駄作

ゆえ

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駄作

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「なんで生きてるの?」
ヘラヘラと、缶ビール片手に君が聞く。
「あなたが生きてるからだよ」
喉の奥の鉛のようなおもさを感じながら声を出す。
遠い目をしたあなたはただ一言、そっか。

私はたまに心について考える。心とはどこにあるのか。考えているのは頭のはずなのに痛くなるのは胸であり、苦しくなるのは喉の奥。
「好きだよ」
好き、の意味も知らずに私は言う。世界に二人だけでいいよ。私は「心」のそこから、あなたが好き。

時々、どうしようもなく苦しくなる。一度病院に行ってみたが、見ず知らずの他人に話せるほど狂えていなかった。考えすぎると途中で何もかも捨てたくなる。一番簡単なことは自分の命を捨てることだ。一年前の夏、クローゼットに自転車のチェーンの鍵をくくった。それだけが救いの光だった。

人は忙しければ考え、悩み、苦しむことはない。よって私が苦しむのは暇だからである。考え、思考の範囲が広がり勝手に自爆している私はいつだって忙しさを求めている。現在大学三年生。いろいろなひとに将来を聞かれる。適当に濁しているが実際は、仕事は死ぬまでの暇つぶしなのだから生きていることを忘れるくらい忙しく働ければどうでもいいと考えている。好きな人のことを考える時間すら、私には苦痛である。人生の苦痛をあげればきりが無いがこと恋愛に関してはすべてのことがどうでも良くなる。

このように悩んでいるがきっと私はあなたさえいてくれれば世界一の嫌われ者になっても喜びすら感じてしまうのだろう。あなたに話したいことはない。あなたに理解してほしくない。ただ私のことを考え続けて、悩んで、苦しんでほしい。

きっと私はあなたに殺されたい。それ以上の幸せは無いと断言できる。
もし私より先に死んだら、もうこの世界に用事は無い。
こんな駄作でごめんね。こんな人の皮を被っただけのものがあなたの人生に関わってしまったことは深く後悔している。でも明日になれば、あなたを幸せにできるような人間になりたいと考え行動する。
今日だけ、今日だけ、ごめんね。これで最後だよ。

ありがとう
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