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第11話 愛のミックスは止まらない!
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爆発に次ぐ爆発、石のバトルステージ上でわちゃわちゃとホットケーキ色の動物達と必死に戯れている月無五百里。激しさを増すメイドがかき混ぜ生み出す能力攻勢。
地と海。兎と宙を泳ぐ鯛焼き、ホットケーキのどうぶつ。ふざけたポップで可愛らしさとは裏腹の爆発カミカゼ攻撃に五百里は苦戦していた。
この粉っぽいホットケーキミックス、市販の信長食品のヤツだ……あれが無くなるまで耐えれば勝機はあるはず。
五百里のジンジュであるガン&オートシルド、見えない盾の自動防御機能によりしぶとく耐え凌いでいるが、それはジリ貧であると五百里は分かっていた。
「なんと、貧弱そうでタフなのですね。これは計算外でしたそのたいりょく私の彼氏様に相応しいですねあなた様、第2彼氏様に昇格です」
「やっと来たモテ期なのに、ぜんぜん嬉しいと思わないのは何故だろう!」
「それは愛です、間違った愛です、あなた様、真実の愛があの女にはないのです。そのお馬鹿そうなチーズinハンバーグみたいにとろけたアタマで考えてみてください、あのような稀なるお綺麗な女性の容姿を俗に清楚透明感系高貴詐欺ビッチと言います、アレは水面に映るまやかしであり月からちょっくら男を食いに来たかぐや姫。マジになってはいけませんそこに愛はないのですあなた様ァァァ」
「すまない本当にナニ言ってるのか分からない!! そして練り上げたイケるか……カンノウガン!!」
長々と女が話している間に後ろに隠されていた左手はじかんをかけ練り上げていた。
ビー玉程の白い光の球は親指の腹にあり、狙い澄ました黒い瞳、球は人差し指にピンと強く弾かれて一直線に射出された。
不意をついた白線は宙を描き脇横の鉄色にぶつかった。
最小出力に絞られたカンノウガンがボウルを貫き後ろ、場外へと見事に弾き飛ばした。
「ナイスコントロールだ!」
完全に意表を突かれたメイド、余裕の表情は驚き思わず弾き飛ばされたボウルと溢れた黄白い生地液を追っていた。
激しい足音が近づいて来た、それに気付き前方を見直したその一瞬に。
月無五百里は前傾走り、右の拳を溜めメイドに肉薄していた。
「こいつは痛いぞメイド店員! 腹筋を食いしばれェェ!」
「なんとまぁやられました!」
妙な能力の源であるホットケーキの生地液、それが今はない。荒々しく凌ぎ戦いアタマの片隅で徐々に練り考えた五百里の狙い通りの状況下へと持ち込む事に成功した。
狙うはメイドの腹筋、散々に食らってきたメイドのホットケーキ、お返しとばかりに重い右のストレートを今まさに喰らわせる。
地から盛り上がったのは拳であった。
石のステージには、一本、逞しい床と同色のチョキがあり。
宙を舞っていたのは黒紫色の学ランであった。
ぱちぱちと、静かに鳴る拍手。
「ちぱちぱちぱぁ。ワタクシ大変感激しております、今のイチゲキ何故でしょう? 何故か確かなあなた様の愛を感じました。何故です? 不思議ですね? ですが、残念ホットケーキはあなた様への愛、もしや通じ合っていたのでしょうか? ふふふふうれしいです。そしてこれが真の略奪愛です」
淡いイエローの洒落た右ヒールが沈みかき混ぜたのは地であり石床であった、すると拳が隆起するように。
「うぐううああああ」
バレーボールのように、パーでトス、グーでセーブ、お茶目なチョキ。
月無五百里の身体は激しく突き上げられ宙を舞い続けている。
「やはり頑丈ですね、ですが私も折れませんあなた様を私のモノにするまで愛のミックスを執行します」
地を揺らす轟音が広い部屋中に響き渡る。愛のミックスと仮称し、メイドは泡立て器を投げ捨て自らの片足で地をかき混ぜ馬鹿げた真の能力を行使し続ける。
「さすがにえげつないぐみぃ……直視できないぐみみ」
「もう、もうっ勝負は!」
「動くな四羅森楓」
「な!?」
「これもヤツにとって経験だ、本当の強者との戦いはこれでもヌルい。それでも動きたいなら……勝手にしろ、フフ、出来るならな」
「くっ……月無くん……」
「ぐみぃ……あんこく……」
眺めることしかできない、私は何もできずに。宙を舞い痛めつけられる彼の悲鳴を。
悲しさや悔しさ、助けにいきたいのに、いけない。そんな思いは混ざり合いしがみつき握る手すりの冷たさに……涙がこぼれていった。
地と海。兎と宙を泳ぐ鯛焼き、ホットケーキのどうぶつ。ふざけたポップで可愛らしさとは裏腹の爆発カミカゼ攻撃に五百里は苦戦していた。
この粉っぽいホットケーキミックス、市販の信長食品のヤツだ……あれが無くなるまで耐えれば勝機はあるはず。
五百里のジンジュであるガン&オートシルド、見えない盾の自動防御機能によりしぶとく耐え凌いでいるが、それはジリ貧であると五百里は分かっていた。
「なんと、貧弱そうでタフなのですね。これは計算外でしたそのたいりょく私の彼氏様に相応しいですねあなた様、第2彼氏様に昇格です」
「やっと来たモテ期なのに、ぜんぜん嬉しいと思わないのは何故だろう!」
「それは愛です、間違った愛です、あなた様、真実の愛があの女にはないのです。そのお馬鹿そうなチーズinハンバーグみたいにとろけたアタマで考えてみてください、あのような稀なるお綺麗な女性の容姿を俗に清楚透明感系高貴詐欺ビッチと言います、アレは水面に映るまやかしであり月からちょっくら男を食いに来たかぐや姫。マジになってはいけませんそこに愛はないのですあなた様ァァァ」
「すまない本当にナニ言ってるのか分からない!! そして練り上げたイケるか……カンノウガン!!」
長々と女が話している間に後ろに隠されていた左手はじかんをかけ練り上げていた。
ビー玉程の白い光の球は親指の腹にあり、狙い澄ました黒い瞳、球は人差し指にピンと強く弾かれて一直線に射出された。
不意をついた白線は宙を描き脇横の鉄色にぶつかった。
最小出力に絞られたカンノウガンがボウルを貫き後ろ、場外へと見事に弾き飛ばした。
「ナイスコントロールだ!」
完全に意表を突かれたメイド、余裕の表情は驚き思わず弾き飛ばされたボウルと溢れた黄白い生地液を追っていた。
激しい足音が近づいて来た、それに気付き前方を見直したその一瞬に。
月無五百里は前傾走り、右の拳を溜めメイドに肉薄していた。
「こいつは痛いぞメイド店員! 腹筋を食いしばれェェ!」
「なんとまぁやられました!」
妙な能力の源であるホットケーキの生地液、それが今はない。荒々しく凌ぎ戦いアタマの片隅で徐々に練り考えた五百里の狙い通りの状況下へと持ち込む事に成功した。
狙うはメイドの腹筋、散々に食らってきたメイドのホットケーキ、お返しとばかりに重い右のストレートを今まさに喰らわせる。
地から盛り上がったのは拳であった。
石のステージには、一本、逞しい床と同色のチョキがあり。
宙を舞っていたのは黒紫色の学ランであった。
ぱちぱちと、静かに鳴る拍手。
「ちぱちぱちぱぁ。ワタクシ大変感激しております、今のイチゲキ何故でしょう? 何故か確かなあなた様の愛を感じました。何故です? 不思議ですね? ですが、残念ホットケーキはあなた様への愛、もしや通じ合っていたのでしょうか? ふふふふうれしいです。そしてこれが真の略奪愛です」
淡いイエローの洒落た右ヒールが沈みかき混ぜたのは地であり石床であった、すると拳が隆起するように。
「うぐううああああ」
バレーボールのように、パーでトス、グーでセーブ、お茶目なチョキ。
月無五百里の身体は激しく突き上げられ宙を舞い続けている。
「やはり頑丈ですね、ですが私も折れませんあなた様を私のモノにするまで愛のミックスを執行します」
地を揺らす轟音が広い部屋中に響き渡る。愛のミックスと仮称し、メイドは泡立て器を投げ捨て自らの片足で地をかき混ぜ馬鹿げた真の能力を行使し続ける。
「さすがにえげつないぐみぃ……直視できないぐみみ」
「もう、もうっ勝負は!」
「動くな四羅森楓」
「な!?」
「これもヤツにとって経験だ、本当の強者との戦いはこれでもヌルい。それでも動きたいなら……勝手にしろ、フフ、出来るならな」
「くっ……月無くん……」
「ぐみぃ……あんこく……」
眺めることしかできない、私は何もできずに。宙を舞い痛めつけられる彼の悲鳴を。
悲しさや悔しさ、助けにいきたいのに、いけない。そんな思いは混ざり合いしがみつき握る手すりの冷たさに……涙がこぼれていった。
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