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永遠の誓い
216.全ては空正の為に2 #恋ハグ企画参加話
#恋ハグ企画 参加話
この話だけ、X上のタグ企画に参加しております。
受けがまだ地下オメガとして攻めに地下で飼われていた頃、オークション規約に違反して産んだ長男。だが生後一ヶ月の時にオークション組織に見つかり主人公達から無理やり引き離され、勝手に売られてしまった。
生きているのか死んでいるのかすら解らず不安な日々を送っていた主人公たちだったが、事情を知らない資産家夫婦の跡取りとして育てられていた事が解り、資産家夫婦に会いに行ったというシチュエーションです。
主人公 アルファ攻め 正吾 俺 奴隷オークションで受けを買った元商社マン
ツガイ オメガ受け 蒼空 僕 奴隷オークションに出品され地下オメガになった被害者
長男アルファ 空正(もうすぐ6歳)
その子を養子に貰った資産家夫婦 吉崎氏(蒼空の父の大学時代の親友)
という人間関係だけ解れば読める様に出来ている…はずです。作者が至らない点は、申し訳ありませんが想像力で補って下さい。m(_ _)m
――――――――――――
「蒼空くん、ご家族含めてだけど、この度は本当に大変だったね。」
吉崎氏は酷く同情的な目線を蒼空に向けた。これが、蒼空へ向けられる世間一般の視線だろう。本人が望む望まぬに限らず、きっとこの五年間で蒼空が幾度となく晒されてきた視線だ。
「あっ…それは…はい。でも、僕は正吾さんと出会えたので。」
蒼空が俺の方を見て微笑む。その顔には何も恥ずかしいことは無いから安心してと書いてある様だった。
「うん。正吾君、もちろん君の事も調べさせてもらったよ。
よく社会的身分を捨てて、潔く自首してくれたね。5年間もツガイに会えないという長い時間をよく耐えて、蒼空くんを自由の元に解き放ったね。私は君のその勇気を称賛したい。」
「すみません。ありがとうございます。」
俺は自分の犯罪行為に対する称賛にどう反応して良いのか困り、居た堪れない気分になった。
「そんなに縮こまらなくても良いよ。一時の気の迷いや間違いは誰にだってある。君は蒼空くんを出来る限りにおいて大事にしたのだろう。なら、なにも問題は無いはずだ。
でも君が商社マンという身分を捨てて自首してまで蒼空くんを救ったことは、誰にでもできる事では無いよ。
君は前回喫茶店で話した時に、蒼空くんと相思相愛である事だけは胸を張れると私に言ったね。一番大事なことだ。
それに、君が蒼空くんと出会わなければ、私たちは空正と出会えなかった。こちらからもお礼を言わせて欲しい。ありがとう。」
「いえ。勿体ないお言葉です。こちらこそありがとうございます。」
俺も頭を下げた。
「いやいや。空正は私達夫婦の宝だ。お礼を言うのはこちら側だよ。地下オークションの組織に悟られずに子供を産み落として育てるというのは、大変な決意が必要だっただろうに、空正を諦めずに産んでくれて、ありがとう。」
「はい…。はい!」
蒼空も俺も、いやこの部屋の中の全員が、皆涙を流していた。
「それで、二人は遠目からでも良いから空正を見て安心したいだけだと君の父からは聞いて居るけれど、本当にそれだけで良いのかい?
実際に空正に会ったら、駆け寄っていって抱きしめたり話しかけたりしてしまわないかい?」
「はい。正吾さんともよく話し合いました。
空正が今幸せであれば、それでよいと僕は思っています。
空正はまだ小学校入学前の子供です。自分の両親が他にもいるということを、きちんと受け止められる歳ではないでしょう。
それに、もし僕たちが親だと名乗り出たら…今すぐには解らなくても、思春期の微妙な時期などに、自分の本当の両親が奴隷オークションでオメガを買った前科者と元地下オメガだという事を自分で調べて知ってしまう可能性は高いので。
僕たちの話は各種メディアに取り上げられていて、調べようと思えばすぐに調べられます。時期的に、自分が生まれたのはまだ僕が地下で飼われていた時期だと知ってしまうのは、彼にとっては余りにも酷だと思うので。
そうなって彼を悩ませるよりも、今のまま何も知らず吉崎さんの元で幸せに暮らして行って欲しいと僕たちは願っています。
でももし我儘を言わせて頂けるのならば、決して彼に話しかけず、親だと名乗り出たりしないので、時々遠くから空正を眺めさせていただきたいです。
もし彼が元気であれば、僕達も安心して日々を過ごす事ができます。」
蒼空はそう言い切り、俺の手を机の下で強く握り締めた。まるで、空正への未練を断ち切るかの様に。
僅か1ヶ月で引き剥がされた我が子を、再びその腕に抱きたいだろうに。その子の幸せの為に、必死に耐えている。
そんな無理に背伸びをしている若いツガイの姿に、俺は更に心を打たれた。
もう二度と、蒼空にこんな想いはさせまいと心に誓った。
吉崎夫婦も、蒼空の心が伝わったのだろう。今から家に来て、空正が育っている環境を見ないかと提案してくれた。
俺たちはその思ってもみなかった提案に飛びついた。
尋ねた邸宅は、蒼空の実家がかすんで見える程敷地の広い大豪邸だった。自宅は代々受け継がれてきた権力と富の象徴だ。
少年時代の吉崎氏の肩にかかった重圧は、想像を絶するだろう。同じ想いを空正にさせたくないというのも頷ける。
広いガレージに車を泊めると、奥方がちょっとこっちへいらっしゃいと手招きする。
向かった先に置かれていたのは、子供用の三輪車と自転車、キックバイク、キックボード、小さいながらも本格的なミニカーだった。一人の子供だけで使うには勿体ない物凄いラインナップだ。普通の家の車一台分の駐車スペースを、空正のおもちゃだけで堂々と占領していた。
それだけで、空正はこの老夫婦に如何に愛されているのかが解り、心が温かくなる。
これ程大きな邸宅だ。もちろん使用人が何人かいらっしゃって、いつでも綺麗に保たれているから、急な来客があっても慌てる事は無い。
俺たちは所々に点在する空正がここで生きている痕跡を辿った。
庭に設置されているジャングルジム、ブランコ。お砂場。
玄関の靴、傘、掛けられている上着、壁に飾られている写真、メダル。
わざわざウォークスルークローゼットを開けて、空正のサッカーシューズやボール、ユニフォームなども見せてくれた。
空正はピアノも習っているらしい。リビングに行く途中のグランドピアノが置かれている部屋には、子供用の楽譜が置かれていた。
「僕も空正くらいの歳の頃にこの楽譜を引いてたな。」
蒼空が懐かしい顔をする。
リビングに入ると、空正の気配は一層濃厚になった。リビング学習を取り入れているらしい勉強机、おもちゃ、絵本の数々。児童館よりも品ぞろえは豊富かもしれない。
確かに今の俺と蒼空もお金には余裕があるが、流石にこれだけの環境を空正に用意してあげる事は出来なかっただろう。
吉崎夫婦の、空正への深い愛情を感じた。歳を取ってからの子供は一層可愛いと聞くが、きっと二人にとってもそうなのだろう。仕事に行く必要もない。老夫婦二人で仲睦まじく穏やかに空正に向き合ってくれたのだなと感じられる。
これだけの好環境だ。空正が真っすぐ思いやりがある子に育たない訳がない。そう信じられた。
吉崎氏は、空正の部屋も見せてくれた。ここにも勉強机があり、恐竜の形に作られた平面ブロックや、カッコイイ飛行船の様な形に作られた立体ブロックが棚の上に沢山並んでいた。きっと空正の作った作品だろう。壁の上にも絵が飾られていた。
空正は絵や工作が好きで、習いに行っているらしい。一体いくつ習い事をしているのだろうか。
空正が普段寝ているだろうベッドには、男の子に人気のキャラクターもののシーツや布団カバーが使われており、全て空正の為を想って用意されたものであることが解る。きっとあの日新宿で見かけた時の様に、老夫婦と三人揃って仲睦まじく、空正の好きなものを選んだのだろう。
この部屋を見ただけで解る。文句のつけようがない溺愛具合だ。
吉崎さんは、
「ご自由にどうぞ。リビングでお待ちしていますね。」
と俺たち二人が、空正の部屋で涙をぬぐう時間をくれた。
盗聴器や盗撮器具の類は当然持ち合わせていないが、それでも大事なご子息の部屋で二人きりにしてくれたというその信頼が嬉しい。
蒼空は俺の胸に顔を押し付ける事で声を殺して涙を流している。片手にハンカチ。片手で俺の胸元のシャツを強く握り締めたまま。
俺は蒼空をきつく抱きしめ、蒼空が泣き止むのを待った。
―――――――――――
#恋ハグ企画参加はここまでです。恋というより、愛になってしまいましたね。
お読みいただきありがとうございました。
企画の主催者様 天木あんこ様より素敵な表紙を頂いてしまいました♪
イメージにぴったりです!ありがとうございましたm(^o^)m
この話だけ、X上のタグ企画に参加しております。
受けがまだ地下オメガとして攻めに地下で飼われていた頃、オークション規約に違反して産んだ長男。だが生後一ヶ月の時にオークション組織に見つかり主人公達から無理やり引き離され、勝手に売られてしまった。
生きているのか死んでいるのかすら解らず不安な日々を送っていた主人公たちだったが、事情を知らない資産家夫婦の跡取りとして育てられていた事が解り、資産家夫婦に会いに行ったというシチュエーションです。
主人公 アルファ攻め 正吾 俺 奴隷オークションで受けを買った元商社マン
ツガイ オメガ受け 蒼空 僕 奴隷オークションに出品され地下オメガになった被害者
長男アルファ 空正(もうすぐ6歳)
その子を養子に貰った資産家夫婦 吉崎氏(蒼空の父の大学時代の親友)
という人間関係だけ解れば読める様に出来ている…はずです。作者が至らない点は、申し訳ありませんが想像力で補って下さい。m(_ _)m
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「蒼空くん、ご家族含めてだけど、この度は本当に大変だったね。」
吉崎氏は酷く同情的な目線を蒼空に向けた。これが、蒼空へ向けられる世間一般の視線だろう。本人が望む望まぬに限らず、きっとこの五年間で蒼空が幾度となく晒されてきた視線だ。
「あっ…それは…はい。でも、僕は正吾さんと出会えたので。」
蒼空が俺の方を見て微笑む。その顔には何も恥ずかしいことは無いから安心してと書いてある様だった。
「うん。正吾君、もちろん君の事も調べさせてもらったよ。
よく社会的身分を捨てて、潔く自首してくれたね。5年間もツガイに会えないという長い時間をよく耐えて、蒼空くんを自由の元に解き放ったね。私は君のその勇気を称賛したい。」
「すみません。ありがとうございます。」
俺は自分の犯罪行為に対する称賛にどう反応して良いのか困り、居た堪れない気分になった。
「そんなに縮こまらなくても良いよ。一時の気の迷いや間違いは誰にだってある。君は蒼空くんを出来る限りにおいて大事にしたのだろう。なら、なにも問題は無いはずだ。
でも君が商社マンという身分を捨てて自首してまで蒼空くんを救ったことは、誰にでもできる事では無いよ。
君は前回喫茶店で話した時に、蒼空くんと相思相愛である事だけは胸を張れると私に言ったね。一番大事なことだ。
それに、君が蒼空くんと出会わなければ、私たちは空正と出会えなかった。こちらからもお礼を言わせて欲しい。ありがとう。」
「いえ。勿体ないお言葉です。こちらこそありがとうございます。」
俺も頭を下げた。
「いやいや。空正は私達夫婦の宝だ。お礼を言うのはこちら側だよ。地下オークションの組織に悟られずに子供を産み落として育てるというのは、大変な決意が必要だっただろうに、空正を諦めずに産んでくれて、ありがとう。」
「はい…。はい!」
蒼空も俺も、いやこの部屋の中の全員が、皆涙を流していた。
「それで、二人は遠目からでも良いから空正を見て安心したいだけだと君の父からは聞いて居るけれど、本当にそれだけで良いのかい?
実際に空正に会ったら、駆け寄っていって抱きしめたり話しかけたりしてしまわないかい?」
「はい。正吾さんともよく話し合いました。
空正が今幸せであれば、それでよいと僕は思っています。
空正はまだ小学校入学前の子供です。自分の両親が他にもいるということを、きちんと受け止められる歳ではないでしょう。
それに、もし僕たちが親だと名乗り出たら…今すぐには解らなくても、思春期の微妙な時期などに、自分の本当の両親が奴隷オークションでオメガを買った前科者と元地下オメガだという事を自分で調べて知ってしまう可能性は高いので。
僕たちの話は各種メディアに取り上げられていて、調べようと思えばすぐに調べられます。時期的に、自分が生まれたのはまだ僕が地下で飼われていた時期だと知ってしまうのは、彼にとっては余りにも酷だと思うので。
そうなって彼を悩ませるよりも、今のまま何も知らず吉崎さんの元で幸せに暮らして行って欲しいと僕たちは願っています。
でももし我儘を言わせて頂けるのならば、決して彼に話しかけず、親だと名乗り出たりしないので、時々遠くから空正を眺めさせていただきたいです。
もし彼が元気であれば、僕達も安心して日々を過ごす事ができます。」
蒼空はそう言い切り、俺の手を机の下で強く握り締めた。まるで、空正への未練を断ち切るかの様に。
僅か1ヶ月で引き剥がされた我が子を、再びその腕に抱きたいだろうに。その子の幸せの為に、必死に耐えている。
そんな無理に背伸びをしている若いツガイの姿に、俺は更に心を打たれた。
もう二度と、蒼空にこんな想いはさせまいと心に誓った。
吉崎夫婦も、蒼空の心が伝わったのだろう。今から家に来て、空正が育っている環境を見ないかと提案してくれた。
俺たちはその思ってもみなかった提案に飛びついた。
尋ねた邸宅は、蒼空の実家がかすんで見える程敷地の広い大豪邸だった。自宅は代々受け継がれてきた権力と富の象徴だ。
少年時代の吉崎氏の肩にかかった重圧は、想像を絶するだろう。同じ想いを空正にさせたくないというのも頷ける。
広いガレージに車を泊めると、奥方がちょっとこっちへいらっしゃいと手招きする。
向かった先に置かれていたのは、子供用の三輪車と自転車、キックバイク、キックボード、小さいながらも本格的なミニカーだった。一人の子供だけで使うには勿体ない物凄いラインナップだ。普通の家の車一台分の駐車スペースを、空正のおもちゃだけで堂々と占領していた。
それだけで、空正はこの老夫婦に如何に愛されているのかが解り、心が温かくなる。
これ程大きな邸宅だ。もちろん使用人が何人かいらっしゃって、いつでも綺麗に保たれているから、急な来客があっても慌てる事は無い。
俺たちは所々に点在する空正がここで生きている痕跡を辿った。
庭に設置されているジャングルジム、ブランコ。お砂場。
玄関の靴、傘、掛けられている上着、壁に飾られている写真、メダル。
わざわざウォークスルークローゼットを開けて、空正のサッカーシューズやボール、ユニフォームなども見せてくれた。
空正はピアノも習っているらしい。リビングに行く途中のグランドピアノが置かれている部屋には、子供用の楽譜が置かれていた。
「僕も空正くらいの歳の頃にこの楽譜を引いてたな。」
蒼空が懐かしい顔をする。
リビングに入ると、空正の気配は一層濃厚になった。リビング学習を取り入れているらしい勉強机、おもちゃ、絵本の数々。児童館よりも品ぞろえは豊富かもしれない。
確かに今の俺と蒼空もお金には余裕があるが、流石にこれだけの環境を空正に用意してあげる事は出来なかっただろう。
吉崎夫婦の、空正への深い愛情を感じた。歳を取ってからの子供は一層可愛いと聞くが、きっと二人にとってもそうなのだろう。仕事に行く必要もない。老夫婦二人で仲睦まじく穏やかに空正に向き合ってくれたのだなと感じられる。
これだけの好環境だ。空正が真っすぐ思いやりがある子に育たない訳がない。そう信じられた。
吉崎氏は、空正の部屋も見せてくれた。ここにも勉強机があり、恐竜の形に作られた平面ブロックや、カッコイイ飛行船の様な形に作られた立体ブロックが棚の上に沢山並んでいた。きっと空正の作った作品だろう。壁の上にも絵が飾られていた。
空正は絵や工作が好きで、習いに行っているらしい。一体いくつ習い事をしているのだろうか。
空正が普段寝ているだろうベッドには、男の子に人気のキャラクターもののシーツや布団カバーが使われており、全て空正の為を想って用意されたものであることが解る。きっとあの日新宿で見かけた時の様に、老夫婦と三人揃って仲睦まじく、空正の好きなものを選んだのだろう。
この部屋を見ただけで解る。文句のつけようがない溺愛具合だ。
吉崎さんは、
「ご自由にどうぞ。リビングでお待ちしていますね。」
と俺たち二人が、空正の部屋で涙をぬぐう時間をくれた。
盗聴器や盗撮器具の類は当然持ち合わせていないが、それでも大事なご子息の部屋で二人きりにしてくれたというその信頼が嬉しい。
蒼空は俺の胸に顔を押し付ける事で声を殺して涙を流している。片手にハンカチ。片手で俺の胸元のシャツを強く握り締めたまま。
俺は蒼空をきつく抱きしめ、蒼空が泣き止むのを待った。
―――――――――――
#恋ハグ企画参加はここまでです。恋というより、愛になってしまいましたね。
お読みいただきありがとうございました。
企画の主催者様 天木あんこ様より素敵な表紙を頂いてしまいました♪
イメージにぴったりです!ありがとうございましたm(^o^)m
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