諦めてください!

なーな

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仲間集め!

リンの心の声

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アイデアが浮かんでから一番はじめに行ったのは、ライアン様への相談。
会いに行くのも考えたけど、今日ぐらいに私の部屋に来るだろうと予想し、それまでの間計画を立てる事に集中した。



「杏里様、
そろそろ、お休みされては…?」

私が声をかけるが、
ぅーん、もう少し~
と、休む気配がない。
リンがどうしようかと不安げにしていたとき。扉の外から王太子殿下の来訪が伝えられる。
何の前触れもなかった為、私は一瞬焦った。
が、意識を持ち直し、即座に指示する。
杏里様はお考えごとに夢中で気づいていらっしゃらないようだった。
なので、私が対応することにした。

杏里様の寝室の隣部屋に行くと、
そこには、王太子殿下がいらっしゃった。
私をみると、少々不機嫌なご様子で問い掛けられた。

「ん?
杏里はどうしたのだ?」

私は平常な声を出せるよう、努めてお答えした。

「杏里様は、只今中でお休みになられております。
王太子殿下がいらした事を伝えに行っております。お連れしてまいりましょうか?」

もちろん、寝ているなど嘘だが。
杏里様の邪魔をしたくない。
ここは、殿下に引いてもらおう。
そう思ったが、殿下はこう言った。

「そうか、私に話があると思っていたのだが…
では、起きるまでここで待たせてもらうよ。かまわないかい?」

『かまうわーーーー!!!!!』

思わず心の中で叫んでしまった私。
大丈夫!顔はいつも道理のはずだ。
すこし、顔の筋肉がピクピクしているような気もするが… そこはご愛嬌だ 



いや、別に困るわけで無いのだが
ここに居られても、もてなすことが出来ない。
確かに王宮で侍女をしてるし、礼儀は身につけている。
殿下の命令を受けたこともある。
だけど!
ここに長時間おられるのは、今までのとは違う。

誰だ!
同じなんじゃない?、とか言ったのは!

全く持って違う!
そもそも、ここには殿下の身の回りのお世話をするような高位女官や、侍女はいない。
私達も杏里様付きで
まぁまぁの方ではあるが、
殿下付きの人たちは、より一層上だ。
その上、杏里様が来るまで居るという。



どうしようかと、考え込んでいたこの時。
パタパタという小さな音の後、『バタッ』という扉の開く音がした。

「ライアン様!
丁度良かった、相談したいことがあって!」



『あぁーーー!!!』
またしても、私は心の中で叫ぶことになる。
入ってきたのは、
足音から予想はしていたが、
杏里様だった。
(王宮で走るような人は、急いでいるものを除いて杏里様くらいだろう)

先程の私がついた嘘がバレたのは別に良いのだ。いや、ダメなんだけど。
それよりも!
問題なのは、殿下の前での態度。
扉の開け方とか…論外である。
前にいるはずの騎士たちは、何をしているの!


杏里様は、そんな心配をよそに、明るく話す。
「ライアン様!
来ていたのなら、教えてくれてもいいじゃない!
相談があったんだから!」

先程の私がついた…(以下略)
少々親しすぎるのでは?
と疑問に思うが、殿下も楽しそうなので、
私が言うことではない。

それに、相談と聞いて、殿下は
大変うれしそうに、ニヤニ…失礼いたしました、ニコニコしておられる。
「ん?」
と思うところもあるが、まぁいいだろう。


そんな、微笑ましい光景を見ながら私は思った。
『てか、これでりょうおも…』

あぁ、この続きは言えませんね。

察しのいい皆さんなら私が言いそうになったことなど、とっくにおわかりでしょうが。
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