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【#38】地下11階・第一話:炎の狭間
しおりを挟む 熱い。
階段を降りた瞬間、息苦しくなるほどの熱気が肌を刺した。
「……まるで地獄だな」
目の前に広がるのは、煮えたぎる炎の海。
そこに架かるのは、細い橋と宙に浮く足場──だが、それらは安定しているとは言い難い。
「蓮、足元が……!」
ミスティの警告と同時に、目の前の橋が”消えた”。
即座に後退し、消滅する寸前の端にかろうじて足をかける。
「ギミックか……なるほどな」
この階の仕掛けは「消える橋」「炎の海」「浮遊する足場」。
渡るべき道が一瞬で消える可能性がある以上、無闇に進むのは自殺行為だ。
「ルートを見極めながら進むしかない、か……」
足場は一定の間隔で浮遊し、時折回転している。
炎の海に落ちれば即死は免れない。
だが、避けるべきはそれだけではなかった。
──背後から、気配。
「……来たか」
振り返ると、そこに”俺自身”が立っていた。
追跡者は俺と同じ姿、同じ服装。
しかし、決定的に違うのは”動き”だった。
──バシュッ!!
一瞬にして間合いを詰められる。
「速い……!」
追跡者が鋭い蹴りを繰り出す。
俺は寸前でかわし、カウンターを狙うが──
「──ッ!」
追跡者が信じられないほどの跳躍力で一気に天井近くまで飛び上がった。
(ジャンプ力が強化されている……!)
しかも、奴は空中で巧みに軌道を変え、俺の背後を狙って急降下してきた。
「っ……ミスティ!」
俺はミスティを盾に構え、防御態勢を取る。
──ズガァッ!!
剣と剣がぶつかり合い、火花が散る。
衝撃で後退しながら、浮遊する足場の上へ飛び乗った。
「……厄介だな」
追跡者の能力は、確実に強化されている。
単純な身体能力だけなら、俺よりも上かもしれない。
だが──
(このギミックを利用しない手はない)
ここは”炎の海”。
俺が落ちたら終わりだが、追跡者も同じはずだ。
「……なるほど、いいことを思いついたぞ」
俺は不敵に笑い、足場の動きを見極めながら、慎重に次の行動を決めた。
──この戦い、“地の利”を制する方が勝つ。
「さあ、試してみようじゃないか──生き残るのは、どちらなのか」
炎の熱気が渦巻く中、俺と追跡者の戦いが本格的に始まる。
階段を降りた瞬間、息苦しくなるほどの熱気が肌を刺した。
「……まるで地獄だな」
目の前に広がるのは、煮えたぎる炎の海。
そこに架かるのは、細い橋と宙に浮く足場──だが、それらは安定しているとは言い難い。
「蓮、足元が……!」
ミスティの警告と同時に、目の前の橋が”消えた”。
即座に後退し、消滅する寸前の端にかろうじて足をかける。
「ギミックか……なるほどな」
この階の仕掛けは「消える橋」「炎の海」「浮遊する足場」。
渡るべき道が一瞬で消える可能性がある以上、無闇に進むのは自殺行為だ。
「ルートを見極めながら進むしかない、か……」
足場は一定の間隔で浮遊し、時折回転している。
炎の海に落ちれば即死は免れない。
だが、避けるべきはそれだけではなかった。
──背後から、気配。
「……来たか」
振り返ると、そこに”俺自身”が立っていた。
追跡者は俺と同じ姿、同じ服装。
しかし、決定的に違うのは”動き”だった。
──バシュッ!!
一瞬にして間合いを詰められる。
「速い……!」
追跡者が鋭い蹴りを繰り出す。
俺は寸前でかわし、カウンターを狙うが──
「──ッ!」
追跡者が信じられないほどの跳躍力で一気に天井近くまで飛び上がった。
(ジャンプ力が強化されている……!)
しかも、奴は空中で巧みに軌道を変え、俺の背後を狙って急降下してきた。
「っ……ミスティ!」
俺はミスティを盾に構え、防御態勢を取る。
──ズガァッ!!
剣と剣がぶつかり合い、火花が散る。
衝撃で後退しながら、浮遊する足場の上へ飛び乗った。
「……厄介だな」
追跡者の能力は、確実に強化されている。
単純な身体能力だけなら、俺よりも上かもしれない。
だが──
(このギミックを利用しない手はない)
ここは”炎の海”。
俺が落ちたら終わりだが、追跡者も同じはずだ。
「……なるほど、いいことを思いついたぞ」
俺は不敵に笑い、足場の動きを見極めながら、慎重に次の行動を決めた。
──この戦い、“地の利”を制する方が勝つ。
「さあ、試してみようじゃないか──生き残るのは、どちらなのか」
炎の熱気が渦巻く中、俺と追跡者の戦いが本格的に始まる。
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