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第1章
「キス」
しおりを挟む「――――……」
突然されたキスに、驚く。
だって、学校でって。今までだって、無かったのに。
――――……急に、何のスイッチが、入ったんだろ、啓介……。
「……っ」
人の気配はないとは言っても、学校の廊下だから、いつ誰がくるか分かんないのに。そう思うけれど。
どうしても、抵抗できない。
重なるだけ。深く。
でも、舌は、入れてこない。
「――――……っ……」
ちゅ、と小さく音を立てて。
少し離れて、また、重なる。
頬を挟んでた手が、後ろに滑って、耳や首筋に沿って、触れる。
優しく、触れられてるだけなのに、ぞわぞわしてきて、首を竦める。
すると、竦めてない方の、首に、また触れてくる。
「や……」
離れようと退くけれど、そしたら、今度は、後頭部を押さえられて、また深く重なってきた。
繰り返されてる内に、なんだか息を詰めて、ちゃんと呼吸が出来てないせいか、頭、ぼうっとしてきた。
角度を変えて、深く触れ合うだけのキスが、すごく長く続いた。
ゆっくりと、離されて、は、と詰めていた息を、吐く。
「雅己……?」
「――――……」
ぼんやり、見上げると。
「――――……堪忍、こんなとこで」
ふ、ときまり悪そうに笑いながら、啓介が謝る。
最後に、唇を、親指でなぞられる。
ぞく、と、背筋が震える。けれど。
そこで、啓介は、ゆっくりと手を離した。
「……急に、なに……」
「せやかて……舌入れないキス、はええんやろ?」
「……っ……」
くす、と笑う啓介に、オレは、唇を噛んだ。
そうだけど……。
舌、入れなくても、 エロすぎるキスって、
何なんだよ……もう。
オレが言った、舌入れないキス、てのは、
もっと軽い、唇が触れる位の可愛いやつで……。
なんか。
体の奥が震えて、熱が無理無理呼び起こされるみたいな、そんなキスに。
なんだか、むかついて、少し離れてた啓介の胸を、ぐい、とさらに引き離した。
「こんなとこで何考えてんだよ……」
「……せやかて、雅己、全然抵抗せぇへんし」
「……っ……」
……すればよかった。
久しぶりのキスだったからなのか、ついつい、受け入れてしまった。
……もう。
なんか、体が、ムズムズするし。
――――……っ……啓介のばか!
恥ずかしさもあって、ぷんぷん怒りながら、歩き出すけれど。
すぐに腕を掴まれて、引き戻された。背中が、啓介の胸に当たる感じで。
「……怒んなや」
クスクス笑われて、腕を掴まれたまま、啓介の隣に並ばされると。
……まあいっか……と思ってしまう。
……のは、なんで?
よくわかんねぇ。
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