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後編

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「ぜひお願いします」
「よっすっしゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 こうして私はオッツォと婚約した。

 それから数日、私の前に懐かしい顔が――オリビオが現れたのだ。

「君とやり直したい」

 いきなりそんなことを言われ戸惑う。

「ジェシーはクズだった。あんなやつもう知らん。いいか、やり直すぞ」
「すみませんがお断りします」
「何だって?」
「私、もう他の男性と婚約していますので」
「ええ!?」
「お付き合いはできません」

 するとオリビオは暴れた。
 しかしすぐに父が止めに入ってくれて。
 その場で彼は拘束される。

「裏切り者がぁぁぁぁぁ! 許せん! 許さないぞぉぉぉぉぉ! 脳ゆる女がぁあぁぁぁぁぁ! 男の頼みを断るなどぉぉぉぉぉ!」

 それから一ヶ月、オリビオの死を聞いた。

 彼は警備隊が管理する施設へ送られたようだが、そこでも暴れ続け、係員に押さえつけられる際に息ができなくなり亡くなったようだ。

 ま、自業自得だろう。

 ちなみに、ジェシーもまた、幸せにはなれなかったようだ。

 彼女はオリビオと婚約している間からずっと六人の男性と恋人関係となっていたそうなのだが、その身勝手な行動がばれ、六人のうちの三人の男性に殴られたり蹴られたりしてしまったそう。

 で、それによって死亡したそうだ。

 そこまでしなくても、とは思うけれど。
 でも、ジェシーの行いにも問題はあった。
 もちろん殺した男に罪はあるけれども。

 そして、結婚式が近づく。

「わくわくしてきたぁーっすぅ!」
「元気ね……」

 この頃私は若干倦怠感がある。
 結婚式は楽しみで。
 けれども緊張してしまって既に胃が痛い。

 けれどもオッツォは元気いっぱい。

 彼を眺めていると少しは元気になれそうな気がしてくるというものだ。そういう意味で、私は、彼にはいつも感謝している。彼は光。その穢れのない明るさにはいつもいろんな意味で救われている。

「ええ? 何か調子悪そうっすね!?」
「ちょっと、不調で」
「ふ、ふ、不調ぅぅぅぅうううううう!?」
「ごめんなさい、変な意味じゃないの」
「大丈夫!? え、あ、え、え、大丈夫!? 死にそう!?」
「落ち着いて」
「っす、ぅぅ……」
「大丈夫よ。少し緊張しているだけ」
「良かったっすぅ……」


◆終わり◆
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