたし、何かしました?」
「いっ、いえ・・・別に。」
いやいやいやそのリアクションは絶対なんかしたでしょ!?
「ねぇヒバナ!あたし、酔ってる時に何かしちゃった!?」
「すっ、すごい・・・。」
「はぁ!?」
「まるで・・・記憶が・・・戻ったみたい・・・。」
「ええちょっと!!それどういうことぉ!?」
どうやらあたしは、酔うと本物のミラと同じになるみたいだ・・・。
今日、初めてのお酒で、それが判明した。
ただソレットだけ、慣れない夜更かしにうつらうつらし始めて、その30分後くらいには、散らかったテーブルに突っ伏して寝込んでしまった。
「というワケでですね、弓をこうやって構えると、腕にかかる力が少なく済んで、的に集中しやすいんですよっ!」
「へぇ~!こう、かな?」
「そうそうそんな感じです!アサヒ殿、中々に筋がいいですね。」
「ありがとっ♪」
王様が選んだこともあって、ノイエフさんの弓の射貫き方は本当参考になる。
みんなのトコに帰ったら、あたしも教えようかな?
何なら血操師で作った矢を撃つ時にも使えるかも?
「エへへ~♪アサヒお姉様~!盛り上がってますかぁ~?」
リリーがジョッキを片手に、あたしの首に腕を回してきた。
うわっ!
お酒くさぁ~!!
リリーってば、どんだけ飲んだんだよ?
「どうですぅ?アサヒお姉様も一杯?」
「えっ、ええっ!?いやでも、あたし・・・未成年・・・。」
「なぁに言ってんですかぁ~!!アサヒお姉様はもう立派な大人ですよぉ~♪」
あっ、あたしが、大人?
たっ、確かにあたし、本当は134歳の超おばあちゃんだけど、王宮では前世の年齢と同じ17歳ってことになってるし・・・。
「ひっ、ヒバナ。あたし17歳よ?だから大人なワケ・・・。」
「それなら何も心配いらんぞアサヒ殿!!王国の法で、14を超えれば成人と認められますから!!」
「へっ?そうなの、ノイエフさん?」
「はい。そうですけど。」
そっ、そうなんだ・・・。
じゃああたし、お酒飲んでもいいんだ・・・。
「ですからアサヒお姉様♪ささっ!グイ~っと!!」
リリーが真っ赤な顔をして差し出したジョッキを受け取り、あたしは中に入ったお酒をチビっと飲んだ。
うおっ!
イチゴの甘さに消毒液のような風味・・・。
これが・・・お酒の味かぁ~・・・。
「どうですアサヒ殿!?王国名物、“苺の果実酒”のお味は?」
「う~ん・・・ちょっと甘さ強めだけど、イチゴの果肉が口ン中でとろけて美味しい!!」
「おお!気に入って頂けたみたいで良かったです!!」
「ねぇヒバナ!もっとないの?」
「もちろんありますよ!!何だったら他の果物酒もありますから、試してみては♪」
「おお!そりゃイイネ~!!じゃんじゃん持ってきてッッッ!!!」
そっからあたしは、用意されたお酒を飲みに飲みまくった。
イチゴだけじゃなくて、マンゴー、ピーチ、キウイ、バナナ・・・。
テーブルの上の果実酒をコンプする頃には、あたしの顔はリリー達と同じか、もしくはそれ以上に火照っていた。
「ングッ!ングッ!プハァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
「おお!いい飲みっぷりになったではないか!!アサヒ殿!」
「ええ!いやぁそれにしても・・・私・・・今回この仲間で旅に出ることに、誠に感謝しているのです。」
「そうなのか?」
「そうですよ~。ファイセアさん、言ってましたよね。“誰も行ったことのない場所まで冒険をしてみたい”って。私もあの時、そうなったらいいなって思っていました。あの時そう願った者どうし、こうして冒険に出る機会が巡ってきて・・・この機会を恵んで下さった天には本当に感謝しているのです。」
「あっ、アサヒお姉様?」
「そしてヒバナ。私の愛弟子であり、最愛の妹分であるあなたが着いて来てくれて、こんなにも心強いことはありません。旅の道中は、私と皆のこと、しっかりお頼みしましたよ。特にソレットのことは、何があっても守ってね。」
酔った状態でリリーの頭を優しく撫でたが、当の本人は喜びもせず、ただ戸惑うばかりだった。
「最後にノイエフさん。私に弓の扱い方のご教授、誠にありがとうございました。旅ではその腕が、皆の助けになることを心より期待しております。」
「はっ、はぁ・・・。」
私は手に持ったジョッキに残ったお酒をグイっと飲み干すと、イスから勢いよく立ち上がった。
「さぁ!!皆で力を合わせて、かの呪われた耳飾りを無事に森精人の許まで送り届けましょうッッッ!!!」
そう高らかに宣言した後、私の身体の火照りは、一気に外に向けて無散していった。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
あれ?
あたし、何してたんだっけ?
う~ん、お酒を3杯くらい飲んだトコまでは覚えてんだけど、そっからなんかボンヤリしてる・・・。
って、空になったジョッキがこんなに・・・!!
あたしこんなに飲んだの!?
でもなんでちっとも酔ってないの?
もしかして、毒を打ち消す魔能が働いて、それでアルコールも消滅した?
それだったら、どんだけ飲んでも意味ない気が・・・。
まぁ、すぐに酔いが醒めるんだから、それはそれでいいか・・・。
「「「・・・・・・・。」」」
あれ?
何でみんなポカンとしてんの?
「あっ、アサヒ殿・・・?」
「ふぁ、ファイセアさん。あたし、何かしました?」
「いっ、いえ・・・別に。」
いやいやいやそのリアクションは絶対なんかしたでしょ!?
「ねぇヒバナ!あたし、酔ってる時に何かしちゃった!?」
「すっ、すごい・・・。」
「はぁ!?」
「まるで・・・記憶が・・・戻ったみたい・・・。」
「ええちょっと!!それどういうことぉ!?」
どうやらあたしは、酔うと本物のミラと同じになるみたいだ・・・。
今日、初めてのお酒で、それが判明した。
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