AKOちゃんの足跡

スギナ

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AKOちゃんの足跡

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札幌を離れる前の前の夜

琴似駅から西野の家まで

三人で一列に並んで歩いた道沿いにふと

数年前のAKOちゃんの

歩く姿がみえた気がした


いつもの継ぎ接ぎの服に裸足に長靴で

朝早くに家を出た彼は

とても幸せそうな顔をして

夜遅くに帰ってきた

「何してたの」と聞けば

ただ「歩いていた」と言う


雪の多く積もった日だった

彼は真っさらな雪の上を

その冷たい足で何度も何度も

行きつ戻りつすることで

人が通れる道をつくった


一日かけてようやくできた長い道を

子どもたちが走ってきた

「何その服ー」などと言われながらAKOちゃんは

日の落ちかけた空のなか

子どもたちの駆けてゆくのを

いつまでもいつまでも

細い目をして眺めていた


その夜またたくさんの雪が

AKOちゃんの足跡を覆う

次の日なればまたニコニコと

道をつくりに行くのだろう


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