どいつもこいつもかかって来やがれ7th season

５章 学期末テストに挑む

面倒くせぇからサボっちまおうかな

　次の日の朝、体を揺すられて目を覚ました。
　そんな起こし方する奴なんてどこのどいつだ？


「……あれ？空？」

「…………」


　目を開けると不機嫌そうな顔をした空がいた。
　うーん、まだ怒ってんのかぁ？

　昨日伊織と話してからずっとこんな感じなんだよなぁ。まぁ俺もテスト勉強でそれどころじゃなかったからほったらかしにしてたんだけど。

　朝から面倒くせぇなぁ。


「まだ怒ってんの？」

「…………」


　首を横に振る空。
　怒ってんじゃん。
　俺は気にしないようにして体を起こして学校へ行く準備をしようとベッドから出る。その時にベッドの枕元にあったノートがバサバサと床に落ちた。
　寝る直前まで勉強してたんだ。紘夢に作ってもらった一年の学期末対策らしい。俺はそれを拾いながらため息をつく。


「はぁ……ダリィなぁ」

「…………」

「今日がテスト最終日か～」

「…………」

「面倒くせぇからサボっちまおうかな」

「！！」


　俺が独り言を言うと、空が反応してるのが分かった。サボるなんて勿論嘘だ。ここまで来て逃げる訳ねぇだろ。
　空が頑なに怒ってるから困らせてみたかっただけだ。


「どうせサボるなら誰か誘うかな～？桃山とか面白がってついてくるかもな～♪」

「ダメ！！」

「お？やっと喋ったか♡」

「っ……ズルいよ……俺が嫌がるような事言うなんて」


　空は拗ねたように言って、俺を見た。
　そんな空に立ち上がって俺からキスをしてやる。
　それでもまだ気に食わないような顔をしてやがった。
　仕方ねぇなぁ～。
　俺は空の手を握ってベッドに座らせる。そして空の方を向きながら膝の上に乗る形で座り、ギューっとしがみ付くように抱き付いた。


「空は何に怒ってんだ？全部聞いてやるから言ってみな？」

「……昨日、貴哉が言ったんじゃん」

「なんて？」

「テスト終わるまで喋るなって」

「……ん？」


　確かに言ったな。言ったけど、それが何？
　え、まさかそれで怒ってたのか？
　違うよな？伊織と話したからじゃねぇの？


「それと、どうして俺には冷たい態度なのに、桐原さんには普通だったんだ？」

「それは悪ぃ。お前の事イラついたからだよ」

「貴哉はいつもそうだ。俺にばっかり当たりが強いし、すぐ怒る」

「えー、んな事言われてもそれが俺とお前だろ？いつも言い合ってる仲じゃん。昨日のもそうじゃねぇの？」

「そうだと思ったよ。でも、桐原さんが現れて全然違う態度だったのを見て嫌な気持ちになったんだ。何で俺ばっかりって」

「じゃあもう言い合うのとかやめるか？それなら嫌な気持ちにならねぇよな？」

「それは……やだ」

「はぁ！？テメェワガママだぞ！」

「だって、俺と貴哉が言い合わなくなったらなんか寂しいって言うかっ！でも、恋人っぽく仲良くもしたいんだっ！」

「ふーん、なんか面倒くせぇわ。お前がこのままずっとそのままならそれでいーよ。とりあえず俺学校行くわ。誰かと違って後がないんでっ」

「貴哉……ちょっと待てよ」


　そろそろ準備して家出ねぇと間に合わなくなるな。二年にさえなればこういう時サボれたりするんだよな。今は我慢我慢！
　俺は空から離れて着替えようと寝巻きを脱ぎ捨てる。暖房が付いてねぇから寒くて震えちまった。
　テストがある日は指定の制服じゃないといけないから今日はパーカーは着ていけねぇんだ。Tシャツの上にワイシャツを着て、ネクタイを締める……
　上手く締められなくて苦戦してると、空が後ろから抱き付いて来た。

　はぁ、やっといつも通りになったかー。


「貴哉ぁ……ごめん……」

「遅ぇんだよ」

「だって……」

「ほらネクタイやってくれ」

「ん」


　クルッと空の方を向いてネクタイを締めてもらう。困ったような顔をしている空はまだ何か言いたそうだったけど、本当に面倒くさかったから俺から普通にしてやる事にした。


「空、覚えてるか？テストが終わったらお前が立てなくなるまで可愛がってやるって話♪」

「覚えてるよ？」

「今日終わったら真っ直ぐ帰ろうぜ♡早く空とヤリたい♡」

「うん♡でも、俺が挿れたいなぁ」

「うーん」

「ダメぇ？」


　上目遣いに首を横に傾げて聞いてくる空。
　可愛いじゃねぇか♡
　俺はニッと笑ってやった。


「いいぜ♡俺もお前に挿れられたい♡」

「もー貴哉好きー♡絶対エッチするんだからな！その為にも絶対テスト頑張れよ！」

「おう！うし！行くか！」


　テスト次第では俺の機嫌はすこぶる悪くなるからな。空は頼むぞと言って俺の背中を押した。

　遅刻寝坊し放題の二年への進級の為！空とのセックスの為だ！
　嫌いなテストでも何でもやってやらぁ！