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2度目の春
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新年がやってきた。相変わらず僕は大学とバイトと珠子さんの手伝いで忙しいが、とても充実した日々を送っている。
今日は珠子さんから相談があるから神社まで来て欲しいと頼まれたので、朝からさっそく30分の山登りだ。白い息を吐きながら軽快に登っていく、寒いので息が切れる事もなく、気持ちよく登る事ができる。
相談ってなんだろう?動画の新しいネタかな?そんな事を考えていたら、あっという間に城跡まで辿り着いた。約束の時間よりちょっと早く着いたので、展望台に登り景色を見渡す。遠くの山々には雪が積もり、とてもキレイだ。白銀山にもそろそろ雪が積もったりするのかな?
神社へと向かう。社務所には珠子さんのお母さんがいて、僕を社務所の中に案内してくれた。奥の控え室には珠子さんが猫たちと遊んでいた。
「やぁユウちゃん早かったね」
「こんにちは珠子さん、猫たちも一緒ですか」
「外は寒すぎるし可哀想だからさ、最近は社務所の中に入れてあげてるんだ」
ネコたちは暖房の近くでゴロゴロしている、とても幸せそうで何よりだ。
「いっその事、神社で飼うってのも考えたんだけどさ、親父がうるさいからとりあえず冬場だけでもと思って」
「ですね、雪もそろそろ降りそうだし良いと思いますよ」
しばし二人で猫たちを眺めつつ沈黙が続く、やがて珠子さんが口を開く。
「相談ってのはさ、その…なんて言うか…」
いつもの様な歯切れの良さがない。これってもしかして…。
「私たちってけっこう仲良くやってるじゃん」
「そうですね、撮影したり色んなところに行ったり、顔を合わせる事多いですよね」
「…………なぁ、私の事どう思う?」
「はい好きですよ」
「…えっ!」
「っえ?違いました?」
「あ…いや…違わないけど…」
「告白って男からするものですよね、すいませ
ん」
「気づいてたのか…」
「なんとなく」
「いや、その…私はユウちゃんよりかなり歳上だよ?いいの?」
「関係ないです。始めて出会った時からずっと気になっていて、気づいたら好きでした」
「ユウちゃんって意外と男らしい所あるんだな」
「自分の気持ちにウソはつきたくないので」
「ははは…そっか、私もだよ」
「えっと、これからよろしくお願いします」
「あ!」
「どうしました?」
「ユウちゃんだけ何度もズルい!」
「何がですか?」
「………わ……私も悠人が好きだよ………」
猫たちが起き出して、顔を赤らめる二人に遠慮なく甘えてきた。
それからこの町に来て2度目の春を迎えた、僕は珠子さんの誘いで神社の仕事をお手伝いをする事になった。喫茶店と掛け持ちになってしまうが、店長は快く了解してくれた。優希さんはちょっと不満そうだったけど
「珠子さんの誘いなら仕方ないけど、迷惑かけない様にね」
と釘を刺された、もちろんかける気はないが、優希さんに言われると「はい」としか言えない。相変わらず優希さんには逆らえない。
今日は神社の手伝いの初日、町は桜が咲き華やかだ。神社へ続く登山口に着いた僕は城跡とその先の神社へ続く道を、春風と共にテンポ良く駆け上がっていく。
おしまい。
今日は珠子さんから相談があるから神社まで来て欲しいと頼まれたので、朝からさっそく30分の山登りだ。白い息を吐きながら軽快に登っていく、寒いので息が切れる事もなく、気持ちよく登る事ができる。
相談ってなんだろう?動画の新しいネタかな?そんな事を考えていたら、あっという間に城跡まで辿り着いた。約束の時間よりちょっと早く着いたので、展望台に登り景色を見渡す。遠くの山々には雪が積もり、とてもキレイだ。白銀山にもそろそろ雪が積もったりするのかな?
神社へと向かう。社務所には珠子さんのお母さんがいて、僕を社務所の中に案内してくれた。奥の控え室には珠子さんが猫たちと遊んでいた。
「やぁユウちゃん早かったね」
「こんにちは珠子さん、猫たちも一緒ですか」
「外は寒すぎるし可哀想だからさ、最近は社務所の中に入れてあげてるんだ」
ネコたちは暖房の近くでゴロゴロしている、とても幸せそうで何よりだ。
「いっその事、神社で飼うってのも考えたんだけどさ、親父がうるさいからとりあえず冬場だけでもと思って」
「ですね、雪もそろそろ降りそうだし良いと思いますよ」
しばし二人で猫たちを眺めつつ沈黙が続く、やがて珠子さんが口を開く。
「相談ってのはさ、その…なんて言うか…」
いつもの様な歯切れの良さがない。これってもしかして…。
「私たちってけっこう仲良くやってるじゃん」
「そうですね、撮影したり色んなところに行ったり、顔を合わせる事多いですよね」
「…………なぁ、私の事どう思う?」
「はい好きですよ」
「…えっ!」
「っえ?違いました?」
「あ…いや…違わないけど…」
「告白って男からするものですよね、すいませ
ん」
「気づいてたのか…」
「なんとなく」
「いや、その…私はユウちゃんよりかなり歳上だよ?いいの?」
「関係ないです。始めて出会った時からずっと気になっていて、気づいたら好きでした」
「ユウちゃんって意外と男らしい所あるんだな」
「自分の気持ちにウソはつきたくないので」
「ははは…そっか、私もだよ」
「えっと、これからよろしくお願いします」
「あ!」
「どうしました?」
「ユウちゃんだけ何度もズルい!」
「何がですか?」
「………わ……私も悠人が好きだよ………」
猫たちが起き出して、顔を赤らめる二人に遠慮なく甘えてきた。
それからこの町に来て2度目の春を迎えた、僕は珠子さんの誘いで神社の仕事をお手伝いをする事になった。喫茶店と掛け持ちになってしまうが、店長は快く了解してくれた。優希さんはちょっと不満そうだったけど
「珠子さんの誘いなら仕方ないけど、迷惑かけない様にね」
と釘を刺された、もちろんかける気はないが、優希さんに言われると「はい」としか言えない。相変わらず優希さんには逆らえない。
今日は神社の手伝いの初日、町は桜が咲き華やかだ。神社へ続く登山口に着いた僕は城跡とその先の神社へ続く道を、春風と共にテンポ良く駆け上がっていく。
おしまい。
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