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新しい家族

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──────────2年後
月日は流れ
あの後、俺は咲雪さんと交際を始めた。
小眞恥を立派な大人へと育てて行くため。
というのもあるが、お互いこれまでに恋人という恋人がいなかったので少しの好奇心
が俺たちの交際を後押ししてくれた。

つまり初恋。
俺はともかく咲雪さんはモテただろうに。

そして今......
上司の推薦もありこの歳で昇進の話がきていた。

──いや、確定だろこれ!
話じゃなくて、もう確定だろ!
上司の推薦は確定だろ!

紫郎は仕事の帰り、久しぶりに嬉しさと
有り難さでゾクゾクしていた。

そして、予め決めていた"事"を実践する日でもあった。

ちなみに私生活は二年前と変わらず......

「紫郎くん!ご飯まだー?」

「紫郎さん!まだですか~?」

「急かすんだったら手伝ってくれぇ!」

「小眞恥も前よりかは料理できるようになったろ!」

「昇進の話がきたからって油断したらいけませんよ♪」

「じゃあ私!小野町小眞恥が手伝ってあげましょう!」

「もう遅い、出来たよ」
紫郎はお皿を持ってテーブルへ

「さっすがぁ♪」
「おおー」

「せめてお皿運びは手伝ってくれよ」
「「はーい!!」」

お皿をテーブルへと運んでいたら咲雪さんが近づいてきた。

えっなんだろう?

「ありがとね!紫郎くん♪」

思わず下を向いてしまう。

ニコッと笑った顔に俺はドキドキを隠せない。
──可愛すぎんだろ

手で顔を隠そうとしたが両手にお皿を持っていたので隠せない。

くっっっ!!

俺でも分かる、顔が赤く火照ってしまっている。

「あれ?ドキドキしちゃった?」

俺の顔を覗き込んで上目遣いとか犯罪だろ......

さらに赤くなるのが分かる。
「いいから!運んでください!」

「なんで敬語?」

※※※

「それじゃあ小眞恥ちゃん!食べよう!」
「そうだね!でも主役があれじゃあ......」

「よっ...よぉーし!食べるぞぉー!」

「急に?!」

「今日は昇進の話が来たんだ!盛大に祝おうじゃないか!」

「よっしゃー!食べよう!」
「それじゃあ!紫郎くんの昇進祝いに!」

「「「乾杯!」」」

※※※

「後片付け、手伝ってくれてありがとう」

「いえいえ、小眞恥ちゃんもお腹いっぱい食べて寝ちゃってますし♪」

「「あの」」

「あっどうぞ先!」
「いえ、先に......」

「「じゃあ」」

「「あっ......」」


「「あはは!!」」

「こんな事そうそうないぞ!」
「ですね!」


「──で、何を言おうとしてたんです?」

「いやぁ後片付けが終わったら外に散歩でもどうかなと」

「──私も同じこと言おうと思ってました」

「じゃ...じゃあ!」

「はい。行きましょう♪」

※※※

「夜の街はちょっと怖いですけど綺麗ですね~」

そう言いながらマンションを出て立ち止まる。

「で、わざわざ外にまで呼び出したわけはなんですか~?」

バレてたか.....

「いやっ...まあ...そのー......」

「これから上司になるんでしょ?」
「もっと堂々としないと!」

「分かった!じゃあ堂々と......」

・・・よし!!

「出会った時からずっとあなたの事を一度も忘れたことはありませんでした!」

「ずっと好きです!これからもよろしくお願いします!」

頭を下げ指輪を見せる。

「──っふふ」


ん? そう思って顔を上げると。



満点すぎる笑顔で
「結婚してください。が抜けてるよ♪
紫郎くん!」

「あっ!すいませ...」

俺が言い切る前に咲雪さんは歩み寄ってきて、優しく抱きしめてくれた。

そして......。

「嬉しい」

「答えてくれてありがとう......」

「こんな俺でもよろしくね」

「はい、喜んで。」


──────────エレベーター内

「紫郎くんのおかげで
これは祝い事が増えちゃったね♪」

「そうですね...///」

だからなんで敬語?

「そういえば咲雪さんの言おうとしてた事ってなんですか?」

「それはねぇ~♪」

「──なーいしょ♪...だよ!」

「えぇー!!」
「一番気になるやつぅー!」

エレベーターの扉が開く。

「さあ行こっか!」
「はい!」

こんなにも俺の人生が変わると、誰が予想しただろうか。

俺の人生が変わったのはやっぱり......

押しかけ少女のせい?

いや......
押しかけ少女のおかげ...だな。

「紫郎くーん!鍵開けて開けてー!」

鍵持たずに家出てきたのか
おっとりしすぎじゃないか?

「はいはい」

紫郎は鍵を鍵穴に差し込むと
咲雪さんが鍵を持ってる手を重ねてきて
一緒に開けようとしているのが分かった。
鍵を回し、扉を開けようとしたその瞬間。

「これからもよろしくね♪紫郎くん!」

そう言って咲雪さんは、俺の家へと入っていく。

「本当、おっとりしてるのか忙しないのか未だに分からない人だな」

そう言いながら俺も、
新しい家族のいる我が家に入っていく。

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