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タイピング星人
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今日も俺はタイピング星人に登校を邪魔される。
(くそ、間に合わね!)
バス亭の前でノートパソコンのキーボードを打つ俺はきっと日本一怪しい高校生だ。
(よし、これで、ENTERだ……て、バスいっちまった!)
出発したバスの後ろ姿を見て、俺はただ一人呆然と立ち尽くしていた。悲しみをこらえ、次のバスを待つためにベンチに座った。
あーあ、あの一言が本当によくなかった。
一週間前のことだ。
その日、授業でタイピングのテストがあって、赤点を取った。それで友達に笑われてしまったけど「タイピングなんて遅くても大丈夫っしょ」とほざいてみせた。
するとその日の夜、変な夢を見た。顔がキーボードになっている変な生き物が目の前に現れ、俺にこう言った。
「わし、タイピング星からきたタイピング星人や。タイピングは早いほうがええで」
宇宙人なのにこてこての関西弁で驚いたがそこで夢から覚めた。
変な夢だなと思ったけど、学校があるから考える余裕もなく着替えて、家を出て、バス停でバスを待った。
ようやく学校行きのバスが遠目から見えた時、突如目の前にノートパソコンが現れた。そのパソコンはなんと浮いていた。
驚いた。で周りのバスを待つ人を見渡した。けれど誰一人そのパソコンの存在に気づいてなかった。
どうやら俺だけが見えているらしい。
画面を覗くと、「タイピングせよ」という表示とそのすぐ下に「開始」ボタンが表示されていた。それを見て俺はたぶん疲れているんだと思った。だから無視した。
やがてバスがバス亭に到着して、俺はバスの入り口に足を踏み入れた、その時だった。降車ボタンから普段とは違う、けたたましい警報音が流れだし、運転手さんが俺の目の前までやって来て、「悪いが、あんたを乗らすわけにはいかない」って言ってつっぱりをかましてきて俺を降ろさせた。その現象に周りはなにも不思議がらず、俺の後ろで待っていた乗客も俺を追い越しバスの中に入っていってそして出発した。
遠くに行くバスの後ろ姿を、俺はただ見送ることしかできなかった。
それから俺はまだバス停前に浮かんでいるパソコンの画面を見た。
画面は先ほどと変わっていた。スタートボタンの下に
「だから、言っただろ。タイピングは役立つって」
と書かれていた。
ぞっとした。このタイピング問題をしないとバスに乗れないのか?
だから俺は問題を解いた。すると次のバスには警報音も鳴らず、すんなりと乗れた。
だが、バスに乗れてもまだ油断できなかった。学校の最寄りのバス亭に到着する直前のことだった。再びあのパソコンが俺の目の前に現れたのだ。解かなかったらどうなるのか、きっとその時点で予想はついていたはずだ。だけど、先ほどのタイピング問題で疲れてたのか、また無視をした。そしてバスから降りようとしたら、今度は運転手に「あんたがここで降りる資格はないよ」って言われ、襟をつかまれ止められてしまった。冗談じゃない。乗りたい時に乗れず、降りたい時に降りさせない。なんて図々しいバスなんだ。この運転手はタイピング星人と業務契約でも交わしてるのか?
結局タイピングゲームをして、それを終らせると降りられたが、その時にはもうバスは最寄りのバス停から3,4個先にいっていた…
それから一週間たった今日も遅刻が確定し、俺はようやく決心した。明日から家でタイピング練習をすることを。
それからまた半年がすぎた。
最近はすぐにタイピングができるようになりすんなりと登校できるようになった。
そして、昨日ついにタイピングのテストで満点をとった。
タイピング星人ありがとう。
すると次の朝、バス停で俺の目の前にパソコンは現れなかった。その代わり他の乗客の目の前にパソコンが現れていた。そいつは俺の部活の後輩だった。頑張れ後輩。
(くそ、間に合わね!)
バス亭の前でノートパソコンのキーボードを打つ俺はきっと日本一怪しい高校生だ。
(よし、これで、ENTERだ……て、バスいっちまった!)
出発したバスの後ろ姿を見て、俺はただ一人呆然と立ち尽くしていた。悲しみをこらえ、次のバスを待つためにベンチに座った。
あーあ、あの一言が本当によくなかった。
一週間前のことだ。
その日、授業でタイピングのテストがあって、赤点を取った。それで友達に笑われてしまったけど「タイピングなんて遅くても大丈夫っしょ」とほざいてみせた。
するとその日の夜、変な夢を見た。顔がキーボードになっている変な生き物が目の前に現れ、俺にこう言った。
「わし、タイピング星からきたタイピング星人や。タイピングは早いほうがええで」
宇宙人なのにこてこての関西弁で驚いたがそこで夢から覚めた。
変な夢だなと思ったけど、学校があるから考える余裕もなく着替えて、家を出て、バス停でバスを待った。
ようやく学校行きのバスが遠目から見えた時、突如目の前にノートパソコンが現れた。そのパソコンはなんと浮いていた。
驚いた。で周りのバスを待つ人を見渡した。けれど誰一人そのパソコンの存在に気づいてなかった。
どうやら俺だけが見えているらしい。
画面を覗くと、「タイピングせよ」という表示とそのすぐ下に「開始」ボタンが表示されていた。それを見て俺はたぶん疲れているんだと思った。だから無視した。
やがてバスがバス亭に到着して、俺はバスの入り口に足を踏み入れた、その時だった。降車ボタンから普段とは違う、けたたましい警報音が流れだし、運転手さんが俺の目の前までやって来て、「悪いが、あんたを乗らすわけにはいかない」って言ってつっぱりをかましてきて俺を降ろさせた。その現象に周りはなにも不思議がらず、俺の後ろで待っていた乗客も俺を追い越しバスの中に入っていってそして出発した。
遠くに行くバスの後ろ姿を、俺はただ見送ることしかできなかった。
それから俺はまだバス停前に浮かんでいるパソコンの画面を見た。
画面は先ほどと変わっていた。スタートボタンの下に
「だから、言っただろ。タイピングは役立つって」
と書かれていた。
ぞっとした。このタイピング問題をしないとバスに乗れないのか?
だから俺は問題を解いた。すると次のバスには警報音も鳴らず、すんなりと乗れた。
だが、バスに乗れてもまだ油断できなかった。学校の最寄りのバス亭に到着する直前のことだった。再びあのパソコンが俺の目の前に現れたのだ。解かなかったらどうなるのか、きっとその時点で予想はついていたはずだ。だけど、先ほどのタイピング問題で疲れてたのか、また無視をした。そしてバスから降りようとしたら、今度は運転手に「あんたがここで降りる資格はないよ」って言われ、襟をつかまれ止められてしまった。冗談じゃない。乗りたい時に乗れず、降りたい時に降りさせない。なんて図々しいバスなんだ。この運転手はタイピング星人と業務契約でも交わしてるのか?
結局タイピングゲームをして、それを終らせると降りられたが、その時にはもうバスは最寄りのバス停から3,4個先にいっていた…
それから一週間たった今日も遅刻が確定し、俺はようやく決心した。明日から家でタイピング練習をすることを。
それからまた半年がすぎた。
最近はすぐにタイピングができるようになりすんなりと登校できるようになった。
そして、昨日ついにタイピングのテストで満点をとった。
タイピング星人ありがとう。
すると次の朝、バス停で俺の目の前にパソコンは現れなかった。その代わり他の乗客の目の前にパソコンが現れていた。そいつは俺の部活の後輩だった。頑張れ後輩。
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