魔法と錬金術士の奇妙な関係

七瀬蓮

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到着

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「間もなくアルフォンス・デューに到着する。患者様とお付きの方はここで降車して貰えば良いのだな?」


と他の乗務員が、訪ねてきたので


「えぇ。お願いします。あと、向こうの駅員さんに事情説明の連絡もお願いします。」


と言い、訪ねてきた乗務員は、

「分かった。駅員に連絡しとく。」

とすぐに医務室を出て行動に移してくれた。


アルフォンス・デュー
アルフォンス・デューに到着いたしました。お乗り過ごしの内容ご注意ください


と到着のアナウンスが聞こえて、

「準備できたので、裏口にご案内します。そちらからの降車の方が人混みに揉まれなくて、体力の消耗が済むからです。お客様は、まだ歩行できる容態ではないと思いますので、担架で運ばせていただきます。お付きの方も私どもの後ろへ続いてください。」


と隠し扉が開いて、

「こちらでございます。」


とどこからともなくワープが現れ、そこの中へ入っていった。

「こちらが当医務の乗務員のお伝えした魔術師の居場所でございます。お父様にもこの場所までお連れいたしますので、こちらにお越しくださいと伝えてあります。


すみませーん。ルフトさん。急患です。」

と扉の前で大声を上げる乗務員らに反応して、


「おう。患者は意識がないのだな。あそこのベッドに移動させてくれたら君らも業務に戻ってくれ。お嬢さんは、この患者さんの家族の、ジルさんでよかったね?近くにある椅子に腰掛けてくれ。説明する。」


と的確な指示をしたので、乗務員たちは、


「それではこれで失礼します。」


とワープへ戻っていった。


「あの、ルイスは?ルイスの体調は元に戻りますか?」


と焦るベルに、


「ちょっと待ってくれ。静かにしとくれ。」


と、目を閉じて人差し指をおでこにつけた状態で、何かをしている様子だった。


「後30分くらいで到着か……。お嬢さんすまないが、呪いを遅らせる魔法を今からかける。後30分ぐらいでお父さんくるからそこから治療の方針とか決めなきゃならんから。」

と、戸棚にあった薬草に火をつけて、ルイスの体の上にかざした。
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